「正しい戦争」は本当にあるのか の商品レビュー
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ゼミ資料。 リベラリズム: 倫理、国際法、国際機構を重視する。 【戦争の捉え方】 1. ミュンヘンの教訓→悪いやつを取り除かねばならない 2. リアリズム→国家理性・勢力均衡 3. 広島の教訓→武器よさらば 【戦争がない世界に向かっていく2つのロジック】 1. 経済統合が戦争を防ぐ妙薬。経済の拡大による戦争の陳腐化。 2.市民の政府による戦争の制限。広い意味でデモクラシーにつながる話。 戦争の違法化=ジュネーブ条約1925 〈正義の戦争〉は美辞麗句にすぎない 「私は最も正しい戦争よりも、最も不公平な平和を選ぶ」(キケロ) アメリカが世界の警察官なんて言うけど、ひとつの国家が恣意的に兵隊を使うのではそれはヤクザであって警察ではない。p34 相互確証破壊(MAD): 核保有国がお互いを牽制し合う状態。 ロシアは2002年のモスクワ条約でアメリカと張り合うのを断念しました。p74 平和が理想主義で戦争がリアルという二分法から脱却する必然がある。ひとつひとつの事案を検討・分析して対応していく。その積み重ねが平和構築に繋がっていく。 ミニ・ニューク(小型核爆弾): 現実に使われる可能性?p79 →核は冷戦期の最終兵器的な役割から、現実味を帯びてきた。 軍縮っていうのは、実際に何発核弾頭が減ったか、ていうよりも戦争の蓋然性を下げることが大事なんですね。p98 ルワンダ、ウガンダ、コンゴ: 中部アフリカで国境を隣接したこの三国は 1. 複雑に絡み合った民族間の軋轢 2. 豊富な好物資源の利権争い 3. 旧植民地列強の無節操な支援 も加わって、戦争・内戦ともに激化するばかり。p115 新自由主義: 国家による経済への過度な介入を避け、個人の自由と責任に基づく競争と市場原理を重視する考え方。政策としては、規制緩和、国営企業の民営化、補助金削減などが典型的。80年代は新保守主義と呼ばれていた。p134 「政治でも経済でも、お金持ちのグローバリズム、貧乏人のナショナリズム(笑)」p135 従属理論:先進工業国に圧倒的に有利な国際貿易の仕組みができあがっていて、当時の言葉でいう〈第三世界〉から利潤が流れでていくようになっているという主張。いわば国際的な階級闘争。 「欧州共通の家」構想:89年7月欧州議会総会での演説でゴルバチョフが提唱した。東西ヨーロッパの分断を解消し、ソ連を含めた「大西洋からウラル山脈まで」の大欧州連合を作ろうという考え。当然だが、アメリカは入っていない。p177 戦争と平和主義は表裏一体→戦争が違法だから、その違法な戦争を起こす奴は武力で退治するべきだという論理。p213 内外における憲法9条への認識 日本→安保条約と対立する、戦争を促進してしまい、憲法を反故にしてしまうきらい 海外→憲法よりも安保が日本の軍国主義をふせぐ。(いわゆる「ビンのフタ議論」)p221 結果的に平和運動は経済成長優先路線を支えた。p244
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2011.2.19 http://plaza.rakuten.co.jp/ibarakikeiko/diary/201102190000/
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・平和は地味な活動だ。嘆くだけはただのハト派、現在の右傾化はそれを反転させただけ、同レベル。 ・9条はただの武力解除装置。世界遺産に残すなんてバカの妄想。ヒロシマのほうがよっぽど認知されてる ・戦争禁止が自衛戦争を肯定するというパラドクス ・ロシアは国力低い(オランダ程度) 世界...
・平和は地味な活動だ。嘆くだけはただのハト派、現在の右傾化はそれを反転させただけ、同レベル。 ・9条はただの武力解除装置。世界遺産に残すなんてバカの妄想。ヒロシマのほうがよっぽど認知されてる ・戦争禁止が自衛戦争を肯定するというパラドクス ・ロシアは国力低い(オランダ程度) 世界の紛争地ごとに、平和の精神を根付かせていくという地道な作業でしか「平和」は訪れないんですね。
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正しい戦争とは何なのか?そのようなものが存在するのか。 そもそも『正しい』ということが主観である以上、誰もが正しいと思って行う戦争はこの世にはあり得ない。 戦争だけにとどまらず『正しい』ということの価値判断は難しい。だからこそ様々な経験をし世界を広げ、自分が正しいと思うことでも様...
正しい戦争とは何なのか?そのようなものが存在するのか。 そもそも『正しい』ということが主観である以上、誰もが正しいと思って行う戦争はこの世にはあり得ない。 戦争だけにとどまらず『正しい』ということの価値判断は難しい。だからこそ様々な経験をし世界を広げ、自分が正しいと思うことでも様々な立場から慎重に考えなくてはならないと思った。
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この本を読んで、アメリカが「正義の戦争」と呼んだイラク戦争について、本当に「正義」であったのか、また、戦争に取って代わる手段はなかったのかということについて私なりに考えてみたいと思う。 まず、周知のとおり、アメリカはイラク戦争を悪の枢軸を倒す「正義の戦争」と呼び、遂行したのであ...
この本を読んで、アメリカが「正義の戦争」と呼んだイラク戦争について、本当に「正義」であったのか、また、戦争に取って代わる手段はなかったのかということについて私なりに考えてみたいと思う。 まず、周知のとおり、アメリカはイラク戦争を悪の枢軸を倒す「正義の戦争」と呼び、遂行したのであった。しかしながら、世界のほとんどの国にとってこれほど「不正義」の戦争もなかったのである。それでは、アメリカの掲げる「正義」とはいったい何であったのだろうか。今回の課題図書はこの問題について大きなヒントと衝撃を与えてくれたような気がする。つまり、藤原さんのいう絶対不戦の平和主義による戦争というパラドックスであった。アメリカは平和を壊すものとしてイラク・イラン・北朝鮮の三国を「悪の枢軸」という表現を用いて挙げた。なかでもイラクの旧フセイン政権を、事実としてあったかどうかはともかく、テロリストを援助したことで平和を壊す悪玉として攻撃したのであった(注1)。なるほど、世界の平和のためには、それを妨げるものを除去する必要があるような感じがする。 それでは、このアメリカの考えに従って、旧フセイン政権は外部の攻撃によって倒されなければならなかったのであろうか。換言すれば、悪い相手がいれば武力を用いてでもそれを取り除くことは許されるのであろうか。この点について、私は藤原さんのいう「国際政治の世界では、独裁政権と共存するのがむしろ現実」という言葉に共感した。第一、「悪」と「善」という概念は反対のように見えるが、実際は表裏一体のものであって、「善」が存在すれば自発的に「悪」も存在する。また、両者の判断が主観的なものであるので、一概に「善」「悪」を判断することはできない。したがって、「悪」を抹消するということは論理的には不可能である(注2)。この考えから、「正しい戦争」はあり得ないという結論に至るが、同時にもし「正しい戦争」が行われたのであれば、それは「悪」である可能性もはらんでおり、よって「正しい戦争」を抹消することもできないと言えるだろう(注3)。 以上のことから、独裁政権との共存が現実であることが確認される。だが、共存することはイラクで起こっていた現実を見過ごすことではなく、政権を宥和することでもない。そうではなく、独裁政権をも混ぜた多国間グループでの交渉が必要であって、北朝鮮のケースで言う六者協議のようなものがイラクにも必要であったと思う。また、独裁政権がたとえ民主化されなくとも、その国の人々が納得できる政権であれば尊重する必要もある。それをもっとも表わしたのがブルネイの政治(注4)ではないかと考える。本当に悪い政権であれば、内部から反発され、崩壊するはずだからである。 *************** (注1) もっとも、アメリカこそ世界の不安定要因のひとつであると私は考える。 (注2) このことは「テロリズム根絶論」にも通ずることである。 (注3) だからと言って私は「正しい戦争」を肯定するわけでもない。 (注4) ブルネイは事実上独裁政権であるが、社会水準を上げたことで市民から反発されることはない。
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「正しい戦争」という概念以前に、「平和」って何だろう?ということを見つめなおしている点の方が大事だと思った。「平和は祈るものではなく作るもの」、「国際政治の選択というと軍隊派遣か、平和祈念かという両極に行きがちだが、本当に大事なのは一つ一つの紛争を招きかねない火種、緊張について出...
「正しい戦争」という概念以前に、「平和」って何だろう?ということを見つめなおしている点の方が大事だと思った。「平和は祈るものではなく作るもの」、「国際政治の選択というと軍隊派遣か、平和祈念かという両極に行きがちだが、本当に大事なのは一つ一つの紛争を招きかねない火種、緊張について出来る限り犠牲の少ない対策を練り、努力すること」という極めてリアリスティックな主張はよくよく考えれば当然のことである。「戦争」はいけないことだけどなくならない、結局二者択一で議論しようとすることが間違っているということを教えてくれる。理想だけ、抽象論だけの平和主義は一歩間違えば軍事万能へと転換しうるという主張には納得させられるものがあった。
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会話調なので読みやすい。でも冷戦や憲法、民主化など内容は濃い。国際政治って実はおもしろいかもと思わされた本。
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イラクに向けて陸上自衛隊の第1陣が出発したのが04年の2月。その自衛隊派遣をめぐってもイラク戦争の「大義」が問題になった。人類の歴史そのものともいえる「戦争」について、この本は現在の国際状況も踏まえて考察している。 『「正しい戦争」と「正しい平和」の追求は、どこかの国が倒すこ...
イラクに向けて陸上自衛隊の第1陣が出発したのが04年の2月。その自衛隊派遣をめぐってもイラク戦争の「大義」が問題になった。人類の歴史そのものともいえる「戦争」について、この本は現在の国際状況も踏まえて考察している。 『「正しい戦争」と「正しい平和」の追求は、どこかの国が倒すことに決めた敵は倒されるという恣意的な判断に傾きかねない』。アメリカと旧フセイン政権時代のイラクや、アメリカと北朝鮮との関係を思い起こす。 『戦争を避けることができるという可能性が示され、戦争はモラルに反するという考えが共有されるときに、初めて安定した平和が実現する』。理論的には確かにそうだろう。だからこそ、『軍隊に頼らなくても安全だと思われるような状態をどうすれば作ることができるのか』。という当然の課題に向き合う必要はあるだろう。 そのために『目の前の現象を丁寧に見て、どんな手が打てるのかを考える』という『現実の分析』も求められるだろう。 しかし、『いま必要なのは、現在の紛争や将来の紛争を招きかねない緊張のひとつひとつについて、できる限り犠牲の少ない対策を練り、その実現のために努力すること』となると、平和のための原則論の域にとどまってしまう感が否めない。 ましてや『問題のなのは憲法を守ることじゃなくて、日本の置かれた地域から軍事紛争の芽をどれだけ摘み取ることができるか、必要なのは祈る平和ではなくて作る平和』というのは、言われるまでもなく多くの国民が考えているのではないだろうか。
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内容は言わずもがなだけど、この人生でみるとメチャクチャ格好いいよ。 講義が終わった後、一号館の裏でいつもタバコを吸っていたのを思い出す。
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