メルロ=ポンティ の商品レビュー
メルロ=ポンティの《現象学》を貫いていたのは、西欧の伝統的な思考法のなかでは亀裂や裂け目とみえるもの、たとえば主観と客観のあいだ、自己と他者のあいだ、あるいは言語と知覚、思考と存在、理性と感覚、自然と文化といった襞のあわいに深く入り組んでいって、そうした対立的な意味の出現を、その...
メルロ=ポンティの《現象学》を貫いていたのは、西欧の伝統的な思考法のなかでは亀裂や裂け目とみえるもの、たとえば主観と客観のあいだ、自己と他者のあいだ、あるいは言語と知覚、思考と存在、理性と感覚、自然と文化といった襞のあわいに深く入り組んでいって、そうした対立的な意味の出現を、その「生まれいずる状態において」とらえようという意志である。35 現象学はバルザックの作品、プルーストの作品、ヴァレリーの作品、あるいはセザンヌの作品とおなじように、不断の辛苦であるーー同じ種類の注意と驚異とをもって、同じような意識の厳密さをもって、世界や歴史の意味をその生まれいずる状態においてとらえようとするおなじ意志によって。こうした関係のもとで、現象学は現代思想の努力と合流するのである。1212(メルロポンティ博士論文『知覚の現象学』1945序文より) 「哲学とはおのれ自身の端緒がたえず更新されてゆく経験である」1312(メルロポンティ博士論文『知覚の現象学』1945序文より)
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子どものとき、ひとからナイフをもらったが、切れ味がわるいので、何度くりかえし研いだ。もっと鋭くしようと懸命に研いでいるうちに、研ぐことそのことに夢中になってしまい、気がついたら刃がすっかりすり減って、なにも切れなくなっていたと、寂しげに幼少のころの思い出を語った……。 現象学者フ...
子どものとき、ひとからナイフをもらったが、切れ味がわるいので、何度くりかえし研いだ。もっと鋭くしようと懸命に研いでいるうちに、研ぐことそのことに夢中になってしまい、気がついたら刃がすっかりすり減って、なにも切れなくなっていたと、寂しげに幼少のころの思い出を語った……。 現象学者フッサールの生涯を圧縮した、できすぎともいえそうな逸話である。
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ルロ=ポンティ入門書としては少し難しいのでは?入門書としては木田元氏の『メルロ=ポンティの思想』が良いかと。 ただ、内容としては鷲田氏独自の視点からメルロ=ポンティが論じられているので、一読の価値アリ。
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