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風雅の虎の巻 の商品レビュー

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『枕草子』や『源氏物…

『枕草子』や『源氏物語』の現代語訳で有名な博識 橋本 治が日本の美意識を解き明かしてくれます。なるほど!!の連続です。

文庫OFF

2019/12/19

日本の伝統的な美意識について、社会構造と関連づけながら考察をおこなっている本です。 本書のテーマは、芭蕉たちが追及した「風雅」という美的価値観ですが、著者はこれを「実用と非実用を対立させる考えからの逸脱」と表現しています。第1章である「花の名前は知らねども」では、千利休と豊臣秀...

日本の伝統的な美意識について、社会構造と関連づけながら考察をおこなっている本です。 本書のテーマは、芭蕉たちが追及した「風雅」という美的価値観ですが、著者はこれを「実用と非実用を対立させる考えからの逸脱」と表現しています。第1章である「花の名前は知らねども」では、千利休と豊臣秀吉の対立を軸に、茶道の限界を明らかにし、第2章である「鳥のように」では、源実朝、藤原定家、後鳥羽上皇らの和歌について詳細な分析を展開しています。『これで古典がよくわかる』(2001年、ちくま文庫)で著者の巧みなみちびきによって日本の古典文学の魅力にめざめたという読者は、わたくし自身をはじめけっしてすくなくないと思いますが、そうした読者には著者の和歌についての独創的な考え方がいっそうくわしく説かれており、興味深い内容なのではないかと思います。 第3章の「風の音を知れ」では、映画、演劇、絵画、をはじめ、マンガや歌謡曲、生花、着物、日本料理、旅館にいたるまで、日本文化のさまざまなジャンルについて、簡潔でありながら鋭い見方が示されています。 日本文化に特有の美意識について関心のあるひとにとっては、著者ならではの切り口が示された本書の議論はおもしろく読めるのではないかと思いますが、本書を読んで、著者独自の美学についてより原理的な次元での議論を知りたいという向きには、『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(2002年、ちくま新書)をおすすめします。

Posted byブクログ