伊丹万作「演技指導論草案」精読 の商品レビュー
伊丹万作の60年前の論文を手掛かりに、映画評論家としての著者が、演出と演技、監督と俳優の関係などについて考察した本である。40年来読み慣れている著者の本なので、私には大変読みやすく、言わんとするところも良く理解できた。私にとって新発見だったのは、清水宏監督の「有りがたうさん」の中...
伊丹万作の60年前の論文を手掛かりに、映画評論家としての著者が、演出と演技、監督と俳優の関係などについて考察した本である。40年来読み慣れている著者の本なので、私には大変読みやすく、言わんとするところも良く理解できた。私にとって新発見だったのは、清水宏監督の「有りがたうさん」の中の、朝鮮人労務者のシーンがどのように撮影されたのか、という著者の推理である。なるほどと思わせられる部分と、いやちょっとそこまでは、という気持ちと半々で、次回の鑑賞機会を楽しみにしたい。
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伊丹万作という、戦前の映画脚本家・映画監督さんがいて、この人は伊丹十三さんのお父さん。多少なマニアでも、監督作でいうと「赤西蠣太」くらいしか残っていなくてあとはフィルムが残っていない。だけど色んな証言から、名監督として知られている。 で、この人が、「演技指導論草案」っていう、...
伊丹万作という、戦前の映画脚本家・映画監督さんがいて、この人は伊丹十三さんのお父さん。多少なマニアでも、監督作でいうと「赤西蠣太」くらいしか残っていなくてあとはフィルムが残っていない。だけど色んな証言から、名監督として知られている。 で、この人が、「演技指導論草案」っていう、演技指導についておもいついたよしなしごとを、そこはかとなく箇条書きに書いたものが残っていて、これがなかなか含蓄に富んでいて、今日読んでも面白い。で、これは短くてすぐ読めちゃう。 で、これに映画評論家の佐藤忠男さんが、その箇条書きに合わせて、昔の映画から最近の映画までの色んな俳優や監督のエピソード裏話を散りばめて、肉付けした読み物が、この本。 多少仕事的な興味もあって読んだのですが、当たり前だけどまあこういう本は恋愛論の本みたいなもので、面白いテキストであることと、実践マニュアルであることは全く別なんで(笑)、こっちもそこはあくまで職業的な娯楽として読んだ。 そしたら、佐藤忠男さんの、意味合い解釈的な解説はまあ、僕にとっては別に面白いということもなかったのですが、色んな裏話とかエピソードが、「へ~」度が高くて、面白かった。映画好き、特に日本映画好き、特に昔の映画から映画史的な見方で好きな人、にとっては面白いと思います。 日本で映画制作が始まった頃の「事始」的なお話から、片岡千恵蔵、市川雷蔵、勝新太郎、緒形拳、吉永小百合、小津安二郎、黒澤明、溝口健二、清水宏、木下恵介、阪東妻三郎、是枝裕和、羽仁進、キアロスタミ、高峰秀子、山田洋次、浦山桐郎・・・・ 色んな楽屋噺的なエピソード満載です。題名のカタサよりも、中身は論文というより、映画千夜一夜オモシロ噺、ってかんじでした。
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「演技指導論草案」をネットで読み、他の人の解釈が知りたくてこの本を読んだ。時代背景や具体的な作品と絡めていろいろ解説してくれてるので、へ~という感じ。演出家と役者の関係は、他の関係に置き換えても色々と成り立つ。漫画編集者と漫画家の関係もそのひとつ。
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伊丹万作は、110年前の1900年1月2日に愛媛県松山市に生まれた映画監督で1946年に46歳で亡くなる。
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