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人ありて の商品レビュー

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2017/09/10

頭山満とその周辺の人々を描く一冊。著者二人はいずれも新聞記者で本書も読売新聞への連載を単行本化したものである。したがって、文章は大変読みやすい。 「人ありて」というのは本書の示さんとする頭山満像をよく表している。思想云々の前にまず人間だ、頭山が人間として魅力的だったからこそ彼の...

頭山満とその周辺の人々を描く一冊。著者二人はいずれも新聞記者で本書も読売新聞への連載を単行本化したものである。したがって、文章は大変読みやすい。 「人ありて」というのは本書の示さんとする頭山満像をよく表している。思想云々の前にまず人間だ、頭山が人間として魅力的だったからこそ彼のもとにはたくさんの有志が集ったのだ、というわけである。ゆえに本書は豊富なエピソードをもってその人間を描こうとする。それらのエピソードはとても興味深いものであり、明治人の強烈なバイタリティを物語るものである。これを読むと、かの時代と現代、この間に人間は確かに変化したのだと思わざるをえない。 もちろん本書ではこのアプローチの帰結として、頭山の思想的変遷についてはほとんど語られないし、背景となる歴史に対する叙述も薄い。一人の人間を歴史上に位置づけるには、やはりその部分は外せないと僕は思う。また、新聞連載ゆえかもしれないが、叙述対象があちこちに飛ぶので、頭山の伝記として読むにはやや難があると注意を促しておきたい(なお、著者の一人・井川聡氏は最近、潮書房光人社より『頭山満伝 ただ一人で千万人に抗した男』を刊行されたようである)。

Posted byブクログ