深爪 の商品レビュー

中山可穂(著者)

　この作品は中山さん…

[文庫ＯＦＦ]

　この作品は中山さんの他の作品にくらべ軽いような気がした。勿論元々同性愛・叶わぬ恋を描く作家さんなので　軽いといっても他の作家さんに比べると十分に重いのだけど・・・・・そうタイトル通りチクリとする痛みなのだ　致命傷ではない

2015/06/26

登場人物3人それぞれが語る三部構成。
同性愛者の女性2人と女性に妻を寝取られた男性。
特に最後の男性の壊れそうで壊れないギリギリの心理状態の描写がリアルで切なく応援したくなる。前半2部が濃密な感じから3部はさわやかさすら感じるので読後感はすっきり。

2015/05/30

主要な登場人物３人の視点で書かれた３編の連作短編集。３人ともに理解に苦しむ所があるし、でも人間らしい自分勝手さに好感が持てるし。大人は各々自分のこれからの道を見つけた感じで終わるが、嵐はどうなのかな。吃音が治ったことだけは救い。まっすぐに成長しますように。

2014/03/17

相手が同性だろうと異性だろうと恋愛の形に決まった形はなくて、もしあるとすれば「二人の形」が無数にあるんだろう。

人妻ばかり選ぶなつめが吹雪に離婚を迫るのは、なんだかなと思った。吹雪が子供を置いて、家に帰らなくなるのもその気持ちはよくわからない。
マツキヨは異性同士の「恋愛の形」しか知らないし、きっと一生理解出来ない。受け皿が無いと言うのはそう言うことで、そこに拒否が無いだけまだマシと言うか。人が良いのは伝わった。

「自分の形」を誰かに添わせてみんなが幸せになればいいと思う。

2021/12/15

妻を女に寝取られたマツキヨへの愛しさが止まらない。
連作集で、語り手が変わることの面白さを久しぶりに感じた。
女性同士の恋愛の物語を読んだのは初めてだったけれど、とても熱かった。

2012/09/23

人妻吹雪との恋に溺れていくなつめは、深みにはまるにつれて彼女の夫マツキヨに対して強烈な嫉妬を燃やすが、マツキヨは女同士の恋愛は問題ないと寛容な態度。
一つの濃密な恋が終わり、新しい恋、新しい生活が始まるその過程を、なつめ、吹雪、マツキヨの３人を視点とした３つの物語でつなぐ。
せっぱつまった感情が支配する前半に比べ、後半は安らかと言っていいくらいゆったりとしている。そのせいか、今まで読んだ彼女の作品の中では、特別に落ち着いた印象を受けた。

2012/09/11

「男遊びは嫌だけど、女の子とならいいよ」─同性愛者の妻を持った夫のこの一言の、なんと優しく、重いことか。悪意がこれっぽっちもなくとも簡単に人をきずつけることができるのだということに改めてショックを受ける。夫がまぎれもない善人であるから特に。

2012/07/14

狂おしい恋愛の描写いつもより控え目。中山さんの他の作品のように読みながら心が痛くなることはなかったです。
3人の視点から物語が作られていて、面白い。語られる人が変わることよって新たな発見があるわけでは必ずしもないけれど、それぞれの気持ちを感じられてよかった。特にマツキヨの心理は1.2章では全く読み取れなかったので、それが語られる最後の章は興味深かった！

マツキヨにはどうも同情し共感してしまいます。だから嵐が父を離れ母のもとにいったことでどもりが治ったのはなんだか悔しかった。それは直接な理由じゃないのかもしれないけど、結果的にそうなっている終わりはちょっと嫌だな。

2011/11/25

いつもながら可穂さんの作品は読み始めると、カッパえびせんの
ように止まらなくなってしまいます。(∩.∩）
僕はやっぱりマツキヨさんの気持ちに同情してしまいました。
男として家族を愛する気持ちに感動しました。

2011/10/16

レズの話かぁ…キツイな～と思っていたら、その構成に参った。
１章目は、愛人（といっても女）の視点から恋人（主婦）とその夫と子供を描く。２章目は、その主婦の視点から、３章目は夫の視点から。１、２章目では「何を考えているのかわからない夫」とでもいうようなキャラだが、３章目に良い味を出す。