深爪 の商品レビュー

中山可穂(著者)

2011/01/27

わたしにとっての、中山可穂さん２冊目。

最初が『弱法師』だったので、どきどきしながら手に取った。と、いうのはこの人が堂々と女性の恋愛をセックスを描くからで、わたし自身がこのひとに引きずられてしまうんじゃないか、と危惧していたから。

中山さんは、「ジャガイモよりサツマイモが好き」という、文句をすごくさらりと言ってしまうものだから、どうしたって魅力的だ。
本書にしても、「切った爪がお前を恋しがる」という自由律詩がするりとダイナミックに入ってくる。

わたしにその真意が理解しきれる時がくるのか、、はわからないけれど（未だ方向性定まらず）、体験してみたいとも思ってしまう。
いい意味で怖いことだ。

登場人物それぞれの視点と、少しずつずれた時間軸の3章立て。わたしは終章の「魔王」が好き。

出てくる女性がいちいちすべて魅力的で、大胆で、純粋で儚くて、美しいのはどうしてだろう。

きっと中山さんが、そうした女性の一番心のやわらかいところ、一番よわいところを知っていて、そしてそれをとても美しく見られる女性だからだろう、と勝手に思ってしまう。

熱が出たみたいな気持ちになる１冊。

2009/12/05

読んでいて、まとわりつくような恋愛の匂いに眩暈がしました。一番印象に残ったのはマツキヨですね。興味深い。

2009/10/07

連作短編小説集

作者によるあとがきに、
「実際、わたしはまるで伝道師のように、女どうしの恋愛小説ばかり書いてきた。
　こっちの水は甘いぞと、未開拓の者たちの意識下にひそかに囁き続けてきた」
とあったのですが、まさにそんなかんじよね、中山さんってね。

正直、彼女の本を読み始めた当初は「うわぁ・・・」と思っていましたとも。
そっちのけがないので。
でも今えーと3冊目かな、になるとなんてことない。
これってすごいことだなぁとぼんやり思ったり。
この手の思考及び嗜好の垣根を越えるのってなかなか難しそうだから。

物語に引き込まれるとはこういうことなんだろなー。
スラスラ読めました。
3人の主人公が各篇（3篇）で語り手となる連作小説。
力量を感じましたとも。
つなぎ方が上手いです。なぁなぁじゃないかんじ。
時間がうまく進みながら無駄に登場人物を増やさずに心理描写をキッチリと。

欲を言うならば4人目の篇があってもよかったような・・・
でもそうなると終わらなくなっちゃうのかな。難しい。

うーむ、中山さんは今後も楽しみです。

【あらすじ：byAmazon】
どうしようもなく好きになった。体が溶けるほど求め合い、もう二度と離れられないと知った。
運命の恋なのに、涙が止まらない。なぜならあなたは人妻だから ―。
強く惹かれあい、もつれあい、傷つけあう二人の女性「なつめ」と「吹雪」。
幼い子供を守るために、壊れかけた家庭を再生しようという吹雪の夫「マツキヨ」。
相容れぬ二つの絆で結ばれた者たちが織り成す、愛と赦しの物語。

2009/10/07

再読してみると、吹雪の性格が気に入らなくてモヤ・・としましたが。
マツキヨは中山可穂作品の中で最も好意的に描かれている男性な気がする。
それにしても失恋地獄は恐ろしいよなー。

2009/10/04

なつめ、吹雪、マツキヨの三人の視点から成る小説。
笙子さんが私の読んだ中山さんの作品の中で一番誠実。
そして格好良い。

2009/10/04

先入観無しで読んでみて、
レズビアンが題材であることはあとから気付いた。
自分の妻を、女に寝盗られるという男の切なさ、
子供を置いてまで女の元へ走る妻、
その妻がバイであると知りながら寝盗るレズビアンの女。
どれも共感はできなかったが、
読み物としては面白かった。

2011/10/13

表題の意味がわかると、心が震える。
私はこれほどひたむきに、誰かを愛したことがあるだろうか、誰かに愛されたことがあるだろうか。

2009/10/04

私には、マツキヨの気持ちは分からない。同時に、子供を壊してしまうような恋というもののあり方を、様々に考えた。

2009/10/04

すっごいフェミニンなお姉さんが深爪してると「この人ビアン！？」と疑ってしまうのは私だけでしょうか？実際は美容師さんとか、爪伸ばせない職業の人の確率の方が高いんでしょうけどね。
でも、「深爪」と聞いてやらしーことを考えるのってビアンの人くらいなんだなぁ。と思いました。そりゃそうか。ちなみに私も超深爪です。
いや、ただ単に、爪が割れやすいからですよ（笑）

2009/10/04

内容（「BOOK」データベースより）
どうしようもなく好きになった。体が溶けるほど求め合い、もう二度と離れられないと知った。
運命の恋なのに、涙が止まらない。
なぜならあなたは人妻だから―。強く惹かれあい、もつれあい、傷つけあう二人の女性「なつめ」と「吹雪」。
幼い子供を守るために、壊れかけた家庭を再生しようという吹雪の夫「マツキヨ」。
相容れぬ二つの絆で結ばれた者たちが織り成す、愛と赦しの物語。