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カイエ・ソバージュ 愛と経済のロゴス(3) の商品レビュー

3.5

19件のお客様レビュー

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2010/09/06

第1巻で加速し、第2巻で浮遊し、この第3巻では、本来並んで語れることの少ない現世の2大キーワード「愛」と「経済」をひとつにした巨大クラウドに突入! いやあ、大胆な試みです。面白い。 「交換」という方法だけが支配する世界では、人が、気持ちが阻害されてしまう。おカネを稼ぐために経済社...

第1巻で加速し、第2巻で浮遊し、この第3巻では、本来並んで語れることの少ない現世の2大キーワード「愛」と「経済」をひとつにした巨大クラウドに突入! いやあ、大胆な試みです。面白い。 「交換」という方法だけが支配する世界では、人が、気持ちが阻害されてしまう。おカネを稼ぐために経済社会のシステムに埋没し、労働のリアルな幸福感を得ることができにくい、かなしき状況はここ何十年か続いていて、もう限界だろうと、多くの日本人が思っているのではないでしょうか? では、どうしたらよいのか? そのひとつの答えとして、古来にあった「贈与」あるいは「純粋贈与」という方法の存在を提示してくれています。 そして、もうひとつ重要な提言として、神話が語るところによると「適切な質問をしない」(問いを発しない、および、尋ね方が間違っている)ことは滅びに加担するのと同じこと、という言葉も重みがありました。 気づき、適切に発言していく、そろそろそういう責任が私たちに課せられていることを諭してくれるナイスな本。

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2010/08/29

中沢新一のカイエ・ソバージュ 第三巻。 まずは気になったところを羅列。 序章より ・経済の深層部分で「愛」と融合しあっている。 第一章より ・経済の基本であるのは「交換」「贈与」「純粋贈与」。三つは相互に結びついている。ラカンは「ボロメオの結び目」と呼んだ。 ・贈与は中間的...

中沢新一のカイエ・ソバージュ 第三巻。 まずは気になったところを羅列。 序章より ・経済の深層部分で「愛」と融合しあっている。 第一章より ・経済の基本であるのは「交換」「贈与」「純粋贈与」。三つは相互に結びついている。ラカンは「ボロメオの結び目」と呼んだ。 ・贈与は中間的対象。交換はモノと人格を分離する。 第三章より ・ラスコーなどの壁面に描かれた動物」などは「無からの有の創造」を思考したという、純粋贈与の形を感じていたのではないか。 ・洞窟の奥に描かれたパイソンの横に倒れているペニスがエレクトしている男性はシャーマンだったのではないか。いわゆる「ドラックパーティー」に使われていて二酸化炭素中毒により「死」と隣り合わせの状態を描いていたのでは。 ・洞窟壁画は芸術の始まりと捉えられてきたが、抽象思考の始まりの場所であったのではないか。 ・考古学的発掘品をみると、たとえばパイソンの角に13本の刻み目が彫りこんである。それは月の満ち欠けを表わしていてカレンダーとして使っていたのではないか。 ・豊穣の女神を表わす、山羊の角を杯とする聖杯「コルヌコピア」は無から有を創造するように現実の富を生み出す能力を表わしている。 第四章より ・贈与と交換は社会を流動させる。 ・鍛冶と音楽と貨幣は深い関連をもつ。神話では鍛冶屋は音楽家として描かれる。これは叩くとこに由来している。そして金属は貨幣に関連している。 第五章より ・労働の贈与と純粋贈与する大地が交じり合い、純生産は生まれる。人の繊細な技術によって、大地は悦楽し、増殖が起こり、剰余価値が発生する。 第六章より ・資本主義において価値の増殖は表象の「トリック」によってつくられる。 ・資本主義の価値増殖は「笑い」の生理作用と似ている。 ・幼児が母親の乳房から養分を取る悦楽の中にも贈与的なつながりがみえる。 ・マルクスは経済活動を通して贈与の原理を働かせて愛の関係を生まれることを望んでいた。 第七章より ・経済の基本、価値の増殖の関係はキリスト教の三位一体の図式と同じ。 ・クリスマスにはいろいろなタイプの精霊がでてくるため、資本の増殖と霊の増殖を一緒にお祝いできる。クリスマスこそわれわれの夢を実現しているのではないか。 ・現代は何でも経済の影響化にある。その時代で生きている私たちは「荒廃」している現代の意味を考えなければならない。 この書はタイトルがまずいい。 「愛」と「経済」と一見結びつかない二つがテーマとなっている。 しかし本書にてその二つは見事に結びつく。 中沢新一流経済学書は世の中の経済の流れを教えてくれるのではない。 経済の誕生とそこに生きている私たちの意味を提議してくれている。大変興味深く読ませていただいた。 世の中にある「モノ」に意味のないものなんてない。 すべてに意味・理由があり、それらは繋がっているのだ。

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2010/07/14

[ 内容 ] [ 目次 ] 序章 全体性の運動としての「愛」と「経済」 第1章 交換と贈与 第2章 純粋贈与する神 第3章 増殖の秘密 第4章 埋蔵金から聖杯へ 第5章 最後のコルヌコピア 第6章 マルクスの悦楽 第7章 聖霊と資本 終章 荒廃国からの脱出 [ POP ] ...

[ 内容 ] [ 目次 ] 序章 全体性の運動としての「愛」と「経済」 第1章 交換と贈与 第2章 純粋贈与する神 第3章 増殖の秘密 第4章 埋蔵金から聖杯へ 第5章 最後のコルヌコピア 第6章 マルクスの悦楽 第7章 聖霊と資本 終章 荒廃国からの脱出 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/03/21

マルセル・モースの『贈与論』の学説をさらに発展させ、「純粋贈与」という概念を使うことで贈与サイクルの仕組みをわかりやすく説明している。 講義録なので、かなり文体も砕けていて読みやすい。

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2010/01/10

本当の豊かさとは? 資本増殖の秘密とは? 貨幣と魔術、愛と資本主義。全体性の運動としての経済と精神の構造は同一。資本主義の彼方に出現する「未知の贈与論」を探究する。

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2009/10/04

中沢新一さんのシリーズ第三段。今回は経済について。三位一体モデルと同じ構造をしている経済のシステム。そしてそれは…

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2009/10/04

現在は、あらゆることが経済によって決まる。つまり、儲かるかどうかということ。そうした経済の論理は「交換」によってなりたっている。等価交換、ある価値があるものには、その対価をはらわなければならない。一方、「贈与」も行われる。迂遠な「交換」の一形態ともとらえられるが、実は、「交換」よ...

現在は、あらゆることが経済によって決まる。つまり、儲かるかどうかということ。そうした経済の論理は「交換」によってなりたっている。等価交換、ある価値があるものには、その対価をはらわなければならない。一方、「贈与」も行われる。迂遠な「交換」の一形態ともとらえられるが、実は、「交換」より前に成立していたシステムだ。 しかし、この「交換」「贈与」だけで説明できないものが世の中にはある。その最たるものが、「生」と「死」。生まれてきたとき、その命はどこから贈られたのか?死んだのち、その命はどこへ贈られたのか?その対価は何なのか?誰にたいして支払われ、また誰が支払うものなのか。この現象がおそらく「純粋贈与」なのだと思う。誰が、誰に、何を贈った?どの全てが分からず、知覚もされない「純粋贈与」。しかし、これが働かなければ、全ては生まれず、消滅さえしない。

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2009/10/04

かつてあんなに饒舌だった自然が、沈黙し始めている。かつてないほどの豊かな社会となったはずなのに、ちっとも豊かさが感じられない現代。「交換」「贈与」「純粋贈与」のバランスが崩れている。とどまることなく豊かさを与えてくれるもの=「コルヌコピア」への問いかけを人間は間違えてしまったよう...

かつてあんなに饒舌だった自然が、沈黙し始めている。かつてないほどの豊かな社会となったはずなのに、ちっとも豊かさが感じられない現代。「交換」「贈与」「純粋贈与」のバランスが崩れている。とどまることなく豊かさを与えてくれるもの=「コルヌコピア」への問いかけを人間は間違えてしまったようだ。 2006.02.27-03.17

Posted byブクログ

2019/12/24

シリーズもあと2作で完結。相変わらず面白かったけど、頭が悪くてなんとなくの雰囲気しかわからない。 しょせん私は文科系。 でも、「贈り物」とは奥が深〜い、というのだけは良くわかりました。

Posted byブクログ