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北朝鮮「楽園」の残骸 の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2013/04/21

旧東ドイツ出身の青年が(自分と同い年)、実際にNGOで北朝鮮へ入国し、状況をまとめた著書。 写真も結構掲載されていて、未知の国の実態がよく分かる。 環境は劣悪。 逆に、日本の社会や、会社の中の秩序とか、考えさせられた。

Posted byブクログ

2013/04/21

旧東ドイツ出身の青年が見た北朝鮮。 社会主義体制を知る著者は「他の外国人」のように北朝鮮を完全な異物としては見ない。 子供の頃に知っていた世界との共通項を感じ取る。 著者の書き方は問答無用で全否定する「西側」の語りとは違う。 重んじられているものをある程度理解した他者の視線で冷...

旧東ドイツ出身の青年が見た北朝鮮。 社会主義体制を知る著者は「他の外国人」のように北朝鮮を完全な異物としては見ない。 子供の頃に知っていた世界との共通項を感じ取る。 著者の書き方は問答無用で全否定する「西側」の語りとは違う。 重んじられているものをある程度理解した他者の視線で冷静に分析する。 健全な距離を持って、反射ではない共感や否定を記す。 著者にとってのこの本は、東独というものさしで北朝鮮を読むと同時に、北朝鮮というものさしで東独を読み直す自分の記録でもある。 旧東独出身の著者と北朝鮮のあいだには、全体主義という共有部分がある。 しかし同僚の韓国人がアリランに感じた郷愁は共有できない。 著者にとっての社会体制の類似と文化の相違をみて、読んでいる私は自国を頭に浮かべ、文化の類似と社会体制の相違について思いをめぐらすことができる。 我が身に降りかかることを自分で決めていいという発想がなかったり、目の前に見える豊かな暮らしを自分と完全に切り離した世界として享受できてしまう(遠すぎて比較対象にならない)感覚が、たぶんその状況になったらあっさりなじめてしまうんだろうと思えて怖かった。 そういう、地続きの部分に気づかせてくれた。

Posted byブクログ