閉じた本 の商品レビュー
交通事故で盲目になったことから隠棲していた作家が、回想録の口述筆記のため助手を募集した。助手となった青年は有能で回想録は順調に進んでいくが、ちょっとしたきっかけで作家は彼の誠実さを疑いだし、疑心暗鬼にかられてゆく… ほぼ全編が会話でなりたっており、読者も助手の言葉でしか周囲の世界...
交通事故で盲目になったことから隠棲していた作家が、回想録の口述筆記のため助手を募集した。助手となった青年は有能で回想録は順調に進んでいくが、ちょっとしたきっかけで作家は彼の誠実さを疑いだし、疑心暗鬼にかられてゆく… ほぼ全編が会話でなりたっており、読者も助手の言葉でしか周囲の世界を知ることができないため、盲目であることの恐怖がリアルに感じられる。サスペンスが地味なのでラストが今ひとつ盛り上がらず終わってしまった気がするが、最後のオチはなるほどと思った。
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これはすっごく面白かった! 多分、フランス語のフリーペーパー「フラン・パルレ」で読んだ記事で、ジョルジュ・ペレック「消失」っていう、eを全く使わない小説をeを使わずに英訳した人、っていうことで名前を覚えていた。(和訳されましたね)小説もこんなに面白いの書くんだ~!ヒッチコックっぽさは否めませんが。
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(ほぼ)会話文だけでも小説って成り立つんだねぇ。そして小説だからこその展開。二転三転とあるけれど、それはおいといても、小説を読むということと視力を失って生活するということが似たようなものだと気づかされただけでも目からウロコだったな、と。
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ほとんど会話のみで話が進んでいく。 主人公が事故で眼球を失った作家なので、音だけが頼りの生活をしている。 読んでるこちら側も、表情だとか場面の描写がないので会話だけを頼りに内容を知るしかないので、目が見えないような感覚になる。 どこまでが本当でどこからが嘘なのか分からないので、読...
ほとんど会話のみで話が進んでいく。 主人公が事故で眼球を失った作家なので、音だけが頼りの生活をしている。 読んでるこちら側も、表情だとか場面の描写がないので会話だけを頼りに内容を知るしかないので、目が見えないような感覚になる。 どこまでが本当でどこからが嘘なのか分からないので、読み終わるまでドキドキできて面白かった。 一部衝撃的な部分もあったけれど・・・。
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主観で構成される世界。 この本について特記すべきはその形式だ。 盲人の一人称で語られる文章は会話分と主人公の独白で成り立っている。 彼がアシスタントを雇うところから物語は始まる。 これまで過去の記憶だけで世界が成り立っていた主人公に対して、アシスタントは彼が記憶を失ってからの...
主観で構成される世界。 この本について特記すべきはその形式だ。 盲人の一人称で語られる文章は会話分と主人公の独白で成り立っている。 彼がアシスタントを雇うところから物語は始まる。 これまで過去の記憶だけで世界が成り立っていた主人公に対して、アシスタントは彼が記憶を失ってからの世界をもたらす。 だが、それは安寧な世界の崩壊だった。 記憶の風化を突きつけ、更にはアシスタントの言動の不一致など彼は次第に混乱と不信感を募らせていく。 短い話だが、読んでいくうちに主人公と同じように盲目になっていく感覚を味わう。 手探りでアシスタントの提供する情報を鵜呑みにしながら現実との齟齬に混乱していく。 思えば読書とは元々盲目な行為だ。 文章から与えられる情報をもとに情景を想像していかなければいけない。 地の文の存在を意識する一冊。
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居心地の悪い、主人公の作家にとってものすごく悪い事件・事実が待っているだろうという予感とともにぐいぐい読み進んだ。 文庫版を店頭で見つけて借りてきたんだけども、説明文や帯がとてもよかったのでちょっと違う方向に期待しすぎた。 もうちょっと二転三転するか、もうちょっと壮大な種明かし...
居心地の悪い、主人公の作家にとってものすごく悪い事件・事実が待っているだろうという予感とともにぐいぐい読み進んだ。 文庫版を店頭で見つけて借りてきたんだけども、説明文や帯がとてもよかったのでちょっと違う方向に期待しすぎた。 もうちょっと二転三転するか、もうちょっと壮大な種明かしがあるかと思ったけど、これはこれで・・・・良い意味で個人的な、救いのない毒悪なラスト。 語り方がすごくよかったけど、普通の小説の書き方だったらまた違う雰囲気になったんだろうなあ、あたりまえだけど。
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【図書館・09.1.23】 まさしく小説じゃないと表現出来ないな、この話は。 主人公は盲人。故に、視覚による風景の描写が全くない。ほとんどが台詞のみで、後は、少しばかりの独白という構成。 台詞のみの文章を読むのに、いかに想像力が必要なのかがよくわかる。 それにしても心理的に怖...
【図書館・09.1.23】 まさしく小説じゃないと表現出来ないな、この話は。 主人公は盲人。故に、視覚による風景の描写が全くない。ほとんどが台詞のみで、後は、少しばかりの独白という構成。 台詞のみの文章を読むのに、いかに想像力が必要なのかがよくわかる。 それにしても心理的に怖くて震えるよ、これは。ラストは「あああああ〜(『あれ』は)そういうことかぁ〜〜」ってなる。間違いなく。 (何しろ『あれ』には、「何?何でわざわざあんなでこんなになってるのイライラっ」となったので…) 小説の中で、読者が飛ばして読む部分について、云々かんぬん…っていうのがあったと思うけれど、まさしく『あれ』が飛ばして読みたくなるそれじゃねーか! と思ったのね、途中では。もしかしたら、そういう効果もあるのかも知れないけど、飛ばして読んじゃったけど実は…!って。穿ちすぎ?
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「ドリーマーズ」に続いて読んでみた。サスペンス。 独白と会話のみで構成されている。斬新といえば斬新、それは盲目の主人公の世界そのもので。 何と言うか、お話の筋はシンプルで、でも構成に特徴があるから、上手く差し引きされる感じ。 あとがき冒頭に「ネタばれ注意」があるのが良...
「ドリーマーズ」に続いて読んでみた。サスペンス。 独白と会話のみで構成されている。斬新といえば斬新、それは盲目の主人公の世界そのもので。 何と言うか、お話の筋はシンプルで、でも構成に特徴があるから、上手く差し引きされる感じ。 あとがき冒頭に「ネタばれ注意」があるのが良かった。
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盲目の作家と小説を書く手助けをする男の話。 盲目の人の恐怖がよく伝わってい来るんだけど 終盤まで淡々と新しい小説の話と気難しい作家と周りの人達のやり取りが続くので正直飽きてしまいました。 終盤に訪れる驚きは予想外の展開でしたが最後の最後が微妙でした。 別に面白くないわけ...
盲目の作家と小説を書く手助けをする男の話。 盲目の人の恐怖がよく伝わってい来るんだけど 終盤まで淡々と新しい小説の話と気難しい作家と周りの人達のやり取りが続くので正直飽きてしまいました。 終盤に訪れる驚きは予想外の展開でしたが最後の最後が微妙でした。 別に面白くないわけではないんだけど物足りない感じがした。本を読んでいるというよりも映画を観ている感じだったな
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「ブッカー賞なども受賞している有名作家のポール。 彼は事故に会い、顔をひどく損傷し、目も失った。 彼は自伝的作品を書くために、秘書兼代筆者を雇う。 やって来たのはジョン・ライダーという男。 完璧とは言い難いが、人当たりも悪くないし、 気むずかしい彼に腹を立てることもなく、甲斐甲斐...
「ブッカー賞なども受賞している有名作家のポール。 彼は事故に会い、顔をひどく損傷し、目も失った。 彼は自伝的作品を書くために、秘書兼代筆者を雇う。 やって来たのはジョン・ライダーという男。 完璧とは言い難いが、人当たりも悪くないし、 気むずかしい彼に腹を立てることもなく、甲斐甲斐しく働いてくれる。 信頼が結ばれ、もはやジョンのいない生活も想像できなくなっていたが、 ネクタイが掛けてある順番が記憶と違っていたり、 代わりに取材に行ってもらったうのだが、自分の記憶と彼の語る言葉では微妙に変わっていたり、 聞かされるニュースも意外なものばかり。 自分は目だけでなく、記憶も衰えてのか? そして、何か居心地の悪いものを感じ始める。 ジョン・ライダーは何者なのか?」 文章は台詞と独白文しかないため、読者は盲人のポールの様子を追体験できる。 ジョンの容姿も何をしているのかもまるでわからず、ただ言葉だけが聞こえる。 これがかなり怖い。 ポールにとって、外の世界を形作っているのはジョンの言葉だけなのだ。 トラファルガー広場の4隅には3体の像があり、一つは空いているはずなのだが、 ジョンが取材に行ったところ、最近になって4体目が立ったという。 ポールはこれを信じるしかないわけで、 日本人読者としては3体しかなかったというのも知らないから、なおさらわからない。 ジョンの言っていることは本当なのか、嘘なのか…… 本自体もそんなに長くない上、台詞しかないからすぐ読み終わる。 かといって、内容が薄いかというと、そうではなく、 最初から緊張しっぱなし。 これは映像化は無理とは言わないまでも、同じ緊張を与えるのは難しいだろうなぁ。 ラジオドラマが一番かな。 ラストも、「ああ、なるほど」と満足。 オススメ。
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