孔子伝 の商品レビュー
酒見賢一氏の「陋巷にあり」の元ねた本?だそうで、白川静にも興味があり孔子にも興味が沸き読み始めた一冊。第一にこの本は、通常の辞書を引いても載ってない漢字や異体字や単語が頻出しており、しかもそのほとんどにルビがふっておらず、又注釈も無いために、一般読者に対しては非常に苦読を強いられ...
酒見賢一氏の「陋巷にあり」の元ねた本?だそうで、白川静にも興味があり孔子にも興味が沸き読み始めた一冊。第一にこの本は、通常の辞書を引いても載ってない漢字や異体字や単語が頻出しており、しかもそのほとんどにルビがふっておらず、又注釈も無いために、一般読者に対しては非常に苦読を強いられる。一方で、孔子の生まれ育ちや、亡命・放浪の話、弟子達の話等、白川氏独自の推測を自由に述べている項などは比較的分かりやすいです。ともあれ、一読して分からなかった部分を、もう一回調べ直して検討したい一冊。
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とてもおもしろい。碩学の著者の見解を批判するだけの見識は私にはないが、非常に説得力のある孔子像が展開される。儒が巫儒であり呪であることは、この本を元ネタにした諸星大二郎の「孔子暗黒伝」、酒見賢一の「陋巷に在り」で奔放に展開されたが、著者の分析と数々の根拠の提示には自然に納得させられる。単純な孔子伝ではなく、当時の時代背景の把握、墨家、荘子との比較も非常に興味深い。これだけの深い考察が、中国ではなく日本の学者によってなされたことには感動を覚える。手元に「論語」を置いて読まれることを薦める。白川さんの解説で、漢文の時間に習ったものと、まったく違った論語が見えてくるのが楽しい。
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個人的な話。中学入学のとき、幼馴染で1年先輩のAさんがyuuちゃん、僕のクラブへおいでよ、というので入部した。何と校長先生の元、論語を読むクラブ。毎週1回だったけれど、論語って読みやすくて、記憶に残るんですよね。 白川先生の孔子論。期待に違わず。 儒教は坐祝を母体としている。孔...
個人的な話。中学入学のとき、幼馴染で1年先輩のAさんがyuuちゃん、僕のクラブへおいでよ、というので入部した。何と校長先生の元、論語を読むクラブ。毎週1回だったけれど、論語って読みやすくて、記憶に残るんですよね。 白川先生の孔子論。期待に違わず。 儒教は坐祝を母体としている。孔子は学を好んだが、それは古典ではない。古典は未成熟だった。 陽虎は孔子の影のようだと云われるが、実際、占いをし、門下を持ち、孔子に良く似た存在だった。 仁は全人間的なありかたを表現する言葉。老荘思想は南方の楚、また滅んだ殷の人々の国、宋から生まれた。 へ〜、と思うこと多し。魯からの亡命が孔子の思索を深めたという指摘がこの本の論旨の中心。学而篇はその晩年のエピソード。 中学時代に読んだ論語を思い出し、納得。 論語の成立の謎も明らかにしている。亡命時代に孔子に最後まで付き従ったのは子路と顔回。顔回の記録したエピソードに孔子の死後に家を守った子貢が纏めたものに後の時代の思惑が幾重にも追加されていったと論証されていく。 「論語の文章は、簡潔で美しい」 確かに、その通り。その簡潔な文章で伝えられる孔子と弟子たちのやり取りを読むのは楽しい。子路は忠義者の一番弟子。いつも孔子に怒られたり、へこまされている。ヤクザ上がりで、オツムが弱いのかと思っていたが、本当は家宰としての能力もあるのだという。 白川先生は子路は師に誉めてもらいたくて話をふっているという。ああ、そうか。顔回か子貢が記したのだろうか。そう思うと、兄弟子と師への尊敬と愛情が感じられる。 顔回のことを記したのは子貢か。顔回への称賛も、その早すぎる死を悼む気持ちが書かせたものだろう。世俗的な立身出世に無頓着。孔子の後を継げるはずの英才。孔子が手放しに誉めた弟子。 こうしたエピソードと昔、授業で読んだ孟子の長くクドイ文章を比べ、まったく雲泥の差だと思う。 しかし、孔子の思想とは何なのだろう。本当のことを云えば、論語を読んでもさっぱり判らない。礼を重んじた。仁という言葉でイデアに名を与えた。周を理想とした。顔回だけが孔子のイデアを理解した。でも、そのイデアとは。 昔から論語を読んで不思議なのは、顔回への称賛。他の弟子が宮仕えをする中、かなり無口で貧しい暮らしをするこの弟子の何が凄いのか、判らなかった。他の弟子も顔回の凄さを認めていたのだから、孔子のイデアはある程度教団内では共有されていたということか。一を聴いて十を知るの段を思い返す。子貢だからこそ顔回を惜しんだのだ。 論語の素晴らしさを再認したが、謎が深まったような気がする。
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ト. 2010.8.20 孔子論語だけで無く、その時代の背景までかいてある 後日、図書館に行ったら、白川さんってすごい人だと知った
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諸星大二郎「孔子暗黒伝」の元ネタ。 白川先生の孔子の伝記。 白川先生ならではのアプローチ、漢字から孔子の出自や教えを推理していく展開はスリリング。 諸子百家との比較もコンパクトで良い。特に墨家との類似点・相違点は興味深い。
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