モダンガール論 の商品レビュー
近代日本の女性たちの…
近代日本の女性たちの生き方を紹介した本。文章が軽妙なので読みやすいです。
文庫OFF
だいぶ前に読んだのを再読。時代は変化し続けているが、この本が出てから20年ぐらい経っているので、モダンガール近代史をまた書いて欲しい!
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「女の子には出世の道が二つある。」が最初の見出し。その二つとは、「立派な職業人になることと立派な家庭人になることだ。」と続く。20世紀の幕開けからその最後までの各時代の憧れの女性像と現実の女性像を解説している。私は以前から斎藤美奈子の書いた本が大好きだったがこの本のあとがきで彼女...
「女の子には出世の道が二つある。」が最初の見出し。その二つとは、「立派な職業人になることと立派な家庭人になることだ。」と続く。20世紀の幕開けからその最後までの各時代の憧れの女性像と現実の女性像を解説している。私は以前から斎藤美奈子の書いた本が大好きだったがこの本のあとがきで彼女が経済学部の卒業だということを知り、なるほど、この時代の流れと女性の生き方を経済の切り口から分析のうまさはそこからきているのか、と腑に落ちた。久しぶりに読み直しても、おもしろかった。
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斎藤美奈子さんによる近現代日本女性史。歴史の見方は色々あるが、筆者は本書を「欲望史観」と名付けている。つまり、贅沢したい、評価されたい、出世したい…、こうした欲望を軸に、女性の専業主婦化や社会進出が様々な資料から描かれる。斎藤さんの定義するモダンガールは、狭い意味の職業婦人たちだ...
斎藤美奈子さんによる近現代日本女性史。歴史の見方は色々あるが、筆者は本書を「欲望史観」と名付けている。つまり、贅沢したい、評価されたい、出世したい…、こうした欲望を軸に、女性の専業主婦化や社会進出が様々な資料から描かれる。斎藤さんの定義するモダンガールは、狭い意味の職業婦人たちだけではなく、ズバリ「我慢しない女」。これは、「女性解放運動が地位を向上させた」(進歩史観)とも、「女性はずっと虐げられてきた」(抑圧史観)とも違った見方をしますよ、ということでもある。 とり上げられる事例は、女子教育、女工、女中、風俗産業、女性雑誌、女性の戦争協力など幅広く、かつ随所にユーモアや毒舌があふれていて、楽しく勉強になる。あとがきによると、「人間が動かない歴史は歴史じゃない」と語った大学の恩師のゼミで近代史に興味を持ったとのことだが、本書はまさに「人間が動くテキスト」と言えるだろう。 ちなみに、解説はその恩師によるもので、本書へのちょっとした批判も書いている。で、一方の斎藤さんも、『文庫解説ワンダーランド』でこの解説を取り上げて、ちょっとした皮肉を書いている。素敵な師弟関係だなぁ。
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明治末期から百年のあいだの「モダンガール」をお手本に、現代の女の子の生き方を考察した一冊。 僕は本題に加え、消費者と生産者の関係の移り変わりを分析した章を興味深く読みました。 第4章 高度成長の逆襲「あなたも私も専業主婦~恋愛結婚というオプション」 僕には「手作り」をありがた...
明治末期から百年のあいだの「モダンガール」をお手本に、現代の女の子の生き方を考察した一冊。 僕は本題に加え、消費者と生産者の関係の移り変わりを分析した章を興味深く読みました。 第4章 高度成長の逆襲「あなたも私も専業主婦~恋愛結婚というオプション」 僕には「手作り」をありがたがる人が謎だったのですが、 それは、僕が「手作り」と「既製品」の価値観が逆転する時期を生きたからだ、とわかりました。 案外、家庭も「生産者」であった時代から、「消費者」でしかなくなる移り変わりが昭和の後半にあった。と理解しました。 サザエさんは、ミシンで自分が着る洋服を縫っていたけれど、今じゃ既製品を買う方が安い。 僕の父親は秋葉原のジャンク部品屋を回ってテレビを組み立ててたけれど、今じゃ不可能。 家庭が生産の場でもあった時代は、当たり前に手作りをしていて、それは他の家族から「ありがとう」といわれる類いではなく「お疲れ様。」か「ご苦労様」と言われるたぐい。 家庭内の役割果たして「俺に感謝しないとは何事か」と怒る父親や「人にものをもらったらありがとうといいなさい。」と自分が作った食事に対して説教する母親では困ります。 う、本の感想から逸脱しましたね(^_^;
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2003年(底本2000年)刊行。明治からバブル崩壊の頃までの女性社会史を、「欲望史観」という挑発的な切り口で読み解こうとする。欲望、というフレーム設定が、「キモチいいことしたい」というバブル期若年女性層の心性を現していて、こちらが苦笑してしまう。しかしながら、戦前期の女学校に進学可能な層という限定つきではあるが、内容は面白い。特に軍国婦人がモダンガールの帰着点だった、というあたりは、膝を打つ納得の説明。「女工哀史」とは異質の近代女性論が展開されている。
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2015年3月27日読了。 いやー、おもしろかった!女の生き方を書いてるのに「女はこうすべき!」みたいな主張がほとんどないというのが素晴らしい。驚異の公平論理力。
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大正だか昭和だかのモガのポスターを見るたびに女性を抑圧する近代的な空気と晴れやかで軽やかな装いとに幾分相違があって妙に感じるところがあったけれど、この本を読んでかなり視界が良くなりました。 ただやられっぱなしでもないってことね。単純にそう決めつけてしまっても「女は道具や人形じゃない」と尻をけられてしまいますがね。 強固な制度の網目を潜り抜けて、俗にいう女の狡さで立身出世を果たした人もいたし、理想と現実との違いに気づいてまた新たに自分の姿を模索した人もいたし。簡単に言ってしまえばね。 逆に女中奉公などに対しては『台所太平記』などのイメージが強いもんだからあまりの救われなさに心が沈みました。男の救わなさ、か。いやねぇ男って。と、そういう風に悪態を垂れながらいざ女中や嫁には「だらしがないね、それで奉公が務まるのかい」「暇とありゃあ口ばかり動かして、ちっとも家事がはかどらないじゃないか」「こんなまずいおまんまが食えるかい、この子ぁあたしらを殺す気でいるよ」「何だい近頃の若い子は、そろってメリケンとおそろいのかっこうなんかして、ええ?ごらんよあんなビロビロした裾、わんぴぃすってぇのかい?ちょっと足を上げりゃあけっぴろげになっちまうじゃないか。あんなのが一緒の墓に入ってくると思うとあたしゃあご先祖様に顔向けできないよ」などと今までのうっ憤を晴らすかのようにねちねち小言を言う姑ポジションの女もいるもとかって考えてくると…。フェミニストでも喧嘩するわけです。 女性誌・「女性誌」史から見た女性史、というか丸々近代史です。教科書にしちゃわない? 現代に向けてのオチがあまり明るくないけどぜひご一読を。
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モダンガール「論」なのかはともかく、明治以降の女性の社会的位置付けの移り変わりが、非常にわかりやすく、納得的に整理されている。 文献に当たると同時に、女性週刊誌にも注目し、本音ベースの女性の嗜好を掘り起している部分が秀逸。
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日本近代史の中で女性たちが自分たちの人生をどのように切り開いてきたのかを、鋭い批評眼とユーモアを交えて論じた本です。 女学校の登場、職業婦人の生活、そして主婦という生き方への憧れと、それに対する批判などを、女性誌などを広く渉猟しながら明らかにしています。著者は本書のスタンスを「...
日本近代史の中で女性たちが自分たちの人生をどのように切り開いてきたのかを、鋭い批評眼とユーモアを交えて論じた本です。 女学校の登場、職業婦人の生活、そして主婦という生き方への憧れと、それに対する批判などを、女性誌などを広く渉猟しながら明らかにしています。著者は本書のスタンスを「欲望史観」と呼んでおり、「彼女たちは性別役割分業イデオロギーに屈して、いやいやOLや主婦になったのではない。望んでそのコースに乗り、行けるところまで行ったのだ」と言い、「憧れの的だった中流夫人の暮らしが平民レベルに引きずりおろされ」たことをもって、「欲望に忠実なモダンガールは、(途中までは)けっこう上手くやったのである」と結論づけています。 となると、上手くいっていた「途中」よりも後の時代にはどうなったのか、ということが気になるのですが、脱OL・脱専業主婦の生き方を模索したバブル以後、男も女も、「ふつう」に仕事を探して「ふつう」に働くことが求められると語られます。そして、この当たり前のことが分かっただけでも、この100年の歴史は無駄ではなかったと、著者は述べています。どうにも希望のない結論に思えてしまいますが、確かにその通りだと感じてしまいます。もっとも、その後日本の男たちは、またぞろ「もう一つ上」をめざし始めているようではありますが。
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