たらちおの記 の商品レビュー
古里・岡山を思う百間先生の情緒豊かな随筆集なのだけれど、中にはとんでもなくナンセンスな、どうでもいいことが書いてあって面白い。例えば、洋服のポケットについて。 「どうせあるものだから、何でもかでも入れて、ふくらませる。著物の袂糞(たもとくそ)なら両袖しかないが、ポケットは幾つある...
古里・岡山を思う百間先生の情緒豊かな随筆集なのだけれど、中にはとんでもなくナンセンスな、どうでもいいことが書いてあって面白い。例えば、洋服のポケットについて。 「どうせあるものだから、何でもかでも入れて、ふくらませる。著物の袂糞(たもとくそ)なら両袖しかないが、ポケットは幾つあるのか、数えて見ないとわからないが、そのおのおのの、どの底にも艾(もぐさ)の様な小さな毛むくじゃらの塊まりが出来て溜まる。不思議なのは、どのポケットの毛むくじゃらも、中に入れた物が何であろうと、みんな青味を帯びた灰色の一色である」 実にどうでもいい。でも、…わかる!そういえば、ポケットのほこりって青灰色だったなと思う。「袂糞」なんて言葉があるのは初めて知った。
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