ハゴロモ の商品レビュー
つい手にとりたくなるような柔らかな装丁。設定が冬というのに見事にマッチ。本は見た目も大事ですよね。(私はジャケ買いならぬ表紙買いをする時があります。)今作は外観に違わず中身もとても優しいのです。寒い地方(でも北海道まではいかないと思う、私のイメージだと長野くらい?)にある川がある...
つい手にとりたくなるような柔らかな装丁。設定が冬というのに見事にマッチ。本は見た目も大事ですよね。(私はジャケ買いならぬ表紙買いをする時があります。)今作は外観に違わず中身もとても優しいのです。寒い地方(でも北海道まではいかないと思う、私のイメージだと長野くらい?)にある川がある街。心が疲れて帰ってきた主人公を地元の街と人はふわっと雪のように、それとなく癒していく。『ばかだなぁ、流されるのがいいんじゃないか』というお父さんのセリフ。なんて心温まる言葉でしょう。癒されたっという気持ちになれる作品。
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これも、読んだ時にやられたな、と思った。でも不思議とそんなに印象に残らない。タイトルと同じくらい、ハゴロモのように薄く軽く、心に降り積もるのかも。さらりと中に入ってくる話。ぼたん雪より、粉雪といったところ。
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――人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。 ――いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力から ――ふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。 この物語のかたりべである ほたるの思い。 これが この作品の...
――人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。 ――いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力から ――ふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。 この物語のかたりべである ほたるの思い。 これが この作品の全てと言っても けっして言い過ぎではないだろう。 そういう感じが 全編に満ち満ちている。 自然の営み、宇宙の営みから 無理なく何かを受け取れるというのは 訓練とか 修行とかで得られるものでは なかなかなく 命の中に 自然に芽生えるものなのだろう。 とても羨ましく 憧れを持って遠くから眺めてしまう。 ばななさんの描く 何かに疲れた女の子は いつもそんな風に自然や宇宙に寄り添うように近く 私を しばらくの間 ほっとさせてくれる。
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最初だるーく故郷に居るほたるちゃんが最後、じぶんの周りの景色にはっとする瞬間がいいです。これよんでサッポロ一番のラーメン作って食べた。
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近年のよしもとばなな・・・というより個人的には全作品の中でこの作品が一番良い。少女趣味に走りすぎなく、以前から作者がテーマにしてきたオカルトや近親相姦、恋愛といった要素もほとんどなく、作者自身もかなり客観的に物語を描いているように思える。過剰な表現といったものはないし、一連の要素...
近年のよしもとばなな・・・というより個人的には全作品の中でこの作品が一番良い。少女趣味に走りすぎなく、以前から作者がテーマにしてきたオカルトや近親相姦、恋愛といった要素もほとんどなく、作者自身もかなり客観的に物語を描いているように思える。過剰な表現といったものはないし、一連の要素を除いた上で日常を描き、なにより「回復」というテーマを描いたのは意図は違うところにあったのかもしれないが結果的に彼女の作風を最大限に生かしたといえるのではないだろうか
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よしもとばななさんの作品は初めて読みました。 最初は8年間もの愛人生活に突如終わりを告げ、何もなくなった主人公がただ彷徨う姿が描かれており淋しい感じ。恋愛依存って恐いね〜と思いつつも、いなくなってしまった彼との思い出の店や場所やエピソードを追ってしまう女性の気持ちは共感できた。...
よしもとばななさんの作品は初めて読みました。 最初は8年間もの愛人生活に突如終わりを告げ、何もなくなった主人公がただ彷徨う姿が描かれており淋しい感じ。恋愛依存って恐いね〜と思いつつも、いなくなってしまった彼との思い出の店や場所やエピソードを追ってしまう女性の気持ちは共感できた。 と、こんな流れの小説かと思いきや終盤は思いっきりおとぎ話です。読み終わってみると少々急展開のようにも感じるけど違和感は全く感じない。ヒトが傷つき、そして癒されていく過程が本題であり、不倫はおとぎ話のきっかけでしかなかったかのように感じました。 内容的にはバス事故だとか病気で病んでるお母さんとかが出てくるんだけど、悲しげな描写ではなく、読み終わった後ふんわ〜りする感じが不思議。これはまさしく公園読書の一冊かなと思います。
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