論理哲学論考 の商品レビュー
20世紀哲学の方向を…
20世紀哲学の方向を決定づけた著者が、唯一生前に刊行した、前期思想を代表する哲学書です。現実世界を分析し、ついで世界の像たる言語を支えにして、世界の可能性を思考の限界まで探っていきます。その帰結として有名な「語れるものは明晰に語ることができ、語れないものについては沈黙するほかない...
20世紀哲学の方向を決定づけた著者が、唯一生前に刊行した、前期思想を代表する哲学書です。現実世界を分析し、ついで世界の像たる言語を支えにして、世界の可能性を思考の限界まで探っていきます。その帰結として有名な「語れるものは明晰に語ることができ、語れないものについては沈黙するほかない」という結論が導出されます。換言すれば、本書は思考の限界・言語の限界を画定することによって、伝統的な哲学問題を最終的に解消せしめるという、壮大な野望に満ちたプロジェクトでもあったといえるでしょう。個人的には、筑摩文庫から同書が出て
文庫OFF
最後の命題「語りえぬ…
最後の命題「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」は形而上学の終焉を告知することばとして現在でもしばしば引用されます。『論考』においては、語られえないものは示されます。しかし、有意味な命題として形而上学的、あるいは価値的領域を語ることができない、という『論考』の主張は、...
最後の命題「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」は形而上学の終焉を告知することばとして現在でもしばしば引用されます。『論考』においては、語られえないものは示されます。しかし、有意味な命題として形而上学的、あるいは価値的領域を語ることができない、という『論考』の主張は、そのような領域が存在することを否定するものではありません。そうではなく、形而上学的領域を「語って」しまう形而上学は意味を為さない命題の集合に堕すほかない、ということを意味しているのだと思います。
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訳はしっかりしている…
訳はしっかりしているのですが、注解が少ないので、ちくま文庫から出ている同書をお薦めします。
文庫OFF
「六・四一 世界の意義は世界の外になければならない」(p.144) ひとつひとつのセンテンスはとても簡潔。相当に考え抜いて書かれた本なのだろう。そのエッセンスはよくよく噛んで飲み込まねばもったいない。
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言語哲学における重要文献 フレーゲ、ラッセルの築いた礎に立ち向かうべく著された意欲作であり、出版のために解説を担ったラッセルですら十分に理解できていなかったという点も含め「ウィトゲンシュタインの衝撃」がいかに大きかったかを感じることができる。 哲学論究まで時間をかけて今後分析...
言語哲学における重要文献 フレーゲ、ラッセルの築いた礎に立ち向かうべく著された意欲作であり、出版のために解説を担ったラッセルですら十分に理解できていなかったという点も含め「ウィトゲンシュタインの衝撃」がいかに大きかったかを感じることができる。 哲学論究まで時間をかけて今後分析を進めていこうと思うが、事実/事態の区別、すなわち現実と可能性の峻別という視点、語り得るものと語りえないものを明確化しようとする思索は、示唆的なものが多かった。
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語ることができない事柄の前では、沈黙しなければいけない。 古代の人々は神と運命を前にして歩みを止めたように。 明日太陽が上るというのは仮説でしかない…私たちはそれを知っているわけではない。 地頭がちがうとここまでわけがわからないのか… 私は勝手に私が閉鎖病棟にいた時に書いて...
語ることができない事柄の前では、沈黙しなければいけない。 古代の人々は神と運命を前にして歩みを止めたように。 明日太陽が上るというのは仮説でしかない…私たちはそれを知っているわけではない。 地頭がちがうとここまでわけがわからないのか… 私は勝手に私が閉鎖病棟にいた時に書いてた日記を思い出しましたよ、小難しいことを考えてしまう性格なのですよ、この人も! 自然法則を説明できるなんて勘違いしないことだ、我々が持っているのはただの仮説でしかない?という?
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ピエール・アド「ウィトゲンシュタインと言語の限界」後に再読。学生時代に1度、社会人のまだ若い頃に1度読んでいるが、今回改めて自分の読みの浅薄さを思い知らされた。丁寧に読むとかなりの時間を要する著作なのに、あまり読むのに苦労した記憶がないのだ。野谷茂樹氏の訳者あとがきに「『論考』...
ピエール・アド「ウィトゲンシュタインと言語の限界」後に再読。学生時代に1度、社会人のまだ若い頃に1度読んでいるが、今回改めて自分の読みの浅薄さを思い知らされた。丁寧に読むとかなりの時間を要する著作なのに、あまり読むのに苦労した記憶がないのだ。野谷茂樹氏の訳者あとがきに「『論考』という著作は妖しい光を放っている。読む者を射抜き、立ち止まらせ、うっとりさせる力を擁している。それはおそらくすばらしいことなのではあるが、危険でもある。うっとりしながら哲学することはできない。」とあるが、若い頃の僕はまさに『論考』の詩的かつキャッチーなセンテンスにうっとりし、それだけで何事か重要なものを把握したような錯覚に陥っていたのだ。それはもちろん僕だけではなかろう、本書からあの「語り得ぬものについては沈黙せねばならない」という命題のみを形式的に取り出し、「未だわかっていないものについては結論を出してはならない」などという陳腐で卑俗な読み替えを適用し、それをもって本書の主題だとする例に数多出くわすのだから。 以前読んだ時は、クライマックスの命題6.4あたりからそれまでの理知的な論調から離れて、「倫理」「美」「神秘」「永遠」などの形而上学的な色彩の言葉が並ぶのに面食らい、なぜウィトゲンシュタインがそのような論理的なものから遊離した(と当時の僕には思えた)概念をこの段に及んで持ち出すのか、と訝しんだ記憶がある。だが上記「…と言語の限界」を経由した今ではそうは思わない。世界を「完結した総体」として「永遠の相のもとに」捉えると、そこには確かに論理では語り得ぬものが浮かんでくる。「倫理」や「美」「神秘」は、「物自体」のように全くリーチ不可能な形而上学的概念ではなく、言語の形式では表現できないが確かに我々に示されるものであり、だからこそ畏敬の念を伴って表されるものなのだ。
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相変わらず、哲学書は言いたいことがよくわかりません。自分の解釈の正しさに自信が持てないからです。リードしてくれる先生がいれば、面白いのだろうな、と感じました。
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人が思考し得ないものについての論考。世界を言語が写像している事実の総体と定義し,世界全体を語るには言語をその外側に置く以外には不可能であるとし、語り得ないものに対して沈黙せねばならないとした。
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[第19刷]2014年4月15日 訳者解説がわかりやすい。訳者著「・・・論考を読む」を先に読んではいたが、本文は読み物ではない。
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