殺人の門 の商品レビュー
これはすごい。舐めてかかっていたら痛い目を見た。この作品はあの宮部みゆきの大傑作、『火車』に匹敵する。 一人の男が取り憑かれた殺人に関する偏執。 彼がズブズブと闇に沈んでいく様は身震いするほど恐ろしいし、やがて闇に染まっていくその様は他人事と笑えない。我々が普通に暮らしていられる...
これはすごい。舐めてかかっていたら痛い目を見た。この作品はあの宮部みゆきの大傑作、『火車』に匹敵する。 一人の男が取り憑かれた殺人に関する偏執。 彼がズブズブと闇に沈んでいく様は身震いするほど恐ろしいし、やがて闇に染まっていくその様は他人事と笑えない。我々が普通に暮らしていられるのはちょっとした幸運のお陰、なのかもしれない。そして世界にはきっと、彼のように闇に染まる者もまた……。
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東野作品なのに読んだ記憶ないなぁ、と手に取ったら…なんか読んだことある気がする。登場人物に覚えがある気がする。でももう10年以上前なのかなぁと思いながら結局読んだ。 どんどん暗い気持ちになってくる話だった。ずっとはめられ続けているというかあり地獄というか。 やり切れない感じになる...
東野作品なのに読んだ記憶ないなぁ、と手に取ったら…なんか読んだことある気がする。登場人物に覚えがある気がする。でももう10年以上前なのかなぁと思いながら結局読んだ。 どんどん暗い気持ちになってくる話だった。ずっとはめられ続けているというかあり地獄というか。 やり切れない感じになる本だった。
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いつもいつも人生を狂わされてきたあの男を殺したい。どうしても殺したい。心の奥底に潜む殺人願望。何度も殺人の手前で挫折を繰り返すので結構イライラさせられる。最後までもやもや。
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(2023年11月24日から28日にかけて読破) 田島和幸は、可哀想だ。父は開業医だが、休みの日は釣りばかり。母は開業医の夫を支えて入るが、料理とかは雑だし、休みの日は友達と遊んでいる。主人公の心の支えは、トミさんというおばさんだけ。 ある時、祖母が亡くなる一件があり、葬儀に...
(2023年11月24日から28日にかけて読破) 田島和幸は、可哀想だ。父は開業医だが、休みの日は釣りばかり。母は開業医の夫を支えて入るが、料理とかは雑だし、休みの日は友達と遊んでいる。主人公の心の支えは、トミさんというおばさんだけ。 ある時、祖母が亡くなる一件があり、葬儀に参列した和幸だが、祖母の異臭に耐えられないところを父に叱られ、葬儀中の食事を禁止された。さらに、祖母は両親に殺されたのではないかと、周囲から悪い噂を立てられ、警察まで来る有り様。その後、両親の仲は悪くなり、離婚。和幸は父親に引き取られた。 だが、父親が志摩子という女性と会うようになった辺りから、和幸の家庭は崩壊した。父親は志摩子と歩いていたところを、謎の男に襲われて負傷、右手に後遺症が残るが、治療は一切行わなかった。さらに、志摩子と会うために、歯科院の資金に手をだし、経営が大きく傾き、税理士だのが訪れる有り様になるまで発展。父親はその後、荒れた生活に陥り、主人公は「呪」「殺」の書かれた葉書を受け取って以降、荒れた父親と恐怖の葉書に怯える毎日を送る。 さらに、中学時代には同級生からのいじめに苦しめられた。集団無視は愚か、暴力、跳び箱の中に飛び込められ、マットで出られなくされるなど、いじめはエスカレート。その上、高校時代では、恋人ができたのにも関わらず、数日のうちに破局。恋人は自殺に追い込まれ、和幸は恋人の母親から恋人が妊娠したことを知らされる。なぜ、和幸が疑われなければならなかったのか。 だが、父親は志摩子と会う度に、家賃などを勝手に使い込むなどに荒んでしまい、見かねた和幸は、志摩子に「父と別れてほしい」と懇願してしまう。しかし、和幸の願いはむなしく、アパートを売りに出された末、和幸は松戸の親戚に送られてしまう。その家は、和幸には苦痛だった。使用できる家具が限られ、大半が使えなかった。 やがて、社員寮がある工場に就職するが、寮は古く、住み心地が悪く、和幸の心に似ている気がした。先輩社員からも嫌がらせが起き、会社内で孤立化、作業も雑用しかなくなってしまう。 工事を退職した和幸は、倉持修にそそのかされ、商社に就職するが、悪徳セールスの仕事を余儀なくされ、辛い思いをする。ほどなくして商社は倒産し、悪徳セールスに加算したと警察から疑われてしまう。 やがて、和幸は美晴と結婚するが、早々に浮気を疑われ、結婚生活は修羅場に。美晴はクレジットカードを使うなど、浪費癖が治らず、夫婦喧嘩の末、離婚寸前に。由布子が間に入るが、美晴は偽名浮気女と仲良くなってしまう。さらに、美晴の家族は、美晴の浪費癖に手を焼いていたこともあり、和幸の不安は高まってしまう。 最終的には、倉持修を刺した疑いを警察にかけられるも、嫌疑不十分で釈放された。和幸はおそらく、倉持修に対する殺意を度々抱いていたことがわかった。やはり、和幸には、殺人に手を染めることは、難しかったのだろう。
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本書を読むのは2回目。1回目に読んだ内容をほとんど覚えていない。殺人をするときの境界線に関しての物語ということは覚えているが、詳細まですっかり忘れてた。 主人公は中島和幸。幼馴染みの倉田修。この二人の関係性が幼少の頃から大人になるまで書かれている。中島の実家は歯医者でお父さんが経営している。母親は主婦で父方の祖母と同居している。お手伝い(トミさん)を雇うことが出来るほどの収入がある。一方、倉田の実家は豆腐屋。中島は倉田と仲が良いが、倉田は中島を下に見ている節があり、いつも悪事に引き込んでいる。 ある日、祖母が急死したが、死因が毒殺なのではないかという噂が町中に流れ、父親が経営していた歯医者がその影響で潰れてしまう。そんな中、父親と母親の仲が悪くなり、離婚する。和幸は父親と暮らすことを決意する。歯医者が潰れ、父親は酒浸り、繫華街のキャバ嬢にはまってしまう。そして、所有地をアパートに替え、賃貸で収入を得るようになるが、その賃貸収入を父親はキャバ嬢につぎ込んでしまう。そして、父親はそのキャバ嬢にもてあそばれていたことに気が付き、彼女を殺そうとするが、失敗する。 そんな父親に嫌気が指し、和幸は勤めに出る。就職先は家具屋で販売員。そこで一生懸命に働き、会社からの信頼も得て、落ち着いた生活を送る。そこへ倉田が現れ、 次々と和幸を悪事へと導いていく。 倉田の紹介で晴美という女と会い最終的に結婚するが、その女は浪費癖が酷く、どんどんと預金がなくなっていく。そんなところにある女が現れ、和幸はその女と浮気をしてしまい、その仕返しに晴美は更にサラ金に手を出し、借金地獄に陥る。そんな折、倉田が救いの手を差し伸べ、金を融通する。晴美を和幸に仕掛けたのは、倉田だった。 結局、晴美と離婚するが、倉田は金に困っている和幸を株のコンサルティング会社の経理担当にする。そのコンサルティング会社はインチキ会社で客から苦情が出て、最終的に倉田は警察に追われる。経理担当だった和幸も警察から聴取を受けるが、利用されていたことが警察に理解されて、罪にはならなかった。しかし、和幸は今までの倉田から受けた酷い目に対し、ついに堪忍袋の緒が切れ、和幸を殺しに行く。しかし、殺そうと思っていたところに、倉田に騙された客が倉田を殺してしまう。 ある日、幼少時代に金を騙しとられた男に会い、その男から倉田の素性や性格などを聴く。そして倉田は小さい頃から裕福だった和幸を妬んでいたことを知り、ついに怒りが頂点に達し、病院で意識不明状態に在った倉田の首を絞める。その時に殺人をする境界線が来たことを実感する。 一ページが二段組で、400ページもある長編小説だが、和幸と倉田の関係がずっと書かれていて、だんだん嫌になってきた。そして、晴美が和幸に悪態をつく場面なんかは本当に吐きそうになるほどきつい場面だった。
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「東野圭吾」の『殺人の門』を読みました。 600ページを超える長篇を読んだのは久しぶりですね。 主人公「田島和幸」の行動に苛立ちを感じながらも、どんどん先を読みたくなり、ページ数の割りには意外と早く読み終わりました。 「東野圭吾」の術中にはまった感じですね。 -----s...
「東野圭吾」の『殺人の門』を読みました。 600ページを超える長篇を読んだのは久しぶりですね。 主人公「田島和幸」の行動に苛立ちを感じながらも、どんどん先を読みたくなり、ページ数の割りには意外と早く読み終わりました。 「東野圭吾」の術中にはまった感じですね。 -----story------------- 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。 悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。 そして数多くの人間が不幸になった。 あいつだけは生かしておいてはならない。 でも、私には殺すことができないのだ。 殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか? 人が人を殺すという行為は如何なることか。 心の闇に潜む殺人願望を克明に描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。 ----------------------- 歯科医の息子として、裕福で幸せな家庭で生まれた「田島和幸」、、、 しかし、祖母の死をきっかけにして家運は一気に傾き、一家離散の状態に追い込まれ、ケガにより職を失った父親との困窮生活を余儀なくされる。 その後も、様々な不幸が彼に襲い掛かり、不幸のどん底に堕ちていく。 その陰には、いつも「倉持修」の姿があった。 「田島和幸」を不幸に陥れる原因は、常に「倉持修」の行動と「田島和幸」本人の甘い判断。 (ちょっと苛立ちを感じるくらい、簡単に騙されちゃいます) そして、不幸が訪れたとき、常に手を差し伸べてくれるのも「倉持修」で、それに甘える「田島和幸」の優柔不断な行動。 (もっと毅然とした態度はできないのか… と本に向かって叫びたくなります) 何年もの間、「倉持修」に対する「憎悪」と「殺意」を抱きながら、それでも、つかず離れずの関係を続けてしまう「田島和幸」。 「倉持修」に人生をコントロールされていることに気付かないまま。 エンディングで、ようやく、自分の人生を「倉持修」にコントロールされていたことに気付き、殺人の門を越えるが(きっと越えたんだと思う)、、、 気付くのが、あまりにも遅く、失うモノが多すぎましたね。 読んでいて感じたのは、自分の人生を他人にコントロールされるなんてまっぴら… ってこと。 自分の人生なんだから、自らに降りかかった困難に対しては自ら立ち向かい、そして、自分の将来は自分で切り拓いて行きたい。 でも、主人公の弱さに嫌悪感を感じつつ、同じ立場だったら、もしかしたら、同じ行動を選択したかも… という思いも、頭を過ぎったのは事実。 流されずに、信念を持って、強く生きて行きたいと、改めて感じさせられた一冊でした。 それにしても、、、 「トミさん」、「ガンさん」と、あんなカタチで再会するとは… 意外性があったところは「東野圭吾」作品らしかったですね。 嫁さんが知人から「東野圭吾」作品を何冊か借りてきているし、古書店で「東野圭吾」作品を何冊か安く購入できたので、当分「東野」ワールドにどっぷり浸かれそうです。
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人生の節目節目に現れて、つかみかけていたしあわせをぶち壊して奈落の底につきおとしてくる因縁の幼なじみの男。何度も殺そうと思うが、その度あと一息のところであきらめてしまう。この一線を越えられるだけのものは何なのか、悩む男の話。 暗くて重くて救われない、この因縁の男の目的や心理がわ...
人生の節目節目に現れて、つかみかけていたしあわせをぶち壊して奈落の底につきおとしてくる因縁の幼なじみの男。何度も殺そうと思うが、その度あと一息のところであきらめてしまう。この一線を越えられるだけのものは何なのか、悩む男の話。 暗くて重くて救われない、この因縁の男の目的や心理がわからず考えてしまう。長編小説のわりに少し単調で途中少しペースは落ちたけど、これはこういうたんたんとしたお話で良いのだと思う。
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東野圭吾による社会派ミステリ。最近の東野作品っぽいもの。 主人公・田島和幸はとある町の歯医者の息子として生まれ、 特別に不自由の無い生活を送っていた。 だが、同居していた祖母の死をきっかけに家庭が崩壊。 父の元で生活していた和幸の人生は徐々に転落していく。 その転落のきっかけに...
東野圭吾による社会派ミステリ。最近の東野作品っぽいもの。 主人公・田島和幸はとある町の歯医者の息子として生まれ、 特別に不自由の無い生活を送っていた。 だが、同居していた祖母の死をきっかけに家庭が崩壊。 父の元で生活していた和幸の人生は徐々に転落していく。 その転落のきっかけには、必ず倉持修という小学校からの友人が居た。。。 小説全体の雰囲気としては、「白夜行」に近い。 倉持に怪しげな仕事を紹介され、和幸が良くない事と思いながらも 様々な要因によって一緒に悪事の一端を担ってしまい、 和幸自身が不幸になってしまうのがパターン。 一方の倉持はと言うと、その手の仕事の美味しい所だけを持っていき、 徐々に恵まれた生活を送るようになる。 和幸が恋をすればそれを倉持が奪い、和幸が金に苦しめば倉持は怪しげな仕事を紹介する。 こういった形で、和幸の心には「倉持を殺してやりたい」という気持ちが膨らんでいく。 その「殺人に至るまでの憎悪の増幅」を描いた作品、とでも言えようか。 それにしても次から次へと怪しげな仕事に引っかかってしまう和幸が滑稽でもある。 結婚するにしても、「何となく」的な感が拭えない。 読み手とすると、「そんなんだから倉持の策略に引っかかるのだ」と苛立ってしまう。 倉持は倉持で、ある意味素晴らしい頭脳と運の持ち主である。 彼の“金の無いところから金を生み出す能力”というのはずば抜けているのだろう。 今の社会に存在していたら、 あっさりと一部上場の会社を作るか宗教法人のトップとして君臨出来そうなタイプである。 さて、この物語の主題は 「殺人犯と一般人の間にある『壁(もしくは門)』を越えてしまうには、どこまでの憎悪が必要か。 人間はどうなると殺人を犯してしまうのか」 といった所だろうか。 本当に特定の人物を殺してやりたいと思うというのは、普通なかなか無いとは思うが 人間は追い詰められると何をするかわからない。 自分が和幸の立場ならば、やはり同じような感覚を倉持に対して抱くのかもしれない… 重い雰囲気ながら一気に読めたので、4点。
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結末が気になり、1日で読了。 なんでもかんでも倉持のせいにする田島に、疑問も抱く。けど、倉持は倉持で確かに嫌なヤツ。魅力的なキャラクターがなかなか出てこず。でも、人間ってそんなもんかぁ。この話ほどではないけど、親友だと思っていた人に、さりげない小さな裏切りをされたり。そんな過去って誰にでもあるような、、。終盤でトミさんが出てきたの、なんか笑えた。
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無駄に長くなっているような印象の作品。 だが、きっちりと辻褄合わせをしてくるあたり、さすが東野圭吾だと思わせてくれる。 東野圭吾作品としては、あまり印象に残らないかもしれない。
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