社会契約論 の商品レビュー
「人間は自由なものと…
「人間は自由なものとして生まれた、しかしいたるところで鎖につながれている」という句で有名です。ホッブズ、ロックの流れを受け継ぎ、かつ「一般意志」という独自の概念を用いて、社会契約論を展開します。近代の国家や法について考える際に必須の書です。ところでルソーの思想が全体主義や独裁制を...
「人間は自由なものとして生まれた、しかしいたるところで鎖につながれている」という句で有名です。ホッブズ、ロックの流れを受け継ぎ、かつ「一般意志」という独自の概念を用いて、社会契約論を展開します。近代の国家や法について考える際に必須の書です。ところでルソーの思想が全体主義や独裁制を生み出したとする議論があります。しかし、そういいきれるかは今もって難しい問題です。ルソーの思想を絶対化する愚は避けられなければなりませんが、安易な決め付けも避けられるべきです。そのためにもまずは原典を読んで考えてみましょう
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ルソーが今までの政治…
ルソーが今までの政治体制をくつがえした、常識を壊した著書です。 奥が深い
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ルソー(1712‐7…
ルソー(1712‐78)はこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。フランス革命の導火線となった近代デモクラシーの先駆的宣言の書。
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内容は◎。しかし、訳…
内容は◎。しかし、訳がやや難か。フランス革命を思想的に支えた古典。
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18世紀フランスの政治思想家ルソーが、国家・社会と個人のあり方について論じた著書。 端的に言うと本著は、人間が自然状態の自由を放棄し、主権者として、国家或いは社会を形成することの意義について述べている。 直前に読んだ、ラインホールド・ニーバーは、集団化した人間の非道徳性を指摘した...
18世紀フランスの政治思想家ルソーが、国家・社会と個人のあり方について論じた著書。 端的に言うと本著は、人間が自然状態の自由を放棄し、主権者として、国家或いは社会を形成することの意義について述べている。 直前に読んだ、ラインホールド・ニーバーは、集団化した人間の非道徳性を指摘したので、異なる視点が興味深く感じられた。 当初は、国家の基礎を「自由と平等」に置く一方、市民は国家のために死なねばならない、戦争のときには国家に奉仕しなければならない、など国家主義的な記述には同意しかねた。 しかしながら読み進めるうちに、ルソーはあくまで「国民主権」が実現された理想の国家をについて論じているのであり、奉仕するだけの理由のある国家が前提であると理解した。 つまり、そのような理想の国家は現実には存在していないので、現時点で市民が国家のために死ぬことはできない、と言う解釈も可能だ。 「市民は社会契約によってすべて平等」など、全体を通して、理想を追求すると言うよりは、理想状態を前提としたならば、という仮説の論とも取れた。 また、驚くべきはルソーの先見性だ。 格差の拡大やグローバリズム、人口減少や都市への人口集中の弊害などを、的確に指摘している。 トルストイもそうであったが、社会の構造とは100年単位でも大きくは変わらず、現実を正しく見れば未来は予測できるものだと改めて感じた。 本筋の部分ではないが特に驚愕したのがコルシカ島に対する予言であり、ここに引用する。 「ヨーロッパには、立法可能な国がまだ一つある。それは、コルシカの島である。《中略》私は何となく、いつかこの小島がヨーロッパを驚かすであろうという予感がする」(p.77 第二編第十章 人民について) 『社会契約論』が出発されてから20年後の1769年、かのナポレオンはこのコルシカ島で生を受け、フランス革命を機に低い身分から大国フランスのリーダーへとのし上がり、その後各地を次々征服。 まさに「ヨーロッパを驚か」したのである。 コルシカにそのような人物を育てる土壌があることをルソーが見抜いていたのだろうが、「何となく」という予言の正確さには驚かされた。 ルソーは、理想の国家だけでなく、理想の人民像についても述べている。 「立法に適する人民とは、古代の人民の堅実さと近代の人民の従順さとをあわせもった人民」ということだ。 古代の堅実さと近代の従順さ。 変化の早い今の時代にこそ、その理想を頭に刻みたい。
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メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1752835270444232866?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
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「自然(超理想的平等)状態」をベースとした「一般意思」(「主権者の総体による純粋理性」が近い?)と「功利主義」で組み上げたと言ったら間違いだろうか。実際、「個別意思」その他の例外が無数にあることを著者は指摘しているし。それと、著者は主権者を「市民」としていて、必ずしも「臣民(⊆全...
「自然(超理想的平等)状態」をベースとした「一般意思」(「主権者の総体による純粋理性」が近い?)と「功利主義」で組み上げたと言ったら間違いだろうか。実際、「個別意思」その他の例外が無数にあることを著者は指摘しているし。それと、著者は主権者を「市民」としていて、必ずしも「臣民(⊆全ての国民⊆人民)」全員が主権者とはしていないのですね。
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民主主義の理解のため。 ◯社会契約:各構成員の身体と財産を、共同の力のすべてをあげて守り保護するような、結合の一形式を見出すこと。そうしてそれによって各人が、すべての人々と結びつきながら、しかも自分自身にしか服従せず、以前と同じように自由であること →われわれの各々は、身体とす...
民主主義の理解のため。 ◯社会契約:各構成員の身体と財産を、共同の力のすべてをあげて守り保護するような、結合の一形式を見出すこと。そうしてそれによって各人が、すべての人々と結びつきながら、しかも自分自身にしか服従せず、以前と同じように自由であること →われわれの各々は、身体とすべての力を共同のものとして一般意志の最高の指導の下におく。そしてわれわれは各構成員を、身体の不可分の一部として、ひとまとめとして受け取る。 ・人民、市民、臣民の違い ・憲法、民法、刑法、そして実は他のすべての法の成否をにぎる世論 ・政府と国家の違いと関係 ◯政府をつくる行為は、決して契約ではなく、一つの方であること。執行権をまかされた人々は、決して人民の主人ではなく、その公僕であること。
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学生時代に読んだ本を整理していたときに見つけてそのまま読みました。当時も未熟だったけど、今も未熟。目的意識をもって読まないとなかなか入ってこないなあ、というところです。 訳も今の言葉遣いとちょっと違うような気がします。新訳がでるのはこのようなことがあるからなんでしょうね。 でも、...
学生時代に読んだ本を整理していたときに見つけてそのまま読みました。当時も未熟だったけど、今も未熟。目的意識をもって読まないとなかなか入ってこないなあ、というところです。 訳も今の言葉遣いとちょっと違うような気がします。新訳がでるのはこのようなことがあるからなんでしょうね。 でも、これ読んで、やっぱり今の政治はあかんなと強く思いました。
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ルソーの社会契約論、ようやくしっかり読む時間ができました。本書は発売当初は各国で発禁処分になり、ルソー自身もかなり迫害されたということですが、ルソーの死後、本書に掲げた思想はフランス革命に結実します。その意味で、わたしもフランス革命を主導した人々の気持ちになって本書を読みましたが...
ルソーの社会契約論、ようやくしっかり読む時間ができました。本書は発売当初は各国で発禁処分になり、ルソー自身もかなり迫害されたということですが、ルソーの死後、本書に掲げた思想はフランス革命に結実します。その意味で、わたしもフランス革命を主導した人々の気持ちになって本書を読みましたが、ルソーの論調は冷静な中にも非常に熱いトーンを感じます。 中身については思っていたよりもわかりやすかったです。唯一わかりづらかったのは、後半に古代ローマ帝国とのアナロジーで政治制度を議論している箇所で、これはローマ帝国の知識がある程度ないとわかりづらいとは思いました(その点注釈は役に立ちました)。人間は本来自由と平等の中で生まれてきた。しかし社会契約を結んで社会状態に入ることで、安全などを得る代償として自由と平等は失われていった。しかし自由と平等と求める欲求は社会状態の中でも消えることはなく、それを実現するためには人民の「一般意志」が主権者となることである。本書を一言で言うならこういうことではないでしょうか。多くの人に影響を及ぼした思想書に触れられて、なにか知的レベルが上がった気がしました。必読書かと思います。
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