ゲーテとフランス革命 の商品レビュー
フランス革命期のゲーテの作品群の分析を通じて、彼のフランス革命観を浮き彫りにしようとする研究。戦後盛んになったドイツ・ジャコバン派研究を念頭におき、ドイツ知識人が決して一枚岩的に反革命的態度をとったわけではないことを前提としつつ、全体としてはゲーテの反革命・保守主義的態度を抽出す...
フランス革命期のゲーテの作品群の分析を通じて、彼のフランス革命観を浮き彫りにしようとする研究。戦後盛んになったドイツ・ジャコバン派研究を念頭におき、ドイツ知識人が決して一枚岩的に反革命的態度をとったわけではないことを前提としつつ、全体としてはゲーテの反革命・保守主義的態度を抽出する研究になっている。網羅的に各作品が分析されており、どの作品のどの箇所がゲーテの政治思想を探るうえで鍵となるのかがよく分かるようになっている。しかし、暴力的革命に対する嫌悪、(『ヘルマンとドロテーア』に見られるような)日常生活への回帰を唱えたことをもって、ゲーテの活動を――例えばG. フォルスターとの対比において――「非政治的」と形容してしまうことには問題があろう。例えばE. R. フーバーは『ゲッツ』や『エグモント』にフォルクという別の政治理念が登場していることに着目しているが、たとえ彼の研究に同意しなくても、ゲーテの一連の発言はまさしく当時の政治的価値観に対する態度表明とみられるべきであり、その意味で政治的と形容することはできるのではないだろうか。
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