天に遊ぶ の商品レビュー
硬筆で静謐な筆致が病…
硬筆で静謐な筆致が病みつきになる短編集です。現代小説。
文庫OFF
時代や場所が移り変わる中での人間心理の不変さに気付かされた。本当に読みやすい。著者曰く『超短編』らしい。
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・あらすじ 全二十一編の短編集。 登場人物たちの人生の一部を描いた短編、作者の取材旅行を題材にした短編、幼少期の思い出を綴った短編など。 ・感想 さまざまな人間がいた。 好きだったのは香典袋、読経、サーベル、居間にて(ちょっと怖い)、鯉のぼり(辛い)、カフェー(クソ野郎)、観覧車(クソ野郎2) 読んでいてちょっとよく分からないなと思ったのは西瓜。 吉村先生、あの作品は一体どう解釈したらいいんでしょうか? 私にはわかりませんでした…! 吉村先生は入念に取材をした記録作品を書かれるけども、ただ記録なだけじゃなくそこで「生きていた人間」を真摯に描いてる。 吉村先生はどこまでも「人間」を書きたい作家だったんだろうな。 そこに自分の意見やイデオロギーなんて挟むことを良しとしない。 特にサーベルの「墓参であるからには花をたずさえてくるべきであるのに、私には小説の主人公の墓を目にしたいという気持ちのみがあって墓に詣でる意識には欠けていた」という一文があって、なんと真摯で真面目な人なんだと思った。 巻末に「旅人が目の前に現れてくるんです、闇の中から。通り過ぎてゆくんですよ」という吉村先生の言葉があったけどまさしくその通り。 見知らぬ旅人の通り過ぎざまひとときを集めた短編集だった。
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見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、...
見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。(裏表紙) 小説だけじゃなく、著者の取材紀行や過去の話など、わりとヴァラエティに富んでいる短編集。 久しぶりに読んだけど、やっぱり面白い。未読の諸々を探したくなってきた。
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平瀬は犬が好き嫌い言う問題ではなく、綾子がその犬とあたかも一体化したように生活していることに、深い戸惑いを覚えている 無言で自分を見下している警察官の眼の光に、私は不審者として疑われているのを感じた 私は、気持ちの赴くままに10枚を限度にした短編を書き続け、十枚以下のものも書いた ここに収録された二十一篇には、男女の不可思議な邂逅、夫婦や家族の絆、友人とのつながり、などなど、様々な人間関係が開かれていて、それを通して人生の断面を垣間見ることができる
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鰭紙 同居 頭蓋骨 香奠袋 お妾さん 梅毒 西瓜 読経 サーベル 居間にて 刑事部屋 自殺ー獣医、心中―獣医 鯉のぼり 芸術家 カフェー 鶴 紅葉 偽刑事 観覧車 聖歌
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吉村昭『天に遊ぶ』新潮文庫。 吉村昭の21編を収録した掌編集。今どき文庫本で490円という価格はかなり珍しい。 普通に生きる市井の人びとの様々な人生の場面を切り取り、背後にある過去と後悔をも描写してみせた味わい深い掌編が並ぶ。 『鰭紙』。南部藩の庄屋だった家で見付かった古文...
吉村昭『天に遊ぶ』新潮文庫。 吉村昭の21編を収録した掌編集。今どき文庫本で490円という価格はかなり珍しい。 普通に生きる市井の人びとの様々な人生の場面を切り取り、背後にある過去と後悔をも描写してみせた味わい深い掌編が並ぶ。 『鰭紙』。南部藩の庄屋だった家で見付かった古文書にはかつての飢饉の様子が描かれていた。明らかにしなくともよい歴史もある。 『同居』。上手く行くと思われた縁談だったが、まさかの理由で破談に終わりそう。 『頭蓋骨』。取材で北海道の漁師町を訪れた小説家は帰り道に思わぬ雨に途方に暮れる…… 『香奠袋』。頻繁に文壇の著名人の葬儀に姿を現す老女は香奠婆さんと呼ばれ、香典泥棒を疑われる。 『お妾さん』。空襲の夜に見た孤独さを滲ませるお妾さんの姿。ひと昔前はお妾さんというのは当たり前のように居たように思う。 『梅毒』。梅毒を患っていたと思われた水戸脱藩士の関鉄之介の日記を読み解くと…… 『西瓜』。離婚した元妻に突然呼び出された男の罪と戸惑い。 『読経』。父親の葬儀で三十数年ぶりに再会した親戚の男に過去の記憶が甦る。 『サーベル』。明治二十四年の大津事件でロシア皇太子をサーベルで斬り付け、国賊と呼ばれた津田巡査の末裔の百年に及ぶ苦悩。 『居間』。伯父の訃報を知らされた伯母の反応に自らの夫婦生活を重ね合わせ、振り返る主人公。ちょっとしたイヤミスだ。 『刑事部屋』。友人宅の強盗事件で、警察に呼ばれた主人公は…… 『自殺 ー獣医 (その一)』。肺癌を患い、余命幾ばくもない犬が…… 『心中 ー獣医 (その二)』。珍しい連作掌編。老女が犬と共に心中するが…… 『鯉のぼり』。戦時中。紺屋を営む祖父と二人で暮らす少年が交通事故で死亡する。空襲の最中にも空に翻る鯉のぼり。 『芸術家』。温泉地でスナックを営む四十歳過ぎの女性は街に現れた小説家を名乗る男と財産を全て処分し、失踪する。やがて、岩手県の温泉地で女性は見付かるが…… 『カフェー』。友人が勧めてくれた敷島という煙草で思い出した過去の記憶。 『鶴』。かつての同人誌仲間の死に際し…… 『紅葉』。山中の温泉宿で長期逗留していた友人の話。友人の隣部屋に泊まった男女の正体に…… 『偽刑事』。八丈島を取材で訪れた小説家は刑事と間違われるが…… 『観覧車』。束の間の父娘の時間。浮気を繰り返す男に愛想を尽かし、実家に帰った母娘。余りに酷い男の身勝手さ。 『聖歌』。教会葬となった姉の葬儀にかつての姉の恋人が現れるが…… 本体価格490円 ★★★★
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21編の小さな小さな短編集。 『はて、それから⁇』と戸惑う物語も多い中、一つ一つに共感できる人間臭さ。日本人らしさ。 そして人生は『はて、あれからどうなったのだろう』と思う出来事がいつの間にか流れ続けているものなのかもしれないと感じた。
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新潮社編集部の依頼を受けて、著者【吉村 昭】が原稿用紙10枚以内で書き溜めた21編の超短編集です。作品の登場人物は著者自身か、その分身と窺えるものが多く、取材先での体験から得た、人間の細やかな心理描写を鋭く突く生々しさがあります。病魔に倒れる前の著者が、高揚した気分を愉しみながら...
新潮社編集部の依頼を受けて、著者【吉村 昭】が原稿用紙10枚以内で書き溜めた21編の超短編集です。作品の登場人物は著者自身か、その分身と窺えるものが多く、取材先での体験から得た、人間の細やかな心理描写を鋭く突く生々しさがあります。病魔に倒れる前の著者が、高揚した気分を愉しみながら書き綴ったという、人間ドラマのある局面を切り取って描いた読み応えある作品集です。
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・9/5 読了.この人の短編集は初めて読んだけどエピソードの終わらせ方やまとめ方が簡潔で歯切れがいい.でも怖い話かもって思って読んでて身構えちゃうのは過去に読んだ作品の印象のせいかも.
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