つむじ風食堂の夜 の商品レビュー
何か大変なことが起きるわけでもなく、かといって退屈でもなく、すらすらと読めた。 のんびりと読書したいときに読みたくなる本。
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ちょっと浮世離れした感じの、心地よい街。 伊吹有喜さんのBAR追分と同じぐらい行ってみたいな月舟町。
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雨降り博士が月舟町に越してきて,つむじ風食堂で出会った人たちとのほんわかした交流が,何とも心にしっくりくる味わいだ.こういうふうに生きていきたいと思える世界が広がっている.
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不思議な手触りのお話である。 小さな町、月舟町。 主人公の「私」は物書きである。 六階建ての月舟アパートメントの七階もしくは屋根裏に住む。アパートにはエレベーターがない。階段は1階分が六段で、つまりよじ登らなければならないほど急である。 「私」はこの町ではなぜだか「先生」と呼ばれ...
不思議な手触りのお話である。 小さな町、月舟町。 主人公の「私」は物書きである。 六階建ての月舟アパートメントの七階もしくは屋根裏に住む。アパートにはエレベーターがない。階段は1階分が六段で、つまりよじ登らなければならないほど急である。 「私」はこの町ではなぜだか「先生」と呼ばれている。 「雨」に関する文化人類学的な研究をしたいのだが、いかんせん、それでは食べていけない。それで仕方なく雑文を書いて生計を立てている。 月舟町には小さな安食堂があって、「私」はそこにしばしば通う。無口な店主にお手伝いのサエコさん、白黒猫のオセロがいる店には、常連客が集う。 十字路に立つその店の暖簾には名は記されていない。けれども客たちは口をそろえて、<つむじ風食堂>と呼ぶ。東西南北から風のふきつのる十字路には、いつだってつむじ風がくるりと廻っているからだ。 怪しげな品を売る「帽子屋」。 ロバート・デ・ニーロを日本人の大工にしたような古本屋の親父。 劇団女優の奈々津さん。 ひょろりとした果物屋の青年。 月舟町やつむじ風食堂に集う人たちは、みんなどこか変わっていて、でもどこにでもいそうでもある。 「私」の回想に現れる「父」は、マジシャンのようにどこか捉えどころがない。 お話はあわあわとふわふわと進む。 「私」の雨の研究は進むだろうか? 奈々津さんはいつか主演女優になれるだろうか? 果物屋の青年がイルクーツクへ行く日は来るだろうか? どこかにある、どこにもない、その小さな町で。 今日もつむじ風が1つ、くるりと廻る。 *一度行ってみようと思っていた小さなブックカフェの本棚でこの本を見つけました。静かな店内で、カフェオレとサンドイッチを傍らに、1冊、読み終えました。もしかしたらあの店の十字路にもつむじ風が吹いていたのかもしれません。
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食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上...
食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、そいつをまた、鋭くはじき返すようにして食堂の暖簾がはためいていた。暖簾に名はない。舞台は懐かしい町「月舟町」。
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装丁も著者の吉田先生が手掛けているそうで。 さて内容ですが、めっちゃ好みな空気感だった・・・、すきです・・・。 軽やかで読みやすいし、心穏やかになれる・・・クロケット私も食べたい・・・。 吉田先生の既刊、他のも早く読みたい・・・読もう・・・。
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不思議な世界観のお話。現実のような夢のようなという感じです。でも何か懐かしいような感じがします。 ふんわかとした霧のようなものに包まれた気分で読んでしまいました。読後感は良いです。 月舟町三部作ということなので、他の作品にも期待します。
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物書きのぼくが通う食堂メンバを中心とした商店街のひとびととのはなし。 安心安定のほっこり感。 月舟三部作らしいので、のこり一冊も近日中によむ。 C0093
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どこまでも行ける万歩計、袖口だけの手品衣装。のんびりした会話が面白い。この雰囲気、好きだなぁ。ほっこりする。この本も、つむじ風に乗って飛んでいきそう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
吉田篤弘氏の味わい深い小説『つむじ風食堂の夜』を読了。以前同タイトルの映画を見た後に原作を読もうと思い買ってあったがなぜだかずっと読まずにいたのを今日読み始め、いま読み終わったところだ。とてもほっとした気持ちになれる小説だった。おいしいお味噌汁を頂いたあとの何だがほこっとした気持ちといったものを感じた。ある架空の町にあるちょっと洒落っ気のある食堂に通い始めた雨を降らせる研究をしていると自称している物書きの青年とそのお店の常連達がさらっと語り合う会話が柔らかく楽しいし、また手品師であったかれの父親の回想とその思い出に強く結びついてい劇場の喫茶室の様子の描写が心にしみる。映画もおすすめだし、ほっとした気持ちになりたいときにはこの小説はおすすめです。
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