昏き目の暗殺者 の商品レビュー
”わたし”アイリスの語る、妹ローラとわたしの人生。 アイリスは稼業の釦工場を救うため、グリフィン家のリチャードと結婚した。場所はカナダ・トロント。そこで戦間期に少女期を送り、戦後を生きたアイリスの物語。 アイリスの父、母、姉アイリス、妹ローラ、そこに現れる共産主義活動家アレック...
”わたし”アイリスの語る、妹ローラとわたしの人生。 アイリスは稼業の釦工場を救うため、グリフィン家のリチャードと結婚した。場所はカナダ・トロント。そこで戦間期に少女期を送り、戦後を生きたアイリスの物語。 アイリスの父、母、姉アイリス、妹ローラ、そこに現れる共産主義活動家アレックス、父の工場を救うはずだったアイリスの結婚相手リチャード、リチャードの妹、アイリスの家の女中リーニー。これらが織りなす人生の道行。そして誰が誰を好きだったか、そしてこの子の父親は誰? この遺伝子的父親が実は、っていうのが、あまた物語には多いなあ。「侍女の物語」でアトウッドにはガツンとやられたのだが、ちょっとこの実は誰の子、というのが安易な感じ。 なんというか、悲しい、という形容は合っていない気がするが、まあ、こういう人生を生きてきたんだ、というアイリスだなあ。20世紀版「女の一生」っていう気も。でもそこはアトウッドなので、文章の隅々に女と男への皮肉がちりばめられている、と感じた。 初めに生没年の記された登場人物の系譜図があるので、ああ、この人はこの時は死んでいるんだ、とか分かる。わたしは1916年に生まれ1999年に死んだ。ローラは1919年に生まれ1945年に死亡。 わたしの回想と、その時々の新聞記事、そして妹ローラの残した「昏き目の暗殺者」という物語が交互に記される。回想と新聞記事はそれぞれの内容を補いあう。挟まれる「昏き目の暗殺者」が不思議な空間と雰囲気をただよわせる。 2000発表 2002.11.30初版 図書館
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数年前に読んだのでストーリーはよく覚えてない。 ハンドメイドテイルとかオリクスとクレイクの後に読んだので、これらとは違うというか、好みではなかった。 でも「浣腸をおためしなさい」というセリフをいつか誰かに堂々と使ってみたい、と強く思ったのを覚えてる。 原文は、英語のテキストし...
数年前に読んだのでストーリーはよく覚えてない。 ハンドメイドテイルとかオリクスとクレイクの後に読んだので、これらとは違うというか、好みではなかった。 でも「浣腸をおためしなさい」というセリフをいつか誰かに堂々と使ってみたい、と強く思ったのを覚えてる。 原文は、英語のテキストしかググって出てこなかった。 You must be out of your mind. I believe you are suffering from auto-intoxication. You should try an enema あなたは頭がおかしいのね。自家中毒なのでしょう。浣腸をおためしなさい。 てな感じか。素敵。
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死を目前にした主人公アイリスの明かした衝撃的な、しかし、ありふれた真実を知らされるや物語の全貌がくっきりと浮かび上がってきました。二つの世界大戦と大恐慌の最中で夫、義妹に立ち向かった理由、ローラ事故死の真実、ベストセラーとなった小説の意味。混沌としていた私の頭の中は霧が晴れたよう...
死を目前にした主人公アイリスの明かした衝撃的な、しかし、ありふれた真実を知らされるや物語の全貌がくっきりと浮かび上がってきました。二つの世界大戦と大恐慌の最中で夫、義妹に立ち向かった理由、ローラ事故死の真実、ベストセラーとなった小説の意味。混沌としていた私の頭の中は霧が晴れたようになり、「やられた」と唸らされてしまった。
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空想の世界の残酷な物語→毎年の儀式で生贄にされる女と、儀式のチャンスに暗殺を図る男のアクシデント/地球では第一次大戦前後で経済的に繁栄し一転して経済的にも知的にも没落したジェイムズ家/前者は20世紀末に書かれ好評を得たSFとなり、その真の意味を理解する読者はなかった/英国の没落は...
空想の世界の残酷な物語→毎年の儀式で生贄にされる女と、儀式のチャンスに暗殺を図る男のアクシデント/地球では第一次大戦前後で経済的に繁栄し一転して経済的にも知的にも没落したジェイムズ家/前者は20世紀末に書かれ好評を得たSFとなり、その真の意味を理解する読者はなかった/英国の没落は、個人の努力を超えて確定していただろうか?人類の「文明化」で人口増加が資源再生可能限度を超え、何らかの転換を余儀なくされているように?悪の都が滅びるのが必然だったように/暴力を恐れるあまりの暴力依存体質/幼年の未来を奪って成人の生
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ジェンダーレスについては理解しているつもりです。でも女性の性にしか分からない感覚は絶対的に存在するのです。この本は女性の言葉にしにくいきめ細かくとりとめのない感覚を的確に表現しています。
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現在を生きる老婆アイリス。 過去の時代に描かれるアイリスとローラの姉妹と没落していく家族の世界。 妹ローラが描いた小説世界。 その小説の中で語られる、作中話のSF(盲いた少年の暗殺者と、生贄の少女の物語。トカゲ異星人とザイクロン星人の物語)。 合間に、淡々とした新聞記事の内容が挟...
現在を生きる老婆アイリス。 過去の時代に描かれるアイリスとローラの姉妹と没落していく家族の世界。 妹ローラが描いた小説世界。 その小説の中で語られる、作中話のSF(盲いた少年の暗殺者と、生贄の少女の物語。トカゲ異星人とザイクロン星人の物語)。 合間に、淡々とした新聞記事の内容が挟まれる。 こうして、過去に現在、虚構や記録など様々な世界が何層にも繰り広げられゆく・・・ さてさて、その先には何があるのか・・・ まだ、真ん中あたり、おもしろくなってきたけど、なかなか先に進まない・・・ 期限切れのため、一先ず図書館へ返却(^^;) 11/19なんとか読了・・・。 はぁ〜。面白かったけど、こんなに疲れたのは久々。 後半以降、なんとなく結末が読めそうでいて、読み切れず。 制作における筆者の集中力に脱帽。 こんなにたくさんの挿話が折り重なって、重なって、どんどん流れてゆく。 読み解く側にも、集中力が必要。 木村弁護士なみに、付箋をつけて、メモしながら読み進めるべきだった。 もう一回読んで、納得したいけど、体力も時間もなく・・・日々消耗するばかり・・・ 12/7読了
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基本的に短編しか読まないので、辞書並みの分厚さのこの本はとにかくめくってもめくっても残りが減っていかなくて最初はうんざりしながら読んでたけれど、中盤から面白くなっていって最後の方は一気読み。主人公は不器用というか、肝心なところでダメな人だなあと思う。最後に真実を全部知ったあの人は...
基本的に短編しか読まないので、辞書並みの分厚さのこの本はとにかくめくってもめくっても残りが減っていかなくて最初はうんざりしながら読んでたけれど、中盤から面白くなっていって最後の方は一気読み。主人公は不器用というか、肝心なところでダメな人だなあと思う。最後に真実を全部知ったあの人は何を思うんだろう。
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惑星ザイクロンを舞台に、目の見えない暗殺者と口の利けない少女の愛と逃亡、そして、王国の崩壊を描いた物語…… の作者は、何者かから常に逃げている男。そして彼を愛する家族ある女の物語『昏き目の暗殺者』…… の作者、若くして亡くなったローラの姉、アイリスが語る一族の興亡と愛憎の物語。 ...
惑星ザイクロンを舞台に、目の見えない暗殺者と口の利けない少女の愛と逃亡、そして、王国の崩壊を描いた物語…… の作者は、何者かから常に逃げている男。そして彼を愛する家族ある女の物語『昏き目の暗殺者』…… の作者、若くして亡くなったローラの姉、アイリスが語る一族の興亡と愛憎の物語。 簡単にあらすじを描くと、釦製造で財をなしたチェイス家の娘アイリスとローラ。 しかし、家は没落し、政略結婚のため、アイリスはグリフェンと結婚する。愛も自由もない生活。 変わり者のローラは24歳にして、事故死する。 彼女の処女作にして遺作、『昏き目の暗殺者』は半世紀にも渡って読み継がれる名作を残す。 そこに描かれた男と女のモデルは誰なのか?彼女は自殺だったのか?家族の秘密は? と言うような感じ。 先にも書いたように、一番内側にSFファンタジーがあって、その次がそれを書く男と女の物語『昏き目の暗殺者』、 次が回想された人生の若きアイリスの一人称、外側が現在の老女アイリスの一人称。 そして、合間に客観的な彼らの新聞記事が挿入される。 という入れ子構造になっている。 ローラの描いた『昏き目の暗殺者』に出て来る人物――暗殺者と少女、男と女――は、誰かを象徴していて、そ れはいったい誰のことを指しているのか? と言うのがメインなのかな。 最後まで読むと、描かれた人物と事件が何を指しているのかわかる。 本当はも一回、掘り下げて読むべきなんだろうけど、ボリュームがかなりあるので、疲れた。 もっと、仕掛けられているような気がすんだけどね。 『黒い時計の旅』スティーヴン・エリクソン(福武文庫)読了。 ヒトラーのためにポルノを書き続ける男。その男によって、20世紀は二つに裂かれ、男は行き来する ……うーん。あらすじが書けないな。 正直言って、話がよくわからないんだけど、時間と空間を超えた、というより無視した幻視感に酔う。 実際に読んで感じてほしい、と言うしかないな。
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