スプーン の商品レビュー
林あまりさんの歌集ですね。 林あまりさん(1963年、東京生まれ)歌人、エッセイスト、作詞家。 なんと、一週間で詠えあげた歌集だそうです。 三ヶ月かけて、詠んだ短歌がどうやら設定ミスで「この短歌…、全部駄目だ!使いものにならない!」と気付いて、歌集出版の締切一週間前に、「大変な...
林あまりさんの歌集ですね。 林あまりさん(1963年、東京生まれ)歌人、エッセイスト、作詞家。 なんと、一週間で詠えあげた歌集だそうです。 三ヶ月かけて、詠んだ短歌がどうやら設定ミスで「この短歌…、全部駄目だ!使いものにならない!」と気付いて、歌集出版の締切一週間前に、「大変なスピードで、私は書きました。五日経ち、作品は百首以上になっていました。」とあとがきで語られています。 つまり、この歌集は実体験ではなく、主人公の設定があるドラマ化された歌集のようです。 短歌の成り立ちがそうであっても、詠み人の内面から産まれた歌であるから良いのだとは思います。 わたしのからだの重さをいつも知ってきた たったひとりのこの腕と胸 約束はいつでも次の季節まで 「春になったら植物園へ」 お湯から先に上がったあなたはもう冷えて 猫のわたしがあたためている 仕事がちっともはかどらなくて鉛筆を投げる しばらく木枯らしを聞く 海を見るためだけに乗るモノレール カーブのたびに青が濃くなる そこからが思い出せない見も知らぬ 路地を曲がった夢のその先 抱いていた猫を下ろせばまず胸が 冷えてきて冬がまた来る むかしむかしの春の歌ひとつ教わって くちずさむうち ねむたくなった 短歌を詠むことに悦びを味わう作者の息づかいが感じられます。一晩で三十首詠まれた事もあって出来上がった歌集です。恋歌の歌が多いです。さすが、プロの芸術家はセンスが違いますね。林あまりさんの歌集は、女性に人気が有るそうですが、頷けます。 恋歌は、私には余り縁が有りませんが、湿り気が無いあっさりとした短歌は、読んでいて頷けました。
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表紙が可愛い、さすが文芸春秋。短歌が可愛い、さすが林あまり。「橇に乗り銀いろの森こえてゆく目を閉じてあと十五分だけ」「約束はいつでも次の季節まで「春になったら植物園へ」」「そこからが思い出せない見も知らぬ路地を曲がった夢のその先」
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たったの二行から、広く鮮明な情景が複雑で繊細な心が生まれる。 きれい。 「ひとの手のかかった食事は今夜はつらく レトルトシチューあたためている」 「海を見るためだけに乗るモノレール カーブのたびに青が濃くなる」 「入院の母にこっそり食べさせる カップのアイスがなかなか溶...
たったの二行から、広く鮮明な情景が複雑で繊細な心が生まれる。 きれい。 「ひとの手のかかった食事は今夜はつらく レトルトシチューあたためている」 「海を見るためだけに乗るモノレール カーブのたびに青が濃くなる」 「入院の母にこっそり食べさせる カップのアイスがなかなか溶けない」 「視力がおちてきたのか あなたを見失う距離がこのごろ短くなって」 「何時間でもゆっくり抱いていてくれる 優しさは目に見える曲線」
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夜桜お七作詞。なんだか官能的。「すき、すき、とうごかしながらくちびるをあなたにすべらす声は出さずに」「日程を決めない限りかなわない大人の遊びはどれひとつとして」「少しずつ紡がれている関係は居心地がいい恋ではないが」
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表紙につられて。 少女のような歌と、大人の寂しさのような歌がまざってて面白かった。 口語の分かりやすい歌。ストレートすぎて好みではなかった。でもいくつか好きなのもあった。
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ベッドサイドはあまりにも露骨過ぎてちょっと苦手な詩が多かったけれど、こっちは可愛い詩も多くてすんなり読めた。好きです。
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大好きです。 本棚で立ち読みするには ちょっと恥ずかしいねんけど。 寝る前に読むには ちょっとドキドキすんねんけど。
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海を見るためだけに乗るモノレール カーブのたびに青が濃くなる 人間はおらず その他の生き物が うごめく家に帰る という罰 この先はいつも別れる交差点 歩みをゆるめて小指にふれる 落ち着いた男の声が流れ込み ぎざぎざの脳をなだめてくれる
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この人の詩が好きだ。 全部の詩が2文で構成されているのに、何故こんなにもこれらの詩の後ろに描かれる背景が目に浮かんでくるのだろう。 「ひどい目にあったのだろう恋人は 仕事の話は一つもせずが」
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