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ドキュメント 裁判官 の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2023/06/11

多数の裁判官・元裁判官へのインタビューをもとにした、読売新聞の連載記事の書籍版。 まず取材のスタンスがよかった。この手の本にありがちな「変な判決」を揶揄する内容でなくて読んでいてストレスがない。読売新聞ゆえだろう。 その上で普段語られることのない裁判官の胸のうちを覗き見ることを...

多数の裁判官・元裁判官へのインタビューをもとにした、読売新聞の連載記事の書籍版。 まず取材のスタンスがよかった。この手の本にありがちな「変な判決」を揶揄する内容でなくて読んでいてストレスがない。読売新聞ゆえだろう。 その上で普段語られることのない裁判官の胸のうちを覗き見ることを目的に掲げ、一人一人の裁判官の葛藤や信念を描く。 簡裁や破産手続き、持ち回り決済などの典型的でない訴訟手続きについて触れられていた点も、現場の現実を知れてよかった。当事者の救済のためにはとにかく迅速さを追求すべきときもあるし、本人訴訟など公平性から一段降りて柔軟に接すべき時もあるだろう。 最高裁への上告も、その実大半は上告理由をこじつけたもの、というのは面白かった。 そして時代感もよかった。本書に掲載された事件は多くが90年代のものだが、オウム事件や池田小学校事件、危険運転の厳罰化の契機になった東名高速二児焼死事件など特に刑事事件は重要なものばかりでその点でも勉強になった。 また裁判員裁判の導入前夜でもあり、一票の格差や非嫡出子訴訟などで違憲判決が出始めた時期でもある。現在の司法を考える上でも、90年代は興味深い時代だったといえるだろう。 総じて、20年以上前の新聞コラムだがいま読んでも面白かった。2002〜2022年ぐらいの射程で続編をやってくれないだろうか。

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2015/05/31

「裁判官には国に遠慮し、おもねる傾向が強かった」と過去形で記載があるが、現在形でしょう。 また、過去の判例を重視し、その理由として整合性なり地域による格差がないようにというような論理が使われるが、言い逃れできるように過去の判例と照らし合わせているだけとしか思えない。 制度的な...

「裁判官には国に遠慮し、おもねる傾向が強かった」と過去形で記載があるが、現在形でしょう。 また、過去の判例を重視し、その理由として整合性なり地域による格差がないようにというような論理が使われるが、言い逃れできるように過去の判例と照らし合わせているだけとしか思えない。 制度的な欠点はあるにしても、やはり裁判官は国より、自分よりなんだなと再確認した一冊。 口が重いであろう裁判官の話を載せているのは労力がかかっているだろうとは思う。 払ってもいい金額:500円 (追記)こんな記事がありました。 パナホーム訴訟、会社と弁護士が高齢女性へやりたい放題 庭園破壊&高額虚偽請求 http://news.infoseek.co.jp/article/businessjournal_131811/ 私も裁判を見たことがありますが、少額訴訟だったせいか、事実確認など非常にいい加減で、初めに判決ありきで誘導的に進めるなぁと思ったことがあります。

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2013/11/07

裁判官は、誠実でなければならない。そのすばらしいプレッシャーに、まじめに取り組む人たちが多いことには安心する。 九州大学 ニックネーム:すず

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2013/01/10

裁判官の人となりや仕事のあり方について、今まで知らなかった内部事情も踏まえて紹介している。考慮すべきは多々あり、時に批判を受けるような判決であっても、公正中立の立場で最大限の考慮がなされたものなんだとひしひしと感じた。

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2012/12/05

嬉しかったのはこの本に関する前向きなレビューの数々。人間味がわかったとかどんなことしてるか分かってよかったとか。こういう取組みはよい、私自身聞いて書き集めたり話したいぐらい。自分の立場から見ても、刑事・民事は勿論、全国3700人弱の裁判官の母体の中から幅広く紹介してくれてるな、仕...

嬉しかったのはこの本に関する前向きなレビューの数々。人間味がわかったとかどんなことしてるか分かってよかったとか。こういう取組みはよい、私自身聞いて書き集めたり話したいぐらい。自分の立場から見ても、刑事・民事は勿論、全国3700人弱の裁判官の母体の中から幅広く紹介してくれてるな、仕事のいい面悪い面もバランスいい印象。 「誰が何と言おうと私達はちゃんとやってる」とか「上級審でひっくり返されなかったからちゃんとやってるんだ」みたいな内部的な評価や満足だけでなく、こういう視点も意識していくべきだと思う。

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2012/05/31

司法は三権の中で最も独立した権力。裁判官の拠り所は社会的要求でなく適切な刑罰の適用。でないと刑が法を無視して一人歩きしかねない。法が時代不適合になっていると思われるなら、改定するのは政治(行政)の義務。裁判官の、公に出せない人間味が興味深い。

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2011/10/16

話題になっている量刑で悩む裁判官たちの話。 オウム、東名高速二児誘拐事件、新潟少女監禁事件などごく最近の事例が多く、事件背景を読者がよくわかっているだけに、裁判官の苦悩をより理解できる。(発売当時)

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2011/07/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

「警察官の方が僕より条例に詳しいこともあった。僕は法律の専門家というより,方の精神の専門家であろうと思った。そして,『素人の専門家』を心がけた。いかに健全な探求心,好奇心,常識を持ち続けていられるか。」(岡本健・元大阪高裁部装活) 「法的に原告を救済すべき事案が来たら,裁判官は法解釈でどこまでいけるかを真剣に考え,燃える。法解釈は生きているということだ」 「当事者にとっても君にとっても同じ事件は二度とない。一つ一つに全力を尽くさず,次の事件できちんとやるというのは言い訳にすぎない。裁判官失格だ」 「裁判官はいい格好をしてはいけない。『国民の目線で』というのは美しい言葉だが,国民の喝采を受ける気分で裁判をしたら大変なことになる」(可部恒雄・元最高裁判事) 「下級審の裁判官がハッスルして,こちらをうならせるような判断をしてくれないと,最高裁の判例も動いていかない」(山口繁・元最高裁長官) 新聞社が書いたということで裁判所に批判的な本かと思いきや,裁判官が色々なことを真剣に考えていて,ゆっくりではあるけど裁判所も判例も変わっていってるという,前向きな本。良かった。

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2011/04/19

「裁判官は世間知らずだ」―そういう批判がよくなされるが、この本を読んで、裁判に裁判官を通して世間を持ち込むことには限界があり、にもかかわらず裁判官には過大な期待が寄せられていると思った。 あらゆる場面で生じる、あらゆる専門性を持つ事件を扱う1人あるいは数人が、そのすべてに精通する...

「裁判官は世間知らずだ」―そういう批判がよくなされるが、この本を読んで、裁判に裁判官を通して世間を持ち込むことには限界があり、にもかかわらず裁判官には過大な期待が寄せられていると思った。 あらゆる場面で生じる、あらゆる専門性を持つ事件を扱う1人あるいは数人が、そのすべてに精通することは不可能であるし、それを要求するのであれば現行の司法制度を根本的に改革する必要があると思った。

Posted byブクログ

2011/03/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 「判決と国民感情に隔たりがある」「裁判に信頼が置けない」という声が聞かれ、裁判官による不祥事もしばしば取り沙汰される。 司法制度改革をめぐる論議でも、「国民が裁判に積極参加できるシステムを」との意見が大勢を占め、裁判員制の導入が決まった。 司法の担い手である職業裁判官たちに今、何が起きているのか。 法服をまとった「聖職者」たちの重責と苦悩とは。 人が人を裁く現場を追い、あるべき司法の姿を探る。 [ 目次 ] 第1章 刑事裁判(東名高速二児焼死事件 オウム真理教事件・松本智津夫公判 ほか) 第2章 民事裁判(ハンセン病国家賠償請求訴訟 尼崎公害訴訟 ほか) 第3章 最高裁判所(ある分限裁判 十五人の判事の人選 ほか) 第4章 素顔の裁判官(抜擢判事の挫折 自殺したエリート判事 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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