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の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2023/05/27

ダメ人間というのともちょっと違うんだけど、親のせいで子がねじれて、妙な性格になるというお話で。現代の話になるといろいろ本もありそうだけど、古い時代の話にすると新鮮よねぇ。ていうか昔のほうが子どもには厳しかったはずで、そういう意味じゃ勝手に想像するにリアルなんだわね。 ともかく主人...

ダメ人間というのともちょっと違うんだけど、親のせいで子がねじれて、妙な性格になるというお話で。現代の話になるといろいろ本もありそうだけど、古い時代の話にすると新鮮よねぇ。ていうか昔のほうが子どもには厳しかったはずで、そういう意味じゃ勝手に想像するにリアルなんだわね。 ともかく主人公のなんでもできるはずが親の呪縛で押し込まれてってのが、うーん、モヤモヤするぜ、何やっとんねん!ってなりながら読むのがけっこう好きだったのよ。

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2021/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古代の朝鮮半島っぽい国が舞台。 名家の長男として生まれながら、母の遺言により公子を憲君とするための影になることを強いられた戒(かい)。 文武に優れた戒はそのために家を出て、公子つきの舞手として人々には「猿」と笑われながら、人知れず公子に正しい政を行うように導いていた。 『公子を憲君とするための影』 戒の母がどういうつもりでそのようなことを我が子に押し付けたのかが終盤でわかるが、後に名君と言われたらしいその公子は、どう見ても暗愚で愚昧。 公子の乳母だった母が、いくら公子を溺愛したにしても、本来なら公子の力を伸ばしてやるべきで、我が子を落とす必要はないのでは? というか、最後までずっとその母の言葉に縛られて、好きな女性を諦め、夢をあきらめ、それでも自分を解放したい戒の煩悶を見ると、母の言葉は強い呪いの言葉としか思えない。(事実そうだったのだけど) 詩作や舞に天性の才を持つ戒は、人々に称賛されても嬉しくはない。 だって自分はこんなことがやりたいわけじゃない。 もっと自分がやるべきことがあるはずなのに…。 たかだか人より上手く舞が舞えたところで何だというのか。 戒の心は自分しか見ていない。 戒を思う人たちの心が見えない。 戒を思って発せられる言葉が届かない。 だから、どうも戒が天才には見えなかった。 悩める中二病にしか。 他の人物造形についても、もっと深く書いてほしいと思ったけれど、それでもぐいぐいと引きこまれるものはあった。 文章ももう少し整理して読みやすくならないかなと思うけど、この行きつ戻りつするような文章が、戒の心情を現わしているのかもしれない。

Posted byブクログ

2020/05/29

やや読みづらく感じた所もあって時間がかかりましたが、面白かったです。 でもでも! 文字数増やせば更におもしろくなりそうなお話。それも含め、この一作だけというのがとても惜しいなぁと思う小山歩さんです。

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2011/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

明公を人々に慕われる立派な君主に育て上げるため、才能がありながらもわざと道化を演じ続けた戒。 懸命に彼の影で補佐をし、道を切り拓いてきたのに、歴史上に残る戒の姿はただの狡賢い舞舞いでしかない。それが、歯痒い。 阿呆な明公の代わりに国を築いていったのは、戒なのに。歴史は捻じ曲がり、真実を伝えない。 ましてやその時代に生きた人々の思いは、歴史に残る事はない。 それでも最後まで舞い続けた戒は、幸せだっただろうか。 ちなみに戒が舞っている中、降り注いだ肉片がびちびちと跳ねる最後のあのシーン。おいおい、それはどうなんだと思わずつっこんでしまった。 その姿で舞いに参加するのか。 「戒さま。あなたがすべきは、何者であるかを知ることではなく、何者になるかを選ぶことです。 ―あなただけが特別なわけではない。あなただけが不幸なわけではない。お決めなされよ。私は待ちません。運命に是非を言える人間など、いないのだから」

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2010/10/22

どこかの半島を舞台にした、現代で蔑まれている猿人間の伝説の真実を描いた物語。 実際は天才的な才能を持つ人物であり、真実の出自も誉高いのに、彼を取り巻く人達のせいで生まれながらに悲運。 最初さえ違えば才能を活かして全く違う人生だったのだろうなぁと思うと最初のきっかけを作った狂気の母...

どこかの半島を舞台にした、現代で蔑まれている猿人間の伝説の真実を描いた物語。 実際は天才的な才能を持つ人物であり、真実の出自も誉高いのに、彼を取り巻く人達のせいで生まれながらに悲運。 最初さえ違えば才能を活かして全く違う人生だったのだろうなぁと思うと最初のきっかけを作った狂気の母親が許せない。 後世で蔑まれることが分かっているだけに、真実はそうではなかった事が語られても、結局大筋はその歴史の通りになってしまい、救いがないように感じた。

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2010/10/02

後宮小説+白鳥異伝+座頭市っぽい? ちょっと酒見賢一さんを参考にしすぎのきらいがある。 だけど面白かった。

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2010/03/14

すごく面白かったです。戒の持つ孤独感はとても切なくて、瓦礫から戒を助け出そうする湖妃や英夫人それに明公の姿に涙が滲みそうになったり。あと、醒と戒とのやりが取り楽しかった。

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2012/12/29

A 3回目。稀代の名作。読んで損なし。 まず故事の「隗より始めよ」を盛大にパロったテーマの堂々さが凄い。中国文化をモデルとしつつも完全にオリジナルの良く出来た世界。戒の人間身溢れた描写。1冊に濃縮されたメリハリのある展開。音楽を聴いてるかと錯覚をするほど、自然と脳内に浸透して...

A 3回目。稀代の名作。読んで損なし。 まず故事の「隗より始めよ」を盛大にパロったテーマの堂々さが凄い。中国文化をモデルとしつつも完全にオリジナルの良く出来た世界。戒の人間身溢れた描写。1冊に濃縮されたメリハリのある展開。音楽を聴いてるかと錯覚をするほど、自然と脳内に浸透してくる綺麗な文章。すべてが文句なしの作品。完成度という点で他の本の追従を許さない。 100冊の本を読むのも、このレベルの本1冊に出会うが為と思わせてくれる。 唯一の不満は、この作者がこの1冊で消えてしまった事。 数年に1冊のペースでも出せば確実に大作家となるであろう。そんな片鱗を、処女作のこの1冊からでも感じさせたのに、、、本当に残念。

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2009/12/24

「延戒」という舞舞いを中心に描いた話。 この国もこの人物も、実在していたのではとふと思ってしまう程、引き込まれた。 皆鮮やかに生きていて、良い。「夏雨」の無邪気さや強さが印象的。

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2009/10/07

2007/11/29〜12/2 数年前に読んでみたいなと思っていてやっと巡り合った本。 母親という名の束縛(呪縛)というものは親のエゴが強いほどより強力になるのだなと思った。最後の戒の舞は圧巻。個人的には醒が好み。 『おれは、舞うぞ。《中略》孤独?けっこうさ、猿はひとの優しさなど...

2007/11/29〜12/2 数年前に読んでみたいなと思っていてやっと巡り合った本。 母親という名の束縛(呪縛)というものは親のエゴが強いほどより強力になるのだなと思った。最後の戒の舞は圧巻。個人的には醒が好み。 『おれは、舞うぞ。《中略》孤独?けっこうさ、猿はひとの優しさなど欲しない。ひとりでも、舞う。』292P

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