自爆攻撃 の商品レビュー
広瀬公己著「自爆攻撃」NHK出版(2002) 宗教の違いや、植民地支配が生み出した複雑な被害者意識は、民族の対立とは直結しない混沌とした感情をもつ。しかし、それが一旦言語政策という政治的な形を与えられた事でシンハラとタミルの対立という民族紛争へと発展した。同じ国民が、いがみ合い...
広瀬公己著「自爆攻撃」NHK出版(2002) 宗教の違いや、植民地支配が生み出した複雑な被害者意識は、民族の対立とは直結しない混沌とした感情をもつ。しかし、それが一旦言語政策という政治的な形を与えられた事でシンハラとタミルの対立という民族紛争へと発展した。同じ国民が、いがみ合い、そしてゲリラテロへ、そして自爆テロへと発展していったスリランカという国の事実が記載されている。それも鮮明に、生々しく、そして時には目を背けたくなる現実まで。なぜなら、これは、1999年12月にスリランカの中心都市コロンボで再選を目指す大統領の選挙戦最後の演説時に起きた自爆攻撃によって、32発の流弾を受け死の生死をさまよったNHK特派員による取材レポートだからだ。それ故に、ものすごい迫力の文章となっている。偶然に、この方に私はインドでお会いした。全くそのような凄まじい経験をした雰囲気を醸し出してはいなかったが、彼の心の奥にはつねに、人間の本質とはなんだろうという問いかけが消える事はないと自分は思っている。
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