灰色の輝ける贈り物 の商品レビュー
アリステアマクラウド「灰色の輝ける贈り物」読んだ。久々の新潮クレスト http://t.co/KAXGYSOw 日々の糧のための労働や知足を尊ぶ親たちと、貧しい中で常に知に飢え、やがて自分が育った環境や価値観から離れていく子供たちとの葛藤の様子がやるせない。(つづく どの短編も...
アリステアマクラウド「灰色の輝ける贈り物」読んだ。久々の新潮クレスト http://t.co/KAXGYSOw 日々の糧のための労働や知足を尊ぶ親たちと、貧しい中で常に知に飢え、やがて自分が育った環境や価値観から離れていく子供たちとの葛藤の様子がやるせない。(つづく どの短編も静かだけれど強い激しさが感じられる。スコットランドの美しく厳しい自然がそのまま本の雰囲気になっている感じ。読みながら祖父をたびたび思い出した。丁寧に働く日々がどれほど大切なことかよくお説教されたっけ、懐かしい。ディケンズを愛読する漁師が出てきて格好良すぎてくらくらした笑
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カナダの東、地の果てとでも呼びたくなるケープ・ブレトン島を舞台にした家族の物語。 どの短編もその骨子は地縁血縁。 生きている限り、切っても切り離せない家族の絆。どこでどんな生き方をしようと忘れられない故郷の思い出。 選び抜かれた言葉で語られる素朴で力強い物語は、人と人、人と土...
カナダの東、地の果てとでも呼びたくなるケープ・ブレトン島を舞台にした家族の物語。 どの短編もその骨子は地縁血縁。 生きている限り、切っても切り離せない家族の絆。どこでどんな生き方をしようと忘れられない故郷の思い出。 選び抜かれた言葉で語られる素朴で力強い物語は、人と人、人と土地という、普遍的なテーマを美しく語っている。誰の心にも、何か郷愁のようなものを呼び覚ます力のある短編集だと思う。
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初めて読んだカナダの作家の短編集です。 知る人ぞ知る珠玉の作品集だそうなので読んでみました。 マクラウドはプリンスエドワード島の隣の島で育ち、木こり・炭坑夫・漁師などで学資を稼いで大学へ行き、英文学の教鞭を執りつつ、31年間に16作発表したという寡作な作家。 つまり、これで半分ぐ...
初めて読んだカナダの作家の短編集です。 知る人ぞ知る珠玉の作品集だそうなので読んでみました。 マクラウドはプリンスエドワード島の隣の島で育ち、木こり・炭坑夫・漁師などで学資を稼いで大学へ行き、英文学の教鞭を執りつつ、31年間に16作発表したという寡作な作家。 つまり、これで半分ぐらい読んでしまったことになるらしい。 穿つようにゆっくり選ばれた言葉で何気ない日常の一こまが目の前に浮かぶように描かれています。 なるほど、上手い文章、巧みな小説とはこういう物なのだと唸らされます。 生き方の違う親子の別れやふとした心の触れあいなど、状況の切ない意味が次第に明らかになっていく… 静かな重みがあり、いくつかは忘れられない作品になりそうです。
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「馬を売らないとね」。母がきっぱりとそう言ったのを思い出す。「今年の冬は長くなりそうだし、私ひとり残されて、手伝ってくれるのがこの子たちだけじゃあね。おまけに、あの馬、よく食べるし、今みたいに家畜に食べさせる余裕もなくなるから」 十一月の第二土曜日のことだ。太陽はもう今年は消え...
「馬を売らないとね」。母がきっぱりとそう言ったのを思い出す。「今年の冬は長くなりそうだし、私ひとり残されて、手伝ってくれるのがこの子たちだけじゃあね。おまけに、あの馬、よく食べるし、今みたいに家畜に食べさせる余裕もなくなるから」 十一月の第二土曜日のことだ。太陽はもう今年は消えてしまったような気がする。日がたつにつれ、夜明けはどんよりと不機嫌そうになり、大西洋は暗く陰気になってきて、黄色っぽい波頭を崖下の大きな丸石に激しく打ちつけている。なめらかなその丸石は、巨人が自分の行く手に立ちふさがる絶壁の下にばらまいたように散らばっている。夜、ベッドに寝ていると、波が寄せては砕け、寄せては砕ける音が聞こえる。激しく、規則正しく打ちつけるので、波の轟きの合間に一、二、三、四、一、二、三、四、とリズムをつけて数えられるくらいだ。 (「秋に」本文p114)
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彼の短編のうち、初期のもの はじめてケープ・ブレトンにやってくる十歳の男の子の話がなんだかよかった 今回の装丁はガーンジー・セーターの編み目模様になっていて、漁師が多い話とリンクしているところににやりとした クレストブックスはクオリティ高いよなあ。装丁も、つくりも、紙の手触りも...
彼の短編のうち、初期のもの はじめてケープ・ブレトンにやってくる十歳の男の子の話がなんだかよかった 今回の装丁はガーンジー・セーターの編み目模様になっていて、漁師が多い話とリンクしているところににやりとした クレストブックスはクオリティ高いよなあ。装丁も、つくりも、紙の手触りも、フォントも、好き。強いて言うなら、裏表紙の書評はあんまり好きじゃないけど
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マイケル・オンダーチェが「知られざる偉大な作家」という言葉に偽りはないと率直に感じる。計8編収録された短編集だが、『ランキンズ岬への道』と『夏の終わり』は出色。静かにそっと選ばれた言葉たちの輝きを贈り物として私は受け取る。厳しい自然と厳しい炭鉱での労働。毎日、死がそっと隣あわせに...
マイケル・オンダーチェが「知られざる偉大な作家」という言葉に偽りはないと率直に感じる。計8編収録された短編集だが、『ランキンズ岬への道』と『夏の終わり』は出色。静かにそっと選ばれた言葉たちの輝きを贈り物として私は受け取る。厳しい自然と厳しい炭鉱での労働。毎日、死がそっと隣あわせにふとあることもあろうかというたくましい人々の心の風景の繊細さ。ケープ・ブレトン、ニューファンドランド、プリンス・エドワード・・・サスカチェワンを地図で探すのと同時にカナダ北東部の地図を見る。かつても今も、そこに暮らしはある。歌も。踊りも。暮らしは変り、歌と踊りつまりゲール語のジグやリールはもはや記録された写真やテープやフィルムに残されるのみ。日本でこの一冊を読む私はまたその「贈り物」にも思いはせることになる。
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海外のいぶし銀、アリステア・マクラウドの短編集。 極寒の地で暮らす人々の生活を切り取った珠玉の作品集。
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