昏睡状態の人と対話する の商品レビュー
通常の意識状態と異なる意識状態は、どうすることもできない…というものではないという理論・実例はとても新鮮だった。昏睡状態の人であっても、当人の内的ワークをサポートすることができ、それによりトランス状態を意識化し展開することができるとのこと。自分の意識状態(トランス状態など含む)全...
通常の意識状態と異なる意識状態は、どうすることもできない…というものではないという理論・実例はとても新鮮だった。昏睡状態の人であっても、当人の内的ワークをサポートすることができ、それによりトランス状態を意識化し展開することができるとのこと。自分の意識状態(トランス状態など含む)全てを見ることで、新しい自分に進むことができるならば、是非体験してみたいと思った。また、脳死・植物状態について、もっと考える必要があると思った。
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[ 内容 ] 著者のミンデル氏は、昏睡状態の人と対話するという信じられないことを可能にした。 忍耐強い働きかけを行っていくと、クライアントは筋肉の一部の動きや言葉の応答によって、死にたいか、生きたいかの意思表示や未解決の愛のテーマなどを完了することができる。 そして生と死にまつわる観念を乗りこえていく。 ユング派のセラピストが、数多くの臨床例から、死に瀕した人の微細なメッセージを聞きとる方法や、生の深い意味を明かす待望の翻訳書。 [ 目次 ] 第1部 人生への鍵(大きな船;橋を渡って;死の宣告;昏睡状態と再生;ビンの中のスピリット;死とはなんだろうか?) 第2部 理論と実際のトレーニング(変性意識状態と昏睡状態;コーマワーク;コーマとシャーマン的体験;ドリームボディと神話的身体;永遠の自己;脳死と死の倫理学) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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この本は、おそらくミンデルの本の中でいちばん平易で読みやすいものの一つだ。 ミンデルが創始したプロセス指向心理学は、個人療法、家族療法、集団療法などに適用されると同時に、コーマワークとしても新たな展開を見せている。コーマとは昏睡状態、コーマワークとは昏睡状態の人とのワークを意味す...
この本は、おそらくミンデルの本の中でいちばん平易で読みやすいものの一つだ。 ミンデルが創始したプロセス指向心理学は、個人療法、家族療法、集団療法などに適用されると同時に、コーマワークとしても新たな展開を見せている。コーマとは昏睡状態、コーマワークとは昏睡状態の人とのワークを意味する。この本は、コー マワークという特異で独創的なワークの視点からのミンデル世界への入門と考えてもよい。 昏睡状態の人と対話などできないという常識にがんじがらめになっていた医師やセラピスト、その他多くの人々を驚愕させる成果の積み重ね。これまで誰もなしえなかった対話を可能にした驚くべき才能と独創性。その成果を基礎にした説得力。 しかも、その対話や実践的な成果から自ずと明らかになるのは、肉体を超えた魂の永遠性や、肉体の死に直面しつつそれを乗り越えて成長する精神の感動的なあり方なのだ。昏睡状態の人と対話をするという、きわめて具体的な実践を踏み外さず、その視点からのみ語りつつ、とてつもなく深い精神の世界を語っているのに驚く。 その実践に基礎付けられた事実の重みがこの本に、他に類を見ない価値を与えてい る。 昏睡状態にあった魂が、肉体に閉じ込められた視点から認知する「現実」を超えて、はかり知れない精神の世界へ飛び立とうとする。そのとき、愛、自由、癒しといった偉大な課題を成し遂げていく様が、ミンデルとの感動的なワークを通して明らかになってく。昏睡状態は「閉じられたアイデンティティから、より大いなる命に向けての自由を生み出すための歓喜に満ちた最後のダンスの試みであるかもしれない」とミンデルは捉えるのだ。 彼は、「旅の道のりは、しばしばトランス状態や昏睡状態といった影の部分をさまよい、通り過ぎる」とも言う。旅とは、もちろん大いなる命へ向けての旅だ。その旅の道のりにおいて昏睡状態は、しばしば積極的な意味を持つ。「命に関わる病気が死のきわで表す症状は、光明につながる道なのだ。身体から発信されるシグナ ルは、それがいつ現われるかに関わりなく、自覚を捜し求める夢なのである。」 身体のどのようなシグナルが、「自覚を探し求める夢」としてどのようにミンデ ルに受止められ、どのように応答されていくかは、ぜひ本をとって確かめていただきたい。ここではミンデルの次のような言葉を紹介するに留めよう。 「私が出会った昏睡状態になった人々は脳の構造上深刻なダメージを受けた人以外は、全員目を覚まし、パワフルな体験を言葉で語ってくれた。脳にひどい外傷的なダメージをこうむった人ですら、プロセスワークに対して非言語的な合図によって肯定的に反応した。一方、脳にひどい損傷を負っていない人々は目を覚まし、未解決の愛や学ぶべきテーマを完了させた」 この本でもう一つ興味深いのは、ミンデルの他の本には見られない、霊的な世界についてのかなり踏み込んだ発言も見られる点だ。 たとえば、「死に瀕した人々の多くがベッドに横たわりながら、同時によその町中を歩き回るという体験を私にきかせてくれた。私はこのようなケースから、人間の意識は肉体の外に飛び出すこともあり得ると考えるようになった」等々の発言。 いずれにせよ、ミンデルのコーマワークが、以上のような生命観をもとに実践され、またコーマワークの実践が、このような生命観を育んでいったのだということを忘れてはならない。 ミンデルは最後の章を「脳死と死の倫理学」にあてている。最近のニュースでも長い昏睡状態から目覚めた事例があったが、昏睡状態での体験を味わい尽くした後で、自らの決心で息を吹き返す人もいるのだ。持続的な植物状態においてさえ、脳と精神が同一とはいえないと彼はいう。そのような状態でも患者と対話ができるのであれば、死の判定を、家族や医師にまかせてしまっていいのだろうか。「生と死」 は、瞬間毎に当人によってのみ定義され得る」というのがミンデルの主張である。
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