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被告の女性に関しては の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/11/13

主人公は21才のオックスフォード大学生アラン。このアランの心の内の記述によって最初から最後まで語られる。これがけっこう読むのがつらい。おおむねにおいて自信を持てない自分や、出来のいい弟妹などの家族、恋人、などに感じるささいな感情、みすごされがちな思いもあますところなく書かれる。 ...

主人公は21才のオックスフォード大学生アラン。このアランの心の内の記述によって最初から最後まで語られる。これがけっこう読むのがつらい。おおむねにおいて自信を持てない自分や、出来のいい弟妹などの家族、恋人、などに感じるささいな感情、みすごされがちな思いもあますところなく書かれる。 アランは肺に影がみつかり、ある医師夫妻の家で療養することになるのだが、皮肉屋の夫、若い妻、とくれば何か起こるだろうことは容易に想像がつく。想像どおり妻との仲が進展するのだが、最後の方が、なにか喜劇的。これはアントニー・バークリー名義の探偵小説に出てくるロジャーを思わせる。 ネットで、クリスティの「春にして君を忘れ」を思わせる、などという文にであったが、バークリー名義では推理、アイルズ名義のこれでは徹底した内省、という点ではそうかも。アイルズは男性なので、恋人は体は魅力的だがウィットのある会話のできない女性、件の人妻の夫は、妻はバカだ、というセリフを書く。女性を馬鹿にしている記述ともとれるが、恋人はアランが人妻に傾いているのは素早く察知するし、医師の妻も結局は僕ではなく自分が一番大事だったのか、とアランは最後に気づき、結局はバカだ、としている女性に翻弄されたアラン、という構図ととれた。 後半、どんどんアランが追い詰められ、堕ちてゆく様にどきどきする。 1939発表 2002.6.10初版 図書館

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2024/10/20

アントニイ・バークリーのフランシス・アイルズ名義の作品。 すごいものを読んでしまった…。 劣等感に悩む感受性の強い若者の性格の謎を追求して、恋愛、犯罪に至るまでの揺れ動く心理が詳細に描かれている。 私の1番好きなやつ。没入感高くて一気読み。 アラン以外の家族は全員優秀で、家族...

アントニイ・バークリーのフランシス・アイルズ名義の作品。 すごいものを読んでしまった…。 劣等感に悩む感受性の強い若者の性格の謎を追求して、恋愛、犯罪に至るまでの揺れ動く心理が詳細に描かれている。 私の1番好きなやつ。没入感高くて一気読み。 アラン以外の家族は全員優秀で、家族の中で自分が最も劣っていると自他ともに認めている。 アランのことは誰も認めてくれないので、家では認めてもらえるように常に自慢ばかり言ってしまう。 滞在先でのアランは、新しく出会う人の言動や態度に敏感で、感受性が強いため言葉の裏を常に読もうとしている。  すごいわかるんだよな〜。 この辺りのアランの気持ちが…。 自分も母親に兄弟と比べられるのがすごく嫌だった。 いくら兄弟だって人間が違うんだから、得意なものや性格が違うのは当たり前なのに…。 敏感で言葉の裏を読んでしまうところは、自分の内面を見られてるかのようだった。 バークリーに惹かれるのは、自分と似たところがあるからなのかもしれない。 その後は心理サスペンスへと変わっていく…。 感情移入して読むとドキドキして怖い心理サスペンスなのに、ふと客観的に読むと可笑しい。 何なんだこの不思議な感覚は!! 同じアイルズ名義の『殺意』は完全に心理サスペンスだけど、この作品はアイルズ+バークリーのブラックユーモアを感じた。 そしてエピローグでバークリーらしさを出してくる。 もうこれだからやめられないのよ!!(中毒) この作品を最後に、どの名義でも断筆してしまったことが本当に残念でならない。

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2013/04/28

アランの気持ちが分かるような分からないような・・・。 周りが自分より優秀なのばかりだと、自分で自分を褒めるしかなくなるよね。褒めすぎたら自分を見失うんだろうけどね。

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2009/10/04

アントニイ・バークリー名義でもミステリを出しているフランシス・アイルズの作品。ユーモア作家と聞いていたので、序盤の展開であれ?と思いました。感受性豊かな悩める青年の心理が語られます。同級生や恋人の前では見得を張りながらも優秀な家族の中で劣等感を抱き、自分の不甲斐なさに喘いでいる。...

アントニイ・バークリー名義でもミステリを出しているフランシス・アイルズの作品。ユーモア作家と聞いていたので、序盤の展開であれ?と思いました。感受性豊かな悩める青年の心理が語られます。同級生や恋人の前では見得を張りながらも優秀な家族の中で劣等感を抱き、自分の不甲斐なさに喘いでいる。少々長いくらいのこの布石が後半をよりユーモラスにしています。イブリンに限らず女性に限らず、いざという時はとっさに自分の身を庇うもの。そしてその行動に傷つけられたとしても、人間は強かにできているのです。このシニカルな笑いは、登場人物だけでなく自分にも向けられると思います。喉元過ぎれば熱さを忘れ、一度折れた骨はより強くなる。

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2009/10/04

まるで恋愛小説かと思えるほどに序盤からずーっと仮面夫婦とそこに紛れ込んだ若い感受性豊かな青年の心の葛藤を描き続ける。まあこれがやたら感情移入しちゃってぐいぐい引っ張られる。しかし最後の最後で一気にミステリというかサスペンスというか、とにかくそんな展開が始まりそのまま最後まで持って...

まるで恋愛小説かと思えるほどに序盤からずーっと仮面夫婦とそこに紛れ込んだ若い感受性豊かな青年の心の葛藤を描き続ける。まあこれがやたら感情移入しちゃってぐいぐい引っ張られる。しかし最後の最後で一気にミステリというかサスペンスというか、とにかくそんな展開が始まりそのまま最後まで持ってかれていくような感じ。特に最後のエピローグは最高。

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2009/10/04

イギリスの作家で、もう亡くなった人?の作品らしい。 読み終わって脱力しました。  肺の病気で療養に来た学生アランと、滞在先の医師の妻ミセスポールが主要な人物。  前半は、繊細すぎる神経を持つアランは、ミセスポールの理解により、自分に自信を持っていく。その様がこちらにも伝わってきて...

イギリスの作家で、もう亡くなった人?の作品らしい。 読み終わって脱力しました。  肺の病気で療養に来た学生アランと、滞在先の医師の妻ミセスポールが主要な人物。  前半は、繊細すぎる神経を持つアランは、ミセスポールの理解により、自分に自信を持っていく。その様がこちらにも伝わってきて、ワクワクしました。ミセスポールは素晴らしい女性と感じさせられ、こんなヒトに私もなりたいと思ったのさ。  中盤に入り、アランとミセスポールとの不倫関係。このころから、この女はただ者じゃないと感じ。。。  後半は、泥沼。。。やはり彼女は・・・。最後まで、ストーリー展開が読めなくて、次・次という感じで読み進みました。 読み終わり、脱力したものの、こういう作品が結構心に残るもんだよなと思った。

Posted byブクログ