唇を閉ざせ(下) の商品レビュー
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まさに息をもつかせぬ怒涛の展開。夢中になり一気に読んでしまう面白さがある。脇役キャラクターもそれぞれとても魅力的で、主人公が示唆した通り、その後の彼らの物語をとても知りたくなる。ただ内容に別のハーラン作品を連想するものがあり、それ故ラストの衝撃は小さかった。初めて読んだのがこの作品ならばもっと評価は高かったかな。
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コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。 山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生...
コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。 山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。 本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるという奇妙な出来事に端を発し、過去からの有象無象やら、関わった者たちの罪と罰が表面化してゆくストーリー。 二十代の若き主人公は元より、彼を取り巻く個性的なキャラクター造形が素晴らしく、人間的で魅力的な悪党たちや、サイボーグのような冷徹な悪人、また善悪の彼岸を往来する迷い人のような存在も多彩に描かれ、彼らのもたらす化学反応が、ストーリーを激しく燃焼させてゆく様は、読み応えに満ちている。いわゆるジェットコースター・スリラーなのである。 過去のシリーズ物と、最近の熟成した作品との狭間に位置するホットな書きっぷりが、作風をいい感じに料理してくれており、この作者が一気にエンタメ小説の世界的なスターダムに持ち上がったエネルギーに納得させられる何かを、しっかり感じさせてれる。 なお、『ランナウェイ』『森の中の少年』にも登場する女弁護士ヘスターが本作でもしっかり存在感を示してくれている。ぼくがこの作品を読んだのもヘスターの初登場作と聞き及んでいたことが大きい。熱い弁護士ヘスターのファンには是非とも本作での活躍もご覧頂きたい。
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謎のメールを解読して妻のエリザベスが生きていることを確信したベックは、彼女の居場所の手がかりを探し求める。しかし、二人の友人だった女性カメラマンが殺害され、ワナにはめられたベックは犯人として追われるはめに…。逃亡者となったベックは妻と再会できるのか?そして8年前の悲劇の真相とは。...
謎のメールを解読して妻のエリザベスが生きていることを確信したベックは、彼女の居場所の手がかりを探し求める。しかし、二人の友人だった女性カメラマンが殺害され、ワナにはめられたベックは犯人として追われるはめに…。逃亡者となったベックは妻と再会できるのか?そして8年前の悲劇の真相とは。 謎解きがやや急ぎ過ぎなのが、もったいない。 下巻は星一つマイナス。
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「ステイ・クロ-ス」がとても面白かったので、ハーラン・コーベンの過去作を追いかけてみようと手始めにてにとった作品。 貧困地区の小児科医として働く主人公ベックは、小さいころからずっと一緒だった妻エリザベスを殺害された過去をずっと引きずって生きてきた。そんな彼に1通のEメールが届く。彼と妻しか知らない暗号が書かれたメールに添付されたURLを開くと、エリザベスの現在のライブ映像が映る。彼女は生きているのか? そして、そのメールを受け取った時点からFBIと謎の男たちに追いかけられるようになったベック…。 サスペンス小説の王道を行く本作。真っ向勝負のど直球で、謎又謎の物語をスピード感あふれる展開で読ませる。前半の追跡モノとしての緊張感が一息つく間もなくクライマックスから後半の急展開の見事さ! 最後のオチ(?)まで含めて、一気読み。このスピード感、この力技。さすがコーベン!ムッサ楽しませてもらいました。
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【内容覚書】 殺されたはずの妻が生きていることを確信し、 彼女の元へと突き進む主人公。 しかし、主人公に妻殺しの嫌疑がかけられ、 さらには妻の親友が殺害された事件の容疑者とされてしまう。 果たして主人公は、妻に会うことはできるのだろうか。 そして、真実を見出せるのだろうか。 【感想】 次々と話が進むので、 冒頭で、主人公が妻に何かを打ち明けようとしていたことを、 うまく忘れさせてくれる。 ただ、推理物好きな人は、ふと振り返ってちょっと考えれば、 事の真相は、すぐわかってしまいそう。 加えて、夫婦愛に現実感がないせいかリアリティが足りない。 こども向けの愛と勇気の冒険小説を、 読んでいるような気がしなくもなかった。 軽いミステリーが好きな人向けかな。 ハッピーエンド、ではあるので、読後感も悪くない。 安心して読めるミステリ。
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