島抜け の商品レビュー
表題の「島抜け」は作…
表題の「島抜け」は作者の領分たる漂流記。遠島刑先の種子島から丸木船で脱出した四人の男が漂流し、奇跡的に中国沿岸に流れ着く。紆余曲折を経て帰国を果たすのだが、島抜けの事実の発覚を怖れ、男たちは一時収容先の長崎奉行所から逃走する…。中編ながらスケールの大きい作品。「欠けた椀」は飢饉に...
表題の「島抜け」は作者の領分たる漂流記。遠島刑先の種子島から丸木船で脱出した四人の男が漂流し、奇跡的に中国沿岸に流れ着く。紆余曲折を経て帰国を果たすのだが、島抜けの事実の発覚を怖れ、男たちは一時収容先の長崎奉行所から逃走する…。中編ながらスケールの大きい作品。「欠けた椀」は飢饉にみまわれて逃散した百姓の悲劇を克明に描いて圧巻である。「梅の刺青」は明治初期の医学史を材にとり、日本初の献体を皮切りにして病理解剖制が確立されていくまでを活写している。
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幕府の怒りに触れたた…
幕府の怒りに触れたため島流しにされた講釈師が島抜けをするのだが、着いた先は中国だった。そこから長崎へと帰ってはきたが・・・。3篇収録された小説。
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※このレビューにはネタバレを含みます
新橋の古書市で購入。 吉村昭さんは肌に合うというか、するする読める。そして描写が秀逸。 講釈を生業とした者が、その内容から幕府の怒りに触れ、種子島に島流し。 そこでの生活と、島抜けしてから。 ラストはモヤモヤ。
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3つ作品の入った短編集であるが、標題の島抜けが分量的にもメイン。 吉村氏の得意分野である漂流もの、脱獄ものがミックスされたような内容で、短いながらも、とてもハラハラさられる話だった。 島流しされた人の生活は、わりと自由だったということを初めて知った。
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吉村昭の短編集。 短編とは言え読み応えは十分すぎる。 講釈師の島流から始まる島抜けは、講釈師という職業の凄さを想像させられる。 思いがけず漂流し異国に流れつき、企てでないにしても嘘に嘘を重ねていくしかなくなる。 あぁそのまま逃してやって…そう思わずにはいられない作品だった。 ...
吉村昭の短編集。 短編とは言え読み応えは十分すぎる。 講釈師の島流から始まる島抜けは、講釈師という職業の凄さを想像させられる。 思いがけず漂流し異国に流れつき、企てでないにしても嘘に嘘を重ねていくしかなくなる。 あぁそのまま逃してやって…そう思わずにはいられない作品だった。 欠けた腕は飢饉に喘ぐ農民夫婦の話。 四つ足と、そんな言い方していたんだ… そんなに不貞腐れるならと意地悪な考えをしたが死んでいるなんて。 食べるものがない、飢えるとは狂気だと考えさせられた。 梅の刺青も感慨深い作品。 献体に供したいと思う事があったが、今では足りており需要と供給が合わないと聞き諦めていた。 もう一度献体を考えたい、そんな気持ちにさせてくれた作品。
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★3.5 短編集 『島抜け』 天保改革の波に巻き込まれ、詠んだ講釈のために 島流しにされた講釈士・瑞龍。 『欠けた腕』 救いようのない飢饉に見舞われた甲斐国。 飢えと悲しみから逃れようとする夫婦の物語。 『梅の刺青』 幕末から明治にかけ医学進歩のため『腑分け』に 邁...
★3.5 短編集 『島抜け』 天保改革の波に巻き込まれ、詠んだ講釈のために 島流しにされた講釈士・瑞龍。 『欠けた腕』 救いようのない飢饉に見舞われた甲斐国。 飢えと悲しみから逃れようとする夫婦の物語。 『梅の刺青』 幕末から明治にかけ医学進歩のため『腑分け』に 邁進する医師たちの物語。 相変わらず、吉村昭氏の作品は壮絶で過酷だ。 そしていつも、こうした史実に基づく物語の続きが嘆かれがちな今のこの世の中であり、それでもありがたいと思う事が出来る作品。 氏の作品に出会えた事にもいつも幸せだと思わせられる。
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・9/15 読了.続けて漂流ものを読む.泳げない自分にしたら想像しただけで恐ろしいシチュエーションだ.自分なら無理して大海原に出ていかず陸地にいようと思うなきっと.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編が3つ入っていて、 一つ目の「島抜け」では、講釈師の瑞龍の島流しと、島からの脱出、その後たどり着いた場所は!? 半生を興味深く読めました。また、あとがきでは、資料探しの経緯が少しだけ載っているが、インターネットのない時代でよくそんな資料探せるなと驚きました。 短編3つ目「梅の刺青」では、日本におかける解剖学の歴史を読めて興味深かったです。 タイトルの「梅の刺青」は日本で最初の検体にまつわるところですが、当時の女性の生きる大変さを感じました。
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恐ろしいほどのテンポの良さ、ぐいぐい読ませる展開、全く隙がない。司馬遼太郎なら途中で著者の感想が入るとこだね。
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講釈師の瑞龍は幕府を批判する講釈を読んだ廉でしょっぴかれ、島送りの沙汰が下った。大坂は開放的な街だったが、ちょうど享保の改革に当たり、見せしめみたいなものだったようだ。船で種子島に送られた。 島の暮らしは比較的自由で、海辺で貝拾いをしたり魚釣りをしたりした。ある日一緒に預け...
講釈師の瑞龍は幕府を批判する講釈を読んだ廉でしょっぴかれ、島送りの沙汰が下った。大坂は開放的な街だったが、ちょうど享保の改革に当たり、見せしめみたいなものだったようだ。船で種子島に送られた。 島の暮らしは比較的自由で、海辺で貝拾いをしたり魚釣りをしたりした。ある日一緒に預けられている罪人二人とよそ村身体訪ねてきた者と四人で釣りに行った。ちょうど丸木舟がもやってあったのでちょいと拝借し沖釣りをした。浜で釣るより各段によく釣れた。 ところが途中で一人がこのまま島抜けしようと言い出した。宛てなく漕ぎ出したが、途中時化にも遭い十五日後に着いたところは清国の島であった。 何とか日本行きの大船に乗せてもらい長崎に着いた。ところが吟味を受けるため牢に入れられた。島抜けがバレたら死罪になる。今度は4人で牢抜けをした。みんな一目散にに逃げたがやがて種子島から島抜けした罪人だということが知れ、各地に手配書が配布された。瑞龍は大きな街を避け農家などに泊まり歩いていたが、あるところで岡っ引きに目を付けられ御用となった。 お白州では包み隠さす素直に白状したという。そして斬首された。 吉村昭の作品は、これまでに「漂流」「破船」など、漂流ものを読んでいる。今回の「島抜け」も一種の漂流である。次々に襲ってくる困難はスリルとサスペンスそのものである。読み出すとそのスリルにハマって行き、途中で止めてはいけないような気分になる。まるで推理小説のようだ。 「島抜け」の他に「欠けた椀」と「梅の刺青」の併せて3作品が収録されている。 「欠けた椀」は昔の飢饉の時の百姓たちの凄惨な生活ぶりを描いたもので、あまりに暗い物語だ。 「梅の刺青」は江戸時代末期から明治維新後の掛けて、わが国の医学の発展に欠かせなかった人体解剖の歴史をドキュメンタリー・タッチで描いている。実際に目前に見ているようなリアルさがあって引き込まれる。短編だが一本の映画に出来そうなストーリーだと思った。
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