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島抜け の商品レビュー

3.7

16件のお客様レビュー

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2014/08/23

【本の内容】 読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流された大坂の講釈師瑞龍。 島での余生に絶望した瑞龍は、流人仲間と脱島を決行する。 丸木舟で大海を漂流すること十五日、瑞龍ら四人が流れついた先は何と中国だった。 破船した漂流民と身分を偽り、四人は長崎に送り返される。 苦...

【本の内容】 読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流された大坂の講釈師瑞龍。 島での余生に絶望した瑞龍は、流人仲間と脱島を決行する。 丸木舟で大海を漂流すること十五日、瑞龍ら四人が流れついた先は何と中国だった。 破船した漂流民と身分を偽り、四人は長崎に送り返される。 苦難の果て、島抜けは見事に成功したかに思えたが…。 表題中篇をはじめ、「欠けた椀」「梅の刺青」の三篇を収録。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2012/11/03

「島抜け」少し時期がずれていたら遠島という重罪にならなかったのに。人間の運命を感じさせられる。12.11.3

Posted byブクログ

2011/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いやあ。面白かった。 思えば初めて,江戸以前の歴史ものを読んだかも。 種子島に流された罪人たちが島抜けを試みる「島抜け」,大飢饉の中で妻を失うまでを書いた「欠けた椀」,日本の解剖学のおこりについて書かれた「梅の刺青」。表題作「島抜け」は中篇程度で,あとの二つは短編です。 いずれもとても興味深く,面白い物語でした。 「島抜け」では,日本の懲罰制度について知ることができました。島流しとはよく聞きましたが,主人公瑞龍が島流しに遭った種子島のある村では,比較的自由が許されてただ「穏やかに暮らす」ことが望まれていたというのが意外でした。でも,妻子とも会えず,ただ静かに老いを迎えるというのは,確かに生きているとは言えないのかもしれないな,とも。 死刑も過酷な懲罰ではありますが,島流しは本当にただ息をして働き食べ物をたべ排泄して寝るという日々を繰り返して死を迎える・・・過酷な懲罰だなと思います。 しかも瑞龍は,本来ならば罰金や厳重注意のような,軽い罪で済んだはずが,時世のために島流しになったと言う・・・。なんというか時代の流れに巻き込まれて気の毒だなと。 江戸時代のことはあまり詳しくないのですが,結構取り締まり制度なんかしっかりしていたのだなと感心しました。情報伝達手段が限られており,今のように指名手配のビラを配ることも,警察同士が一瞬で情報を伝えることもできない時代なのに,瑞龍たち破獄者を捕まえてしまうので・・・。 結構,最初は瑞龍に対して同情的で,気の毒だなあと思いながら読んでいたのですが,最後に掴まって斬首されるときは,十分島抜けして大変な生活を送ったので,もう諦めるしかないと思いました。 「欠けた椀」は飢饉の話で,飽食の時代に生まれた私としては,俄には信じ難い内容・・・。この当時生きていた人間誰しもが,飢饉の度にこういう苦しみを味わわなければいけないというのが信じられません。 そんな中で,誰かが無くなれば「口減らし」となり喜んだり,嫁が実家に負い戻されたり,人食が引き起こされたり・・・ この物語時代はフィクションだそうですが,実際にこういう事があったと思います。 今だったら,たとえ国内で米が不作だとしても,海外から米を輸入したり,米に変わる食べ物はいくらでもあり死に至るほどではありません。と言うか,ハウスで管理されていたり,品種改良で強いお米が作られていたりするので,まず米をまったく口に出来ないという状況が殆んどないでしょうね。 餓死・・・・。現代でたまに餓死事件が起こったりすると,現代に餓死が!と驚いてしまいます。しかし大体それは独居老人だったり,なんらかの事情で働けない人だったり,虐待を受けている子どもだったりと,特別な事情の人のことが多いですが。 この時代は誰しもが餓死する危険性を孕んでいたと思うと・・・うーん,現代は本当に豊かになったなあと。 最後の「梅の刺青」は,解剖の起源のようなことが書かれています。私がこの中で驚いたのが,遊女は死ぬと投込寺の穴に遺棄されるということ・・・・。 やっぱり日本人としては,死んだ後,自分の意識はないとはいえ遺体が放置されたり,動物に食い荒らされたりしたくないという気持ちを持ってますよねー。 こちらは淡々と解剖の歴史が書いてあり,小説というより記録文学といった感じです。誰かが中心となってストーリーを動かすわけではないんですが,吉村昭さんの独特の語り口調で,惹きこまれます。 吉村さんの初期作品の少女架刑とか透明標本とか思い出しました。 それにしても吉村さんの小説は綿密な調査をして書かれているので,安心して読めますねー。面白かった。 江戸以前の歴史ものは興味なかったのですが,これを読んで興味を持ちました。

Posted byブクログ

2011/09/27

江戸時代、罪人として種子島に流された講釈師の脱獄生活を描いた小説。仲間と小舟で種子島を脱したものの、たどり着いたのは中国。言葉が通じない国で巧みに話をつけて長崎行きの船に乗せてもらう。 逃亡生活に講釈師の能力がフルに活かされる。人間の才能は意外なところで発揮できるものなんだな。...

江戸時代、罪人として種子島に流された講釈師の脱獄生活を描いた小説。仲間と小舟で種子島を脱したものの、たどり着いたのは中国。言葉が通じない国で巧みに話をつけて長崎行きの船に乗せてもらう。 逃亡生活に講釈師の能力がフルに活かされる。人間の才能は意外なところで発揮できるものなんだな。こんな信じられないような実話を見つけ出す著者の調査に感動。 「がんばれ、講釈師」と、応援したくなる。

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2009/10/04

吉村昭「島抜け」読了。大阪の講談師が豊臣方の視点で大阪夏の陣冬の陣を講談にかけた罪で遠島罪になり種子島へ流され、そこから3人の仲間と島抜けし、唐を経由して帰還する話。その他飢饉に苦しむ夫婦を描いた「欠けた椀」、明治以降医学解剖が定着して行く迄を描いた「梅の刺青」。読後物悲しい3話

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2009/10/04

島流し、脱島、漂流、と波乱の人生を送った多くの人々がいたという江戸時代ならではの歴史の一部を垣間見た。 日本における初期解剖の話も興味深い。

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