都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト の商品レビュー
渋澤先生晩年の散文集…
渋澤先生晩年の散文集。食道癌の手術をして声を失った後も精力的に書き綴った文章は、ファン必読です。
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私が読んだのは46判よりやや大きめの単行本であって、翠と紫に近い青の色づかいの装丁が内容にすごくマッチしており、やはり美意識の高い作家の本は可能であれば単行本で読んだほうがいいように思う。 さて。 漠然と「若い作家だ」と思っていたが(著者近影のせいだろう)、三島や埴谷とも交流があ...
私が読んだのは46判よりやや大きめの単行本であって、翠と紫に近い青の色づかいの装丁が内容にすごくマッチしており、やはり美意識の高い作家の本は可能であれば単行本で読んだほうがいいように思う。 さて。 漠然と「若い作家だ」と思っていたが(著者近影のせいだろう)、三島や埴谷とも交流があったのだからけっこうなお年だったのである(1928年:昭和3年生まれ)。59歳逝去はやはり早い。 その著者の最期のエッセイ集は、各テーマが短くて大変読みやすい。 最近、人間の圧というか密度というか気骨というか、知識と感性に裏打ちされた美学というか、そういったものの薄い作家が多い気がする。
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後半に従い「思い出」や「追悼」の文字が増えていく、さっぱりしているようで荘重な趣の感じられる本作は、澁澤龍彦最後の未収録エッセー集になります。全集22巻の解題によれば、本書は澁澤さん自身の手によって取捨や配列のされていない「異質の印象」があるエッセー集となっていますが、貴重で資料...
後半に従い「思い出」や「追悼」の文字が増えていく、さっぱりしているようで荘重な趣の感じられる本作は、澁澤龍彦最後の未収録エッセー集になります。全集22巻の解題によれば、本書は澁澤さん自身の手によって取捨や配列のされていない「異質の印象」があるエッセー集となっていますが、貴重で資料的な価値も大きいとのこと。個人的な感想は前述したとおり「さっぱりしているようで荘重な趣」に尽きます。どこか禍々しく絢爛なペダントリー、鎌倉での生活や少年時代の回想、友人たちとの朗らかな酒飲み話のことまで、全てが澁澤龍彦らしさなのです。エッセーの極地ここにあり。そんなわけで、本書のひとつひとつのエッセーには、感慨深いものがありました。
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澁澤龍彦最後のエッセイ集。 「若い頃は〇〇だったが・・・」とか「今更△△を書く気にはならないが・・・」という、晩年の達観した心情が垣間見えて面白い。 もっとも本人はこの後も執筆を続けるつもりだったわけで、夫人によるあとがきが何とも悲しく感じられた。
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病没した著者最後のエッセイ集ということで、 ずっと怖くて手を出せなかったので、 やっと初めて読みました。 でも、いかにも澁澤節全開で、 辛辣かつユーモラスで面白かったです。 しかし……夫人によるあとがきを読んだら 泣いてしまった(ノдT)。
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古本屋で見つけた澁澤晩年の(と言っても若いが)著述集。いい意味で肩の力が抜けてて、澁澤の人柄が感じられる爽やかな本だ。
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高丘親王航海記を読んだことのある方なら、都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト を読んでいただければ、 病室のベットで喉にチューヴを挿入されつつ書き上げた高丘親王航海記の凄さと行間に染み入る切なさが、あらためて伝わってきます。
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死ぬ間際に書いていたエッセー集なので、帯に書いてあったとおり、何か死の予感を感じる内容。さらに、挙げる文人たちは既にほとんどが鬼籍に入っている。「一番若い」といわれた種村も既に、04年の半ばに逝ってしまった。何か寂しさを全体的に感じた本。澁澤龍彦の書いた追悼文の最後に、夫人が澁澤...
死ぬ間際に書いていたエッセー集なので、帯に書いてあったとおり、何か死の予感を感じる内容。さらに、挙げる文人たちは既にほとんどが鬼籍に入っている。「一番若い」といわれた種村も既に、04年の半ばに逝ってしまった。何か寂しさを全体的に感じた本。澁澤龍彦の書いた追悼文の最後に、夫人が澁澤龍彦に当てた追悼文があり、これが本当の最後という感じがした。
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私は澁澤センセの作品が好きです。でも、この本はまだ読んでまへん。確か、センセ最後のエッセイだったはず。読まねばw
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