ぷちナショナリズム症候群 の商品レビュー
ワールドカップにおけ…
ワールドカップにおける「ニッポン!」の大応援を主軸に「ぷちナショナリズム」を検証。反射的であり、デジタルな論考には役立たない点が多いが、サッカーワールドカップに関連した国際的事件などを見る限り、ワールドカップで誘発されるナショナリズムは看過できないものがある。その点では鋭い着眼だ...
ワールドカップにおける「ニッポン!」の大応援を主軸に「ぷちナショナリズム」を検証。反射的であり、デジタルな論考には役立たない点が多いが、サッカーワールドカップに関連した国際的事件などを見る限り、ワールドカップで誘発されるナショナリズムは看過できないものがある。その点では鋭い着眼だと言える。
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ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義 サッカーワールドカップの応援で日の丸を振る若い人。→ ナショナリズムの前触れ。 親に対して全くコンプレックスを持たずにそれを前提として社会的な地位を獲得する若い人。→ 階層化社会の前触れ。 こういった形で、一部の現象を捉えてそれを元に結論する際の論理の飛躍が目立っちゃいます、リカさん。 もう少し、丁寧に話を運んで欲しかったです。リカさんは切り口がオモシロイ話が結構あるので、同じ年ということもあり、頑張って欲しいです。 伊坂幸太郎の「魔王」は、作家本人はこの小説はナショナリズムを描いたものではないと話していますが、結構ナショナリズムへ社会が傾いていく様子を良く表現していると思います。「魔王」の中で、群衆に処刑されて愛人と広場に逆さにつるされたムッソリーニの話が出てきますが、そんな群衆の中で、愛人のスカートがめくれないようにしてあげていた人の話がのっています。 人は苦しい時には、人のせいにしたがるもので、社会がナショナリズムに傾倒していくことが避けられない場面もあると思いますが、そんな中で前述の人のように自分が思うことを臆せずにできるようになりたいなあと竹蔵は思うのでした。 竹蔵
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卒論の参考文献として読んだ。 スポーツとナショナリズムの関連性が書かれていて、多くの発見があった。 特に、ナショナルチームを応援することで発生するナショナリズムについての記述が興味深かった。 ナショナリズムとスポーツの関係性について書かれている他の文献も読んでいきたい。
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・2002年日韓合同W杯のマスコミの取り上げ方、サポーターの浮かれる様子、この時だけ日の丸を掲げ、アイドルが君が代を独唱するといった現象を香山氏が分析。そもそも国民全員が興味があるわけではなく、マスコミの報道偏重に問題があるはずだが、論点が日本人の一般論とされており、ずれている感...
・2002年日韓合同W杯のマスコミの取り上げ方、サポーターの浮かれる様子、この時だけ日の丸を掲げ、アイドルが君が代を独唱するといった現象を香山氏が分析。そもそも国民全員が興味があるわけではなく、マスコミの報道偏重に問題があるはずだが、論点が日本人の一般論とされており、ずれている感が否めない。症候群というタイトルも大袈裟。
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サッカーのワールド・カップに熱狂する若者たちの心理の考察からはじまり、無邪気なナショナリズムが蔓延することへの危機感が表明されています。 「分裂」(スプリッティング)や「解離」(ディソシエイション)という心理的なメカニズムをもつ人びとが増えたために、目の前の現実を歴史という大き...
サッカーのワールド・カップに熱狂する若者たちの心理の考察からはじまり、無邪気なナショナリズムが蔓延することへの危機感が表明されています。 「分裂」(スプリッティング)や「解離」(ディソシエイション)という心理的なメカニズムをもつ人びとが増えたために、目の前の現実を歴史という大きな流れのなかで考えたり、反省や懐疑の念を抱いたりすることなく、ことばにならないエネルギーをもてあまして爆発させる機会を求めているのではないかと著者は主張します。ワールド・カップでの「ニッポン」への熱狂は、こうした心理現象としてとらえられています。 おそらく、ここまでは純粋に現代の若者の心理についての考察にすぎず、とり立てて政治的なナショナリズムとの関係を論じるべき筋のものではないのだろう、と思います。ただ、こうした心理的メカニズムを持つ人びとが社会の多数を占めるようになったとき、彼らの無邪気な気性が政治的なナショナリズムに雪崩打つ可能性があるというのが、おそらく著者の危惧の根幹にあるのではないかという気がしています。 ワールド・カップでの「ニッポン」への肩入れに関して、主義主張のない流動的な「日本的カッコよさ」を特徴とする「超民族性」を積極的に評価する山崎正和の主張が紹介されていましたが、サブカルチャーがナショナリズムを飲み込んだのか、サブカルチャーがナショナリズムに飲み込まれてしまったのか、見分けがつかなくなっていることのほうが、むしろ重要な問題なのではないかと個人的には考えます。「愛国ごっこ」「民族主義のパロディ」が、「無邪気な愛郷心」「ぷちナショナリズム」に連続的につながってしまっている心理的なメカニズムこそが解明されるべきなのでしょうが、著者の議論はそこにまで及んでおらず、不満を感じてしまいました。
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ネトウヨの別名のような印象だった「ぷちナショナリズム」という言葉。最近は2000年代とはまた状況が変わってきているように感じる。北朝鮮や中国、韓国との関係は更に冷え込み、全体的に右寄りになっているようだ。無害なぷちナショナリズムからヘイトスピーチなど攻撃的で排外主義が台頭してきている。これは日本だけでなくアメリカやヨーロッパなど世界的な潮流でもある。理想を掲げるだけではだめだが、安易に問題の原因を移民や難民に押し付ける姿勢には共感できない。
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香山さんのいうような未来にはなってない気がする。。。 いいんじゃないかなぁ。たまに、結束できることであれば。←
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イデオロギーの時代が終わった2000年代の日本の若者のナショナリズムについて、以前のそれと全く違った傾向があることをしてきた本。著者の香山氏は精神医学者だけあって見地が広い。「ぷちナショナリズム」という言葉の原義をたどる目的で読んだ。
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香山リカは初読。タイトルも論調も軽そうに見えるのだが、極めて今日的でありつつ、論客としての責任を強く自覚した評論である。今はまだ日本におけるナショナリズムは「ぷち」てあるかも知れないが、近い将来それはフランスのペロン支持層以上に極端なものになりうるのではないか、というのが著者の危...
香山リカは初読。タイトルも論調も軽そうに見えるのだが、極めて今日的でありつつ、論客としての責任を強く自覚した評論である。今はまだ日本におけるナショナリズムは「ぷち」てあるかも知れないが、近い将来それはフランスのペロン支持層以上に極端なものになりうるのではないか、というのが著者の危惧である。階層社会の固定化と、その肯定は彼女の予見する未来像を否定するものであることを著者とともに切に願う。
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ぷちナショナリズム症候群について知りたくて読書。 著者の本は基本的に好きであるが、本書はややモヤモヤ感が残る。なぜか、自分の経験と著者の論調が乖離していると感じるからだ。 2002年の日韓ワールドカップのどんちゃん騒ぎを見て、異常さを感じたのは同じであるが、そこにナショナリズ...
ぷちナショナリズム症候群について知りたくて読書。 著者の本は基本的に好きであるが、本書はややモヤモヤ感が残る。なぜか、自分の経験と著者の論調が乖離していると感じるからだ。 2002年の日韓ワールドカップのどんちゃん騒ぎを見て、異常さを感じたのは同じであるが、そこにナショナリズムがあるとはあまり感じない。 日本は戦後、ナショナリズム否定し、国家意識アレルギーとも言うべき時代が続いてきた。日教組が国旗や国歌を否定し、小学生へすりこむようにして日本の国自体を否定する教育してきた影響も強いと思う。2002年、いやその前の1998年のワールドカップのあたりから、著者が紹介する現象は起こり始めてきたのだと思う。今まで否定、抑圧していた反動のように。 確かに行き過ぎたナショナリズムは怖い。隣の国を見れば、いい反面教師となる。反日政策や韓国の歴史、成り立ちに疑問を呈することも許されない社会は異常だ。言論や表現の自由すらない。実質的には、北朝鮮と同じ、全体主義国家。 日本はそんなぶっ飛んだ状況ではないと思う。国外に住んでいると、日本に住んでいた時よりも日本という国家を意識するようになる。そして、外から日本を考える。日本は好き、そして、外国も好き。それが本来の日本的な考え方なのではないかと最近、考える。 日本だけが特殊な国なんて考えている人に私は会ったことないし、周りにもいない・・・。単に歴史を知らない、本を読んでいないだけな無知な人はいるが、それとは著者の述べるぷちナショナリズム症候群は異なると思う。 日韓ワールドカップや荒れる成人式、イベントでの若者の暴走は、社会自体の閉塞感から生まれるぼんやりとした不安、将来への不安などのも影響しているのではないか。単に自分で考えることができないような思考停止状態なのではないかと感想を持つ。 本書はロサンゼルスのブックオフで購入しています。 読書時間:約35分
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