クロスファイア(上) の商品レビュー
今年も多数巻を平行に読むのを始めようかと。手始めに軽そうなのから着手。「鳩笛草」に入っていた短編のうち、感情によって火を放つことができる女性の話を広げた作品。 世の中の許せない犯罪者を、自らの手で処刑するという事件を起こして、東京の片隅に身を隠す女性青木淳子。その「火を放つ」能...
今年も多数巻を平行に読むのを始めようかと。手始めに軽そうなのから着手。「鳩笛草」に入っていた短編のうち、感情によって火を放つことができる女性の話を広げた作品。 世の中の許せない犯罪者を、自らの手で処刑するという事件を起こして、東京の片隅に身を隠す女性青木淳子。その「火を放つ」能力を鎮めるため、放出しに行った先の廃工場で、殺人事件に巻き込まれる。取り逃がした「アサバ」という少年を追うが…。 なんというか「鳩笛草」を読んでいない人にとっては、相当無理やりなストーリーで、一応作者によるあらすじにも書かれてはいるものの、導入がもう少し必要だったんじゃないか。 でまあ、青木さんは最初からどんどん人を燃やします。偽名もろくに使わず、会う人会う人燃やしていくので、本文内でも「燃やし過ぎじゃないの」というツッコミどおり、やりすぎ。そうしないと、自分の存在がバレてしまうという前提なのだろうが、なんか違う感があり。 で、もう一つの視点の捜査をする方の人たちも、わかり易すぎるほどわかりやすく、薄々わかっているけど気づかないふり、みたいな作者目線からの嘘くささが出てしまっているのが残念。 それに加えて、いつも書いているあれ。調べたことをそのまま写すだけの文字数稼ぎが随所に現れており、最初は「最近の若者はわからん」その後は「放火のパターン」て、あんまりストーリーと関係なくない? まあね、カッパノベルスからの光文社文庫、元も宝石に掲載なので、駅で買って消化できる系の小説でしかないと思って作者も書いてるんだと思うんですけどね。 後半に期待(ということに)。
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中学時代は宮部みゆきシリーズを読みあさっていました。 ミステリーも読み尽くしましたが、特殊能力系はやっぱり特に好きなんですよね。 龍は囁く、とか・・・ 特殊能力を持った女性の、復讐劇。 上下巻ですが、一気に読み切れます。
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【あらすじ】 四人の若者が廃工場に瀕死の男を運び込んできた。その男を“始末”するために。 目撃した青木淳子は、力――念力放火能力(パイロキネシス)を放ち、三人の若者を炎上させる。 しかし、残る一人の若者は逃走。淳子は、息絶えた男に誓う。 「必ず、仇はとってあげるからね。」一方、現場を訪れた石津ちか子刑事は、不可解な焼殺の手口から、ある事件を思い出していた! 話題の超傑作、ついに登場! 【感想】
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超能力ものって正直興味ないし、序盤からばんばん殺し過ぎだし、ぶっ飛んでるなーなんて思ってたけど、なんか面白くなってきた。ある意味怪物だった青木淳子(なんて平凡な名前!)に迷いや葛藤が生じ始める。
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再読。そういえば宮部みゆきが久しぶりかも。 パイロキネシスを持った主人公。超能力って何でもそうだけど、やっぱり生きてく上で必要のないものなんだろうな。特殊能力を持った人は大変。特にこの主人公はまだコントロールができてないのか、怒りで頭に血が上ると対象物を燃やしてしまう。それが許しがたい犯罪者であっても、淳子のしていることは正しいのかな。ちょっと人が死に過ぎて怖い気も。ただ、こんな能力を持って生まれれてしまった淳子の切なさも感じられ、辛い。 下巻へー
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念じるだけで火をつけることができる「念力発火能力(パイロキネシス)」を持った女性の物語。 「超能力を持った女性」の物語を3編まとめた「鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで」の中の「燔祭」の続きになります。 宮部みゆきには超能力を主題、または道具に使ったお話が結構たくさんあります。...
念じるだけで火をつけることができる「念力発火能力(パイロキネシス)」を持った女性の物語。 「超能力を持った女性」の物語を3編まとめた「鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで」の中の「燔祭」の続きになります。 宮部みゆきには超能力を主題、または道具に使ったお話が結構たくさんあります。「蒲生邸事件」で日本SF大賞を受賞しているのは、ファンであればご存知でしょう。 数ある「超能力」の中で、いかにも戦闘向きの能力を、25歳の女性主人公である青木淳子に持たせた時点で、今で言う「厨二病」的展開と、それを宮部みゆきが書いている時点でラストのカタストロフィとが予想されてしまうわけですが、この巻では「厨二病」的戦闘が外連味たっぷりに描写されます。 自らを「装填された銃」として若い女性らしさのかけらもない生活を送り、悪とみなしたものは容赦なく排除していく…ある意味痛快な戦闘ですが、その最中に、青木淳子は自分がただ殺したいから力をふるっているのではないかという恐れを抱きます。 「パイロキネシス」の存在を信じて彼女を追う牧原刑事、そしてもう一人の「パイロキネシス」持つ少女倉田かおりがストーリーに絡みだして下巻に続きます。 ファンとしては宮部みゆきの真っ向勝負の超能力ものを堪能できて嬉しい限りですが、できれば「燔祭」を先に読みたかったと思います。「燔祭」を含めた形で本にすることはできなかったのでしょうか。 あとは、牧原に青木淳子を捕まえさせてやりたいなあ。牧原も青木淳子もそれぞれがトラウマを解消して、青木淳子は罪を償って、結婚して旦那さんの煙草にパイロキネシスで火をつけてやるエピローグで大団円…なんて展開はまずありえないでしょうけれど、でもたまには宮部みゆきのそんな甘っちょろいハッピーエンドも見てみたいとちょっとだけ思いつつ、下巻を開くことにします。
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宮部みゆきさんの小説は結構読んだけど、久しぶりに昔の作品を読む。いや~面白すぎる。この人は犯罪精神学者かと思わせる心理描写とストーリー展開もスリルがあって読むことを止められない。中毒になってしまう。 上巻では青木淳子が犯罪に手を染めていく中、石津ちか子と牧原が徐々にだが真相に近...
宮部みゆきさんの小説は結構読んだけど、久しぶりに昔の作品を読む。いや~面白すぎる。この人は犯罪精神学者かと思わせる心理描写とストーリー展開もスリルがあって読むことを止められない。中毒になってしまう。 上巻では青木淳子が犯罪に手を染めていく中、石津ちか子と牧原が徐々にだが真相に近づいていく。そんな中ガーディアンという組織が新たに登場してくる。
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出だしから何の話やら?と思ってたら、主人公がどんどん人を殺していく・・・ 自分の信念に従って、悪者に限定して、、、なんだけど、どうも殺しの割合が多く、なんだか心臓に悪かったですw 主人公は火炎放射器のように火を自在に操ることができる超能力者。 両親には愛されたけれど、小さい時か...
出だしから何の話やら?と思ってたら、主人公がどんどん人を殺していく・・・ 自分の信念に従って、悪者に限定して、、、なんだけど、どうも殺しの割合が多く、なんだか心臓に悪かったですw 主人公は火炎放射器のように火を自在に操ることができる超能力者。 両親には愛されたけれど、小さい時から一定の友達もなく、常に孤独だった。 そんな主人公の切ないお話。
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『鳩笛草』収録の「燔祭」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4334071538の後日譚あるいは発展形。 読んでなくても大丈夫だけど読んでおいたほうが面白い。 上下あわせて再読。 次は『R.P.G.』http://bo...
『鳩笛草』収録の「燔祭」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4334071538の後日譚あるいは発展形。 読んでなくても大丈夫だけど読んでおいたほうが面白い。 上下あわせて再読。 次は『R.P.G.』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/408747349X 主人公は念力発火能力の持ち主。 この恐ろしい力を正しく使わなければいけないと心得て、法の手から逃れた極悪人を処刑する。 という筋が見える前から主人公が殺る気満々でちょっと怖い。 でも燔祭を先に読むと納得がいく。燔祭を読んでいなくても先に進めば理解できる。 人がばんばん死ぬ。罪のない人ほどむごく死ぬ。 主人公は危うくてピュアで不器用で悲しい。 だからサブ主人公のちか子のまっとうさに苛つき、ほっとする。 先行きに「これしかないのか?」と「これしかないよな」の両方を感じた。 この人にはこれしかないけれど、こういう人にこれしかないわけじゃないと、未来に希望を残してあるのが救い。 元の出版が1998年だけに、古さが新鮮。 パソコンや携帯が普及する過渡期だったんだなあ。 気になるところがちらほらある。 「三階分の吹き抜け」や「父母の死に方」がかぶっている。(ちょっと気になる) 「神戸で単身赴任」の夫が「お湯も沸かせない」し普通に帰宅している。(結構気になる) 「20年前に小学2年生」と「現在25歳」が「同じくらいの年齢」。(すごく気になる) 二十代半ばなら「ほぼ同年齢」だけど、5歳と2年生は同じくらいには見えない。長身の5歳でも「小柄な2年生」には見えないと思う。 などは比較的どうでもいい部分。 気持ちの上で気になるのは ステレオタイプな「女の子の幸せ」「シンデレラストーリー」的なものが陳腐に感じられること。あえての陳腐な気もするが残念。 それと、被害者遺族に復讐を望ませる圧力に通じてしまいそうな「当たり前」を危うく感じる。 復讐を望まないのは故人への冒涜ではないし、悼む気持ちがないからでもないのだと、肯定をいれて欲しかった。
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再読。結末を知っていて読むには、気が重すぎる。警察が捕えることのできない犯罪者を野放しにできないという正義感と、自分がコントロールできると思っていた力が暴走し始めることに対する戸惑いの間で揺れる主人公の心の動きが切ない。結末を知っているからなお切ない。そして下巻へ。
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