虫眼とアニ眼 の商品レビュー
(2004.02.05読了)(2003.12.22購入) この本には、二人の3回に亘る対談が掲載されている。1997年、1998年、2001年のもの。前2回は、『もののけ姫』について、最後の回は、『千と千尋の神隠し』について、主な話題になっている。 本を開くと最初の22ページは、...
(2004.02.05読了)(2003.12.22購入) この本には、二人の3回に亘る対談が掲載されている。1997年、1998年、2001年のもの。前2回は、『もののけ姫』について、最後の回は、『千と千尋の神隠し』について、主な話題になっている。 本を開くと最初の22ページは、宮崎サンの絵による論文?が掲載されている。宮崎さんは、文章で考えるのではなくきっといつも具体的なイメージを基に物事を考える習性があるのだろう。 その中に、「若い人たちが恐ろしく優しくて傷つきやすく恐ろしく不器用で愚図でいい子なのだ。」という文章がある。そうなのだ、引きこもりもそのために起こっているような気もする。 養老さんの部屋には、メイがトトロを発見してジーッと見ているシーンのが貼ってあるそうです。解剖をやる人はこういう目つきでなきゃだめということを学生に教えるためだそうです。得体の知れないものに出会ったとき気味の悪いものでもジーッと見ているのがいいのだそうです。 養老さんの「もののけ姫」はタイトルと中身があっていないという指摘に対して、宮崎さんは、「当初考えていたのは、もののけにとり憑かれた父親を娘が殺す話です。」と答えています。だから途中で題名を変えようという提案をしたのだけど、「となりのトトロ」も「魔女の宅急便」も宮崎作品はいつも「の」がついているし、「もののけ姫」は2つも「の」がついているから変えないほうがいいとか言われてあきらめたとか。 宮崎さんのところに、親から「うちの子供はトトロが大好きでもう100回ぐらい見ています」なんていう手紙が来ると、誕生日に1回見せるだけでいいのに、ヤバイと思うそうです。1回だけ見てどんぐりを拾いに行くというのがいいので、何回も見たらどんぐりを拾いに行かない。これでは困るというわけです。ビデオの箱に、「見るのは年1回にしてください」と書いて売りたいそうです。 文部省が個性尊重を言っているけど、個性を作るには「ゆとり」が必要なのでは、ということで、自然の中でぼんやりのんびりする時間がたっぷり必要だと思うのですが、・・・。 養老さんの文章の中に、『千と千尋の神隠し』が何故多くの観客をひきつけたのか論じてくれといわれたけど、言葉で表現できないものを表現するのが芸術なのだから、その芸術作品を分析解説しろといわれても、・・・。というニュアンスのことが書いてあった。ごもっともである・・・。 ●関連図書 「唯脳論」養老 孟司、青土社、1989.09.25 「解剖学教室へようこそ」養老 孟司、筑摩書房、1993.06.25 「考えるヒト」養老 孟司、筑摩書房、1996.07.10 「解剖学個人授業」養老 孟司・南 伸坊、新潮文庫、2001.04.01 「バカの壁」養老 孟司、新潮新書、2003.04.10 「シュナの旅」宮崎駿、徳間書店、1983 「風の谷のナウシカ」全7巻、宮崎駿、徳間書店、1986.08.15-1995.01.15 養老孟司[ヨウロウタケシ] 1937年 神奈川県鎌倉市生まれ。 1967年 東京大学大学院博士課程修了。 1981年 東京大学医学部教授。解剖学者。 1989年 『からだの見方』でサントリー芸術大賞受賞。 1995年 東京大学を退官 宮崎駿[ミヤザキハヤオ] 1941年 東京都生まれ。 1963年 学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画へ入社。 1985年 スタジオジブリ設立に参加。 『風の谷のナウシカ』(1984)を演出・監督。その後ジブリで『天空の城ラピュタ』(1986)『となりのトトロ』(1988)『魔女の宅急便』(1989)『紅の豚』(1992)『もののけ姫』(1997)『千と千尋の神隠し』(2001)を監督 (「MARC」データベースより)amazon 虫好きの解剖学者とアニメーション映画監督がざっくばらんに語り合う「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」のこと、自然と人間のこと、そして子供たちのこと。書き下ろし原稿、描き下ろしカラー読み物も収録!
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土の上での生活から離れていく現代の子供たちとその親へ、または社会へ警鐘を鳴らす本。大人が手と口を出さなければ子供はすぐに元気になる。と本書で語っている。解剖学の養老孟司とアニメの巨匠宮崎駿とが、対談という形で理想の社会や身近な地域のあるべき姿を追求していく。一見、接点が無さそうな...
土の上での生活から離れていく現代の子供たちとその親へ、または社会へ警鐘を鳴らす本。大人が手と口を出さなければ子供はすぐに元気になる。と本書で語っている。解剖学の養老孟司とアニメの巨匠宮崎駿とが、対談という形で理想の社会や身近な地域のあるべき姿を追求していく。一見、接点が無さそうなこの2人の巨匠がそれぞれの現場で、頭をかかえる問題を紐解いていくとそこには共通した問題点が浮かび上がる。土から離れた子供たちが既に成人し、同じ現場で働いている事にハッとするのでる。冒頭で見せる数ページに及ぶカラーイラストはどこか懐かしい昭和の町並みを、かつて子供だった宮崎駿が「友達」と呼ぶ現代の子供たちの為に取り戻そうと描いた理想の町なのだ。
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