“民主"と“愛国" の商品レビュー
丸山真男、竹内好、加藤周一、江藤淳…。「戦後」日本の代表的な知識人の言説のありようを辿ることができます。読後、壮大なストーリーを踏破したような充実感を覚えます。
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厚さ5cm、966ページ。この量は伊達ではない。小熊英二という人にとって、戦後日本を描出するにはこれだけの量を必要としたということだ。丸山真男、鶴見俊輔などさまざまな知識人の作品とライフヒストリーを描くことで、戦後日本のナショナリズムを描き出そうという試み。それはかなりのところで...
厚さ5cm、966ページ。この量は伊達ではない。小熊英二という人にとって、戦後日本を描出するにはこれだけの量を必要としたということだ。丸山真男、鶴見俊輔などさまざまな知識人の作品とライフヒストリーを描くことで、戦後日本のナショナリズムを描き出そうという試み。それはかなりのところで成功していると思う。〈愛国〉は右翼だけのものではないし、〈民主〉は左翼だけのものでもない。第二次世界大戦というとてつもなく巨大な悪夢を経験したことで、さまざまな様相を見せる日本のナショナリズム。この本を読むと、「左翼/右翼」という対立が、「日本国憲法/天皇制/アメリカ」という三位一体から生み出された虚偽意識、馴化され鈍化した人びとのナショナリズムではないかと感じてしまう。一度は目を通してみるべし。
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「言葉と物」現代版。現在自明のこととしているものが如何に歴史的なものかが実感できる大作。これを読まずして、誰も戦後を語ることなどできるわけがない。手にしたときに感じる重みはただ、物理的なものだけではない。
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