緑の資本論 の商品レビュー
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非対称の世界。 11.9と9.11 ベルリンの壁崩壊と同時多発テロ 西の勝利と東の報復 キリスト教とイスラム教 画一大量生産と多様性 同時多発テロが何を意味するのか。 イスラムの立場からはどう世界が見えているのか。 日本に住む私たちは、圧倒的にアメリカ的だ。 アメリカの意向に国が左右されているし、 アメリカを模倣してきた。 アメリカの色眼鏡をかけて、イスラム教を覗くと、 そこは危ない所だ。 しかし、本当にそうだろうか。 そういう疑問の色眼鏡を、本書は与えてくれる。
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9.11の直後に書いたと言うことから10年以上前に書かれた文なのに 今、むしろ近未来について示唆にとんだ内容だった。 ⚫️圧倒的な非対称 経済が作る非対称性が、宮沢賢治で言う動物と人間との関係とか、意外な角度から納得させられる。 もののけ姫の解説って言ってもいいかも。
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九月十一日のあの夜、砂の城のように崩れ落ちていく高層タワービルの映像を見ているとき、そこに同時、透明で巨大な鏡が立ち上がるのを、たしかに見たのだった。その鏡な無慈悲なほどの正確さで、私たちの生きている世界の姿を映し出していた。なんの歪みもなく、なんの曇りもなく、なんの希望も、そし...
九月十一日のあの夜、砂の城のように崩れ落ちていく高層タワービルの映像を見ているとき、そこに同時、透明で巨大な鏡が立ち上がるのを、たしかに見たのだった。その鏡な無慈悲なほどの正確さで、私たちの生きている世界の姿を映し出していた。なんの歪みもなく、なんの曇りもなく、なんの希望も、そしてなんの絶望もなく、鏡は静かに、幻想の雲でできた世界の姿を、くっきりと浮かび上がらせてみせた。
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中沢新一がオウム事件に深く関与してしまったことの、言い訳がウダウダと述べられてて憐れみを誘う。 イスラム社会の経済に関する文章は興味深かった。この本を読むまで、ぜんぜん知らなかったから。
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大事なことを言っているのはわかるが、わかりにくい。 池田信夫氏がみそくそに言っているのも、経済学者にわかる言葉でわかりやすくかたっていないからだと思う。 (1)人間と動物の関係が、縄文時代までは対称的(力が同じくらい)だったが、それ以降圧倒的に人間が強くなり、非対称になっ...
大事なことを言っているのはわかるが、わかりにくい。 池田信夫氏がみそくそに言っているのも、経済学者にわかる言葉でわかりやすくかたっていないからだと思う。 (1)人間と動物の関係が、縄文時代までは対称的(力が同じくらい)だったが、それ以降圧倒的に人間が強くなり、非対称になっている。しかし、この非対称について、ゆるしをこう意識が大事である。(p26) 中沢さんは、宮沢賢治を引用してこれを語っているが、それ自体、動物を殺す場面を忘れ去って、デパートできれいに精肉が並んでいること自体だけを意識してはいけないというのはわかる。 (2)イスラムのアラーに比べ、キリスト教の三位一体論は、特に、聖霊を含むことによって、資本主義と整合的になっている。(p101) 利益をあげるという発想、利子という発想を厳しくイスラムでは否定しているが、キリスト教では、旧約聖書のその記述はあるものの、今は受け入れている。その理由として、特に、聖霊という増えることが可能な概念を付け加えたことにあるという。 と自分は、中沢さんの難解な議論を理解した。もし自分の理解がだだしければ、なんとなくわかる。 (3)物部氏の技芸は、土地の精霊の威力を、象徴的な具(道具)によって捕獲・掌握して、管理するモノの技芸にあった。(p164) このようなモノ、地霊に対する力をもった物部氏を蘇我氏と聖徳太子が破ることによって、合理化の時代が始まった。 これも理解できるし、だからといって、縄文時代から続く、地霊へのおそれの精神も捨ててはならないということだろう。 もう少し、わかりやすく、例えば、内田樹さんの様にたとえをいれて語ったら、中沢氏への誹謗中傷も減るのではないか。
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9.11テロの直後にイスラム教の素晴しさ、 彼らから資本主義世界がどう見えるかについて説く。 著者が提唱する「対称性」という概念を、他ならぬ著者自身が 率先して実行に移す、その姿勢に好感が持てる。 読んでいて頭の中で三大宗教が なんとなく同軸上に位置づけられてきた気...
9.11テロの直後にイスラム教の素晴しさ、 彼らから資本主義世界がどう見えるかについて説く。 著者が提唱する「対称性」という概念を、他ならぬ著者自身が 率先して実行に移す、その姿勢に好感が持てる。 読んでいて頭の中で三大宗教が なんとなく同軸上に位置づけられてきた気になって喜んだ。
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イスラム銀行とイスラム教、キリスト教と資本主義を対比させた論考が面白かった。イスラム銀行のことをよく知らなかったので、へええと思った。後半の文章は、ああ人類学という感じ。
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む、むずかしい…。さっぱりわからなかった。ドイツの現代音楽家の話は割と好き。読みやすかったから。ジャーナリズムはいまや私欲のためにしか動かない。宗教についてはまったく頭がついていきませんでした。勉強不足。
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■中沢氏の本を最初に手に取ってから21年になる。それは、1984年3月第1版6刷の、せりか書房・「チベットのモーツアルト」を八重洲BOOKCenterで買ったのが最初の著者・著作との出会いでした。ロマンティックなその本の「題」に惹かれたのです。 翌85年は、円高ドル安のプラザ合意...
■中沢氏の本を最初に手に取ってから21年になる。それは、1984年3月第1版6刷の、せりか書房・「チベットのモーツアルト」を八重洲BOOKCenterで買ったのが最初の著者・著作との出会いでした。ロマンティックなその本の「題」に惹かれたのです。 翌85年は、円高ドル安のプラザ合意がG5でなされ、日本が戦後体制・終了の通過儀礼を行った年であり、翌年からのバブルに火を付ける前年でもあったが、私にとっても人生節目の出来事多発の年であった。また、浅田彰氏の、せりか書房「構造と力」・筑摩書房、「逃走論」など、現代思想の最前線を、「スキゾフレニック」・「構造主義から脱構築・解体構築」などの言葉とともに、「ストロース・・・ポランニー・フーコ・デリダ・ドウールーズ」など、現代思想家の存在を知った年でもあった。学生時代や、ビジネス・実業の世界とは違う新鮮な知的世界に興奮した記憶がある。この年、中沢新一34歳。浅田彰27歳。 「チベットのモーツアルト」とは中沢によれば、ジュリア・クリステバが伝統的な意味の構造を微分差異化し・・その記号の解体などをエレガントなモーツアルトの音楽やチベット仏教の声明音楽の中に象徴的に見出し、意味の無限化、多様な官能や身体へと運動させて行く様を「チベットのモーツアルト」と彼女の論文で表現した。それを中沢が、ネパールで密教僧として追体験し、執筆の世界でこの本のタイトルに使用したのだそうです。 <続きは以下> amato-study.comに書評があります。 アースダイバーと併せて、アマトのお勧め本です。
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