沙高楼綺譚 の商品レビュー
元来好きな作家の一人であり、読んだ著書も数多く、いずれも概ね期待通り、もしくは期待以上に面白く読んで来たのだが。 本作は、過去に読み重ねて来た著者の作品の中では、ある意味最も満足に届かなかった一冊だった。 何が一体イケナかったのだろう? まず「一夜百物語」の舞台で繰り広げられる複...
元来好きな作家の一人であり、読んだ著書も数多く、いずれも概ね期待通り、もしくは期待以上に面白く読んで来たのだが。 本作は、過去に読み重ねて来た著者の作品の中では、ある意味最も満足に届かなかった一冊だった。 何が一体イケナかったのだろう? まず「一夜百物語」の舞台で繰り広げられる複数のエピソードからなる組み立てそのものは、新味は無いにせよ(事実、古今東西に同じ百物語形式の本は多々ある)、著者ならではのユニークな舞台設定もあって、興味深く読み始めることが出来た。 ただ、その形式で語られる5つのエピソードそれぞれが(この著者にしては)どれもあまり面白くない。こんな経験は初めてだ。 全く異なる分野や世界をテーマにした5編の物語のそれぞれに、博覧強記の著者ならではの豊富な知識や知見がちりばめられ、ストーリーテラーとしての筆力は認める。がしかし、5編それぞれが、なぜかどれもおしなべて面白くない。一言で云えば「コレがオチなの?」「何処が面白いの?」という感じ。 冒頭に記した通り、これまでこんな不満な感想など持つことの無かった著者の作品だけに、なんとも不思議な印象が残った一冊だった。
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3.5 秘密を語り合う集まり、沙髙楼。不思議な話や人の生田の話など。設定がいいね。最後のヤクザの話が人の生き方として、読ませる。時代の空気感を描くのが上手い作家。
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名手浅田次郎さんの連作短編。 最初の1編、刀剣乱舞をやっている審神者にはたいへん親しみの湧く話。 他のお話も、ミステリアスで情緒があり、とても面白かった。
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青山墓地のほとりにそびえる高級マンションの最上階、古民家風にしつらえた部屋と空中庭園。「沙髙楼」と名付けられたその部屋で、高みに上り詰めた人々が寄り集い、決して他人には語れない秘密を披露しあう。その会の掟は、「あるべきようを語り、巌のように胸にしまう」ことつまり、語る者は虚飾を排...
青山墓地のほとりにそびえる高級マンションの最上階、古民家風にしつらえた部屋と空中庭園。「沙髙楼」と名付けられたその部屋で、高みに上り詰めた人々が寄り集い、決して他人には語れない秘密を披露しあう。その会の掟は、「あるべきようを語り、巌のように胸にしまう」ことつまり、語る者は虚飾を排し、聴いた者は他言はしないこと。会を取り仕切る女装の主人の招待状により集まった人々が、今日も世にも不思議な話を語る・・・ 刀剣鑑定家家元、精神科医師、映画カメラマン、軽井沢の山荘の庭師そしてやくざの大親分たちが語る最後に背筋がヒンヤリとする話の数々はそれぞれが全く違った趣で飽きさせない。 奇譚集なので、不思議と恐怖とナンセンスが入り混じっているけれど、中でも勤労の志士の亡霊を描いた「立花新兵衛只今罷越候」とやくざの逆縁の一部始終を描いた「雨の夜の刺客」が好き。 特に雨の・・・は、やくざの語る言葉にいちいち感じ入りました。さすが浅田次郎さん、やくざの世界観を書かせたら天下一品です。 ーー考えてもみな。人間は獣だぜ。それも一等いじきたねえ獣なんです。ちがいますか。-- ちがわない・・・
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泣かせに徹するでもなく、ミステリーでもなく、ホラーでもない。一定のクオリティはあるが、ちょっと中途半端な気がした。沙高楼とは何か、女装の主人は何者か、何らかの種明かしがあればと思ったが、単なる舞台装置のようである。
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普段あまり気にかけないけど、人間って怖いんだな…と思えるような話…のはずで、衝こうとしてる点はわかるような気がするんだけど、私が鈍感なのか、ぴんと来なかったかも。★★1/2
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
各界の名士たちが集う「沙高楼」。 世の高みに登りつめた人々が、ミステリアスな女装の主人に誘われ、秘密を披露しあう。 稀代のストーリーテラーによる息を呑む驚愕の物語。 (アマゾンより引用) 前読んだ本がシリーズ物だったみたいで、それの1作目みたい(((゜Д゜;))) 話自体は短編だから不都合はないけども(゜Д゜;) ただあんまり面白くないんだよね…
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以前に読んだ「草原からの使者」の前編にあたる作品のようでした。 南青山の秘密サロン「沙高楼」に夜な夜な集い、 自らの奇妙な人生を語る人々。 百物語のほんの少しとして語られた5つのエピソード。 事件の真相やあっと驚くような半生の秘密。 語り手のたんたんとしたしゃべりに、 サロンに...
以前に読んだ「草原からの使者」の前編にあたる作品のようでした。 南青山の秘密サロン「沙高楼」に夜な夜な集い、 自らの奇妙な人生を語る人々。 百物語のほんの少しとして語られた5つのエピソード。 事件の真相やあっと驚くような半生の秘密。 語り手のたんたんとしたしゃべりに、 サロンに集まった人々はじっと耳を傾けます。 ●小鍛冶 ●糸電話 ●立花新兵衛只今罷越候 ●百年の庭 ●雨の夜の刺客 「沙高楼」の開式の挨拶における サロンのオーナーの言葉が印象的でした。 「沙高楼にようこそ。今宵もみなさまがご自分の名誉のために、 また、ひとつしかないお命のために、 あるいは、世界の平和と秩序のために けっして口になさることのできなかった貴重なご経験を 心ゆくまでお話しくださいまし。………」 5つのエピソードは 奇妙な人生のなりゆきや結末ばかりでした。 じっと胸に秘めていた秘密を語る不思議なサロン。 そこへ集まる人々のミステリアスな体験談を 生で聞いてみたくなりました。
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2012/07/06 「立花新兵衛」が秀逸。戦地で苦労したのだろう、という繰り返しがそらぞらしいほど、読んでいて薄ら寒くなる。
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セレブたちが都心の空中庭園サロンに集まり、百物語をするという話。しかし、浅田次郎さんって凄いストリーテラー、唸りました。愉しみました。 金持ちと貧乏人の違いは、財産がある事ではなく逃げ道があること・・とヤクザに言わせたり・・それぞれの話の中に、ピリッとしたエッセンスが光る。うまい...
セレブたちが都心の空中庭園サロンに集まり、百物語をするという話。しかし、浅田次郎さんって凄いストリーテラー、唸りました。愉しみました。 金持ちと貧乏人の違いは、財産がある事ではなく逃げ道があること・・とヤクザに言わせたり・・それぞれの話の中に、ピリッとしたエッセンスが光る。うまい!
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