カイエ・ソバージュ 熊から王へ(2) の商品レビュー
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引き続き面白いです。 …スサノオは「人食い」であった大蛇を倒すことができました。すると大蛇の持ち物であった「人食い」の特性は、スサノオの所有に移ることになり…古代人の思考では、食べることとセックスすることは一つです。スサノオは土地の首長の娘を性的に食べることによって、二重の意味で「人食い」としての王の特質をあらわしてみせています。…このとき剣は、社会の内部に自然の権力が組み込まれるプロセスをあらわすものとして、王権の象徴となります。(p.197-198) 原初、神は熊であった というのも面白かった。し、アイヌに「熊送り(イオマンテ)」という儀式があるんだなあ…テディベアが大好きな私もそういうことなの…?って思ってしまいました笑
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2002年 中沢 新一 NOTE記録 https://note.com/nabechoo/n/naaeffc04c083 2巻は、国家の誕生。世界に対称関係をつくり、維持しようとしてきた神話的社会の内部から、なぜ国家が誕生するのか?これが主題となる。神話的思考と、それを壊そうとするものの戦い。 「無法をやめる、これが人間にできる唯一で最高のことではないか。法のある世界、野蛮でない世界。」 昔の人より、現代人の方がよっぽど野蛮なんだなー。でもほんと、食のこととか思うと、雑というか、無礼というか、残念な感じではあるなー。他の生命に対しての敬いの心を失ってるよーな。
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大学の講義を1冊の書籍にまとめました、なんて試みもあったんだな… 熊だけでなく、他の獰猛で偉大な動物の逸話も多数収録
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宇多田ヒカルの「ぼくはくま」という歌が本当に謎だったけど、これは宇多田ヒカルがこの本読んで、熊に対して酷いことをしたという、謝罪、敬意の歌なのかもしれないと思ったりした。 なんか相当熊には酷いこと酷いことをしたんだと思う。まあ人間が生きていこうとすれば動物に酷いことをしてしまう...
宇多田ヒカルの「ぼくはくま」という歌が本当に謎だったけど、これは宇多田ヒカルがこの本読んで、熊に対して酷いことをしたという、謝罪、敬意の歌なのかもしれないと思ったりした。 なんか相当熊には酷いこと酷いことをしたんだと思う。まあ人間が生きていこうとすれば動物に酷いことをしてしまうのはもう摂理なのだけれども。そこには感謝が必要だよねという話。 国家を持ち、権力をレベルアップすればするほど、自然は破壊され、世の中はどんどん非対称になる。そうなったら地球温暖化しても仕方ないよねって話。 マジで世界は残酷なんだって感じだな。 神話は神様が作った話だと思ってたけど昔の人たちが口語で伝えて、もしかしたら嘘かもしれないし本当かもわからないけどきっとわたしは本当なのかなって思う。もっと動物も意思疎通できる人たちが、昔はいたんだと思う。今でもたまに動物の気持ちを理解できる人いるし。 自然に近い存在でいたから。私たちは自然からかなり遠ざかり、自然とおさらばしているから、どうしようもなく矛盾したことをしてしまい、悲しみ怒る感情に支配されることになるんだろうなと思った。これはめちゃくちゃ面白い本だ。
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中沢新一 「 カイエソバージュ 2 」神話研究から 近代文明の構造を明らかにした本。人類学ならではの構造の抽出だと思う。テクノロジーと 王権による国家概念を 近代文明の非対称性の特徴として 共通分類した点は面白い。未開社会から学ぶことは多い 終章「野生の思考としての仏教」は、...
中沢新一 「 カイエソバージュ 2 」神話研究から 近代文明の構造を明らかにした本。人類学ならではの構造の抽出だと思う。テクノロジーと 王権による国家概念を 近代文明の非対称性の特徴として 共通分類した点は面白い。未開社会から学ぶことは多い 終章「野生の思考としての仏教」は、仏教の空概念に 神話的思考を見出している点、ブッダが首長を理想としている点が 興味深い タイトル 熊から王へ の意味 *対称性の社会から非対称性の社会へ *動物と人間の共生社会から 動物と人間の分離社会へ *自然か所有していた権利を 王が所有する王権へ *王、国家の成立 対称性の社会=神話的思考 *人間と動物が対称的関係 *熊と人間の共生→人間と熊はお互い変容できる *首長はいても、王はいない、国家はない *首長は 弁舌、歌、踊り、気前の良さで 社会を調和し、権力(政治権力、軍事力、神秘的権力)はもたない 対称性のない世界(非対称性な世界) *人間と動物を分離する思考 *富の配分が非対称性 *野蛮を内部に組み込んだ社会→野蛮を排除できない *王=人間の社会の権力をもつ者+首長
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(01) 各章には,やや長めに神話や説話が引用されている.その多くに熊が登場する.また,その多くは,環太平洋の北半球地域で採集された話である. モンゴロイドなどの族の環太平洋北部の大陸間移動と,熊の生態学的な分布が重ねられ,そこに生まれた人類と獣の交流の物語(*02)に,あるべき...
(01) 各章には,やや長めに神話や説話が引用されている.その多くに熊が登場する.また,その多くは,環太平洋の北半球地域で採集された話である. モンゴロイドなどの族の環太平洋北部の大陸間移動と,熊の生態学的な分布が重ねられ,そこに生まれた人類と獣の交流の物語(*02)に,あるべき普遍の倫理を読もうとする.自然,文化,文明をめぐり企図された倫理は,しかしながら,説得力を欠くようにも読まれた. 旧石器から新石器へと技術(テクネー)が変化した際に,象徴操作や流動的知性というアビリティが備わったと,著者はいう.ニューロン組織の進化があったとする.脳科学的にこの理解が正しいのか検証されているのかは分からないが,留保も必要な議論のように感じた. (02) インディアンやエスキモーが語る個別の神話や続けられてきた儀式の細部は,楽しい.著者による一次的な解説は,うなずける点も多い.種族のルーツ,動物との婚姻譚,自然と文化の間の贈与,鉄などの武器の聖性,季節と学年制度の関係など,示唆的である.
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カイエ・ソバージュの第2巻。第1巻からだいぶ時間を空けてしまった。講義録なので読みやすく、説明や引用も丁寧で難なく読み進められた。やはりテーマは自然と人間の「対称性」。現代は人間が力を持ちすぎた「非対称性」の時代。しかし古代、まだ人間がクニをもつ前は自然と人間は対等であり、力は自...
カイエ・ソバージュの第2巻。第1巻からだいぶ時間を空けてしまった。講義録なので読みやすく、説明や引用も丁寧で難なく読み進められた。やはりテーマは自然と人間の「対称性」。現代は人間が力を持ちすぎた「非対称性」の時代。しかし古代、まだ人間がクニをもつ前は自然と人間は対等であり、力は自然より与えられる者だった。人間と自然の中間として象徴されていた存在が「熊」だという。神話の中では、クマは人間になり、人間はクマになる。熊は人を襲うこともあるが、自身を捧げ毛皮になり肉になる。 今の時代の危機を対称性の喪失として語る。かなり神秘的な思想だが、先祖が尊んできた一つの宗教的感覚を無価値なものと断じる気持ちにもなれない。ゆっくりとした良い学びになった。 18.1.23
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カイエ・ソバージュの1冊目が面白かったので、早速、第2冊目にすすむ。 1冊目が、レヴィ=ストロースの「神話論理」をベースにした世界各地のシンデレラ物語分析というところで、面白いものの、どこか予定調和的な感じがしなくもなかった。 で、2冊目では、原始的な共同体から国家の誕生...
カイエ・ソバージュの1冊目が面白かったので、早速、第2冊目にすすむ。 1冊目が、レヴィ=ストロースの「神話論理」をベースにした世界各地のシンデレラ物語分析というところで、面白いものの、どこか予定調和的な感じがしなくもなかった。 で、2冊目では、原始的な共同体から国家の誕生へと、静的な世界から、ダイナミックな世界に動き出す。つまり、定常社会の記述を徹底していくことを通じて、王が出現する瞬間を描き出そうとする。 王=国家の成立にとって、経済的な格差や身分の成立といった経済社会的な構造変化は必要条件としながら、十分条件として、定常社会のなかに存在する神話的思考に内在する論理を指摘する、ところがとてもスリリング。 9.11の直後になされた講義であり、なにが「野蛮」なのか、という問題提起が繰り返されなされる。特に、冒頭に引用される宮沢賢治の「氷河鼠の毛皮」のインパクトは強烈であり、この本全体のテーマを的確に示している。 最後のほうでは、「野生の思考」としての仏教思想という話がでてくる。 1冊目のレヴィ=ストロースの忠実な弟子という感じから、いよいよ中沢氏の本領発揮という展開で、面白かった。
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神話は現代ではとても野蛮で程度の低いものだと思われている。でも、人類史を振り返ると人間は神話という大発明のおかげで大自然の中での己の立ち位置や身の処し方を見いだすことができるようになったのではないか。今我々が、経済と呼んだり科学と呼んだり宗教と呼んだり政治と呼んだり文化と呼んだり...
神話は現代ではとても野蛮で程度の低いものだと思われている。でも、人類史を振り返ると人間は神話という大発明のおかげで大自然の中での己の立ち位置や身の処し方を見いだすことができるようになったのではないか。今我々が、経済と呼んだり科学と呼んだり宗教と呼んだり政治と呼んだり文化と呼んだりしたものが神話のなかには無理なく一体化されて収まっているように思える。2万年後には今の最先端の知識も神話の中にパッケージ化されて後世に伝えられるのではなかろうか。
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国家「クニ」が野蛮であることは不可避であり、自然・動物に敬意を払う精神構造を捨てた「文明」は野蛮を土台にして発生している。 何故、現代文明を我々はこれほど歪に感じるのか。文化的に遅れていると言われる原始宗教に惹かれるのか。それは遠い昔、縄文まで遡る頃に、そのような、真に文明的な社...
国家「クニ」が野蛮であることは不可避であり、自然・動物に敬意を払う精神構造を捨てた「文明」は野蛮を土台にして発生している。 何故、現代文明を我々はこれほど歪に感じるのか。文化的に遅れていると言われる原始宗教に惹かれるのか。それは遠い昔、縄文まで遡る頃に、そのような、真に文明的な社会が存在していたからである。 首長・将軍・秘密結社・シャーマン。 首長は「集団の緊張を和らげるもの」「自分の財物を惜しみなく与えるもの」「弁舌さわやかなもの」。さらに歌・踊りの能力も重要であり、現代のミュージシャン(の語り)が若者の心をつかむことの共通性。
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