口語訳 古事記 完全版 の商品レビュー
本書の最大の特徴は、現代語訳ではなく、『古事記』を古代の語り部が話す「語《かた》り」という形式で訳していることだ。 みずからを「この老いぼれ」と称する老人の語り口として古来の神話が語られていくさまはとても読みやすい。さらにページの下三分の一は注釈欄になっていて、ちょっとでも...
本書の最大の特徴は、現代語訳ではなく、『古事記』を古代の語り部が話す「語《かた》り」という形式で訳していることだ。 みずからを「この老いぼれ」と称する老人の語り口として古来の神話が語られていくさまはとても読みやすい。さらにページの下三分の一は注釈欄になっていて、ちょっとでも意味が不明瞭なことばには詳細に解説がされている。 意味も汲めるしリズムも味わえる 至れり尽くせりでとても理解しやすい『古事記』である。 でもなぜ「語り」なのだろうか? それは『古事記』の成立が、当時(七世紀頃)、すでに古代の伝承となっていた数々の物語を稗田阿礼《ひのだのあれ》に暗誦させて太安万侶《おおのやすまろ》が文字として書き起こして天皇に献上したものであったからだ。 古来から口伝されている語りというのは、おそらく日本古来のやまとことばで伝わっていた。それを書き文字といえば漢文だった時代に文字に起こしたのだから、記録されたことと引き替えにどうしても漢文的な変化を余儀なくされたはずだ。 ならば太安万侶《おおのやすまろ》が書いた『古事記』を現代に起こすのではなく、その向こう側にある「稗田阿礼《ひのだのあれ》が語ったであろう昔語り」を復活させるべきではないか。 それが本書の狙いである。 巻末には『古事記』を理解するうえでの索引や神名、地名、氏族の解説、神の系図など膨大な資料が付けられていた。 値段は少し張るけれど、関連書籍十冊買ったよりも『古事記』が理解できるのではないか。 「完全版」はダテではないのだ。 http://loplos.mo-blog.jp/kaburaki/2010/10/post_b30f.html
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現代語訳ではなく口語訳。 個人的に語り口調は好かず、単なる現代語訳を購入するべきだったと後悔している。
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筆者の考えが本文に追記されているのが非常にウザイ。 これのおかげで読む気をなくしてしまった本だが、あれがなければ面白い本であろうと思う。 そういうのが気にならなく、且つ日本の古代神話に触れてみたい人にはお勧めの1冊。
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この本は実験作とでも言うべきもので『古事記』というテクストを元に「口頭で語られていた昔語り」を現代語で再現したらどんな感じになるだろうね、というもの。口語表現を用いることで『古事記』中のオノマトペが生き生きとしてきます。 ただし口語化する際にどうしても「訳者」の主観がニュアンスと...
この本は実験作とでも言うべきもので『古事記』というテクストを元に「口頭で語られていた昔語り」を現代語で再現したらどんな感じになるだろうね、というもの。口語表現を用いることで『古事記』中のオノマトペが生き生きとしてきます。 ただし口語化する際にどうしても「訳者」の主観がニュアンスとして滲み出てしまったため『古事記』の入門書としてはお薦めしません。一度原書(あるいは岩波文庫などの学習用現代語訳)にあたった上でならばお薦めします。入門書ならば河出文庫版現代語訳が無難、かな…。
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まるで村の長老が語っているような(笑)口語訳をされると、古事記もなんだか身近に思えてくる。きちんとした解説もついているので、勉強にもなる。
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