謝罪します の商品レビュー
2002年出版。 主体思想や革命に関心を持った彼女は北朝鮮に渡航する。しかしその裏には、彼女を北朝鮮に亡命した「よど号」事件の犯人の妻にするための策略が存在した。 著者は強制された結婚に嫌悪感を抱くも、北朝鮮で施された「洗脳」によって疑問を持たないまま、「日本人獲得」のための活...
2002年出版。 主体思想や革命に関心を持った彼女は北朝鮮に渡航する。しかしその裏には、彼女を北朝鮮に亡命した「よど号」事件の犯人の妻にするための策略が存在した。 著者は強制された結婚に嫌悪感を抱くも、北朝鮮で施された「洗脳」によって疑問を持たないまま、「日本人獲得」のための活動に身を投じていく。 同書から伺えるのは、奔放な著者の性格である。性にも奔放だった彼女は、当時としては先進的な男女観を持っていたことが伺える。そんな彼女だが、男尊女卑の封建的な価値観をそのまま保存した北朝鮮、そして「よど号」のメンバーたちの中で、夫に罵倒され、殴られ、「慰安婦」として扱われることを「仕方のないこと」として受け入れていく。 また著者は有本恵子さんを拉致して北朝鮮に連れて行ったことを告白する。 自らが好まない結婚を強要されたように、拉致した日本人男性にあてがう女性を連れてくるために行う拉致であるにもかかわらず、それが「革命」に必要なことだと強く信じていたと書かれている。「洗脳」というのはそれほど強いことなのだろうか。その信憑性については一旦置いておきたい。 しかし、少なくとも同書では、著者が北朝鮮にいくことになる過程や北朝鮮での生活、「革命」活動の内容、そして「洗脳」が解けた後の贖罪が盛り込まれており、北朝鮮内部での「よど号」犯人たちの暮らしぶりや活動内容がよく分かる。 「よど号」に関してもう少し勉強せねばと思わされた。
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「拉致疑惑と帰国」を読んで、次は八尾さんだと思って読んでみた。立場が違うから言い分が違うのはあたりまえ。次は第三者の高沢さんを読んでみようと思う。
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北朝鮮に渡り、よど号メンバーの妻となった経緯。有本恵子さんの拉致が本人によって詳しく語られている。 著者の八尾氏は、もとはごく普通の考え方をする、どちらかといえば真面目な人のようである。 ちょっとしたきっかけが間違った方向に向かっていたために、どんどん引き返せなくなっていったよ...
北朝鮮に渡り、よど号メンバーの妻となった経緯。有本恵子さんの拉致が本人によって詳しく語られている。 著者の八尾氏は、もとはごく普通の考え方をする、どちらかといえば真面目な人のようである。 ちょっとしたきっかけが間違った方向に向かっていたために、どんどん引き返せなくなっていったように思える。 どこにでも芽生え得た罪の種。 これを読むと遠くに感じられなくなってくる。 八尾氏の母親としての気持ちも自分には重ねられる部分がある。
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ある真面目な女性が、自己承認の低さをなんとか埋め合わせようと必死に生きたあまりに、とんでもないところに行き着いたという哀しい物語。悲劇は、拉致加害者にまでなってしまったということ。ただ、全ての責任を彼女に押し付けるには、余りにも酷な感じもしてくる。真面目さというものの恐ろしさは、...
ある真面目な女性が、自己承認の低さをなんとか埋め合わせようと必死に生きたあまりに、とんでもないところに行き着いたという哀しい物語。悲劇は、拉致加害者にまでなってしまったということ。ただ、全ての責任を彼女に押し付けるには、余りにも酷な感じもしてくる。真面目さというものの恐ろしさは、オウムのときと同じ。
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ちょっと前の本で、当事者なので必ずしも公正けれど、実際に経験した人ではないと語れない事実や観察が盛り込まれていて興味深く読んだ。55年に兵庫県で生まれた著者が当時の反体制的な風潮の中でなんとなく主体思想研究会に加入し、よく理解できなかったけれども良いことのように思え、そこに北朝鮮...
ちょっと前の本で、当事者なので必ずしも公正けれど、実際に経験した人ではないと語れない事実や観察が盛り込まれていて興味深く読んだ。55年に兵庫県で生まれた著者が当時の反体制的な風潮の中でなんとなく主体思想研究会に加入し、よく理解できなかったけれども良いことのように思え、そこに北朝鮮に行かないかという当人にとってはうまい話が来て乗る。「チュチェ思想が何であるかも知りませんでした。朝鮮に北が付こうが、南が付こうがどうでもよかったのです。ただ、韓国ではなく北朝鮮が私に近づいてきたのです。北朝鮮は活発にチュチェ思想を宣伝していました。この頃、松本昌次や安井郁の北朝鮮旅行記を読んだり、北朝鮮を賛美する報道に接して、ますます北朝鮮に興味を持ちました」。その後よど号メンバーの柴田と結婚を押し付けられヨーロッパ方面で日本人旅行者をオルグするために働き有本恵子さんを獲得する。「田宮(高麿)は義理人情ということをさかんに言っていました。人間というものは、義理人情の信頼関係さえしっかりしておけばどうとでもなるというのが田宮の思想でした。社会正義や思想を真摯に議論して説得して獲得するというよりは、義理人情で身動きできなくして獲得するというのがチュチェ思想のもう一つの本質だったのです」。
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