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明治生まれの日本語 の商品レビュー

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2017/03/16

 今では普通に使っていて不思議に思わなかった言葉が意外なところから来ているのを知って驚いた。それは、著者が取り上げている仮名垣櫓文(かながきろぶん)の『牛店雑談 安愚楽鍋(うしやぞうだん あぐらなべ)』(明治4年から5年)に次のような待遇表現があった。  ざます・・・娼妓(...

 今では普通に使っていて不思議に思わなかった言葉が意外なところから来ているのを知って驚いた。それは、著者が取り上げている仮名垣櫓文(かながきろぶん)の『牛店雑談 安愚楽鍋(うしやぞうだん あぐらなべ)』(明治4年から5年)に次のような待遇表現があった。  ざます・・・娼妓(しょうぎ)・新造  です・・・・芸者、茶屋女・それしゃあがり  ざますというとドラえもんに登場するスネ夫のママの口癖でちょっと上品と言うのかお高く留まっているマダムを連想するが元をたどるとあの世界の方たちの業界用語だった。そして、ですも、芸者が使っていたとは。今では丁寧表現として使っているものだ。  著者は新語について次の3つの種類を挙げている。  1.新造語・・・日本語自体に概念がなく、日本人が造ったもの(彼女・哲学)  2.借用語・・・中国で活躍していた欧米人宣教師が漢訳した洋書や辞典から借用したもの(電報・恋愛)  3.転用語・・・日本にあった類義語に新たに意味を加えて転用したもの(東京・駅)  幕末から明治維新で海外からいろいろな言葉が日本に入って、その当時の言葉をひねり出した方たちの苦労がしのばれる。  何かと比較するとき「~より」とよく使う。その「より」は、明治時代にできた言葉だった。著者によると副詞「より」は、明治時代に英語を学習した知識人による造語とのべている。  一見すると昔からあってもおかしくない単語も紐解くと意外と新しいものだなあ。

Posted byブクログ