スティグマの社会学 の商品レビュー
最終章に来てやっとまともに読める。スティグマから構成された強い社会的附置の上でひとがどのように振る舞うのかという試論は、常人がスティグマを持つことでどのように常人として振る舞うのか、というリアルな話題に引き寄せられる。スティグマによって生じるのは同族嫌悪であり、むしろ同族を超越し...
最終章に来てやっとまともに読める。スティグマから構成された強い社会的附置の上でひとがどのように振る舞うのかという試論は、常人がスティグマを持つことでどのように常人として振る舞うのか、というリアルな話題に引き寄せられる。スティグマによって生じるのは同族嫌悪であり、むしろ同族を超越したスティグマは聖痕そのもの。まったく、読み易くはない。
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障碍・外傷・マイノリティ属性など=スティグマによってそれらを持たない多数者(本書では「常人」と呼ぶ)から峻別される人びとと常人との関係性について、およそ考え得る限りのケースを想定・分析しており、圧倒的な読み応え。最終的に、スティグマを持つ人と常人とはそれぞれが固定的な役割を担わさ...
障碍・外傷・マイノリティ属性など=スティグマによってそれらを持たない多数者(本書では「常人」と呼ぶ)から峻別される人びとと常人との関係性について、およそ考え得る限りのケースを想定・分析しており、圧倒的な読み応え。最終的に、スティグマを持つ人と常人とはそれぞれが固定的な役割を担わされた個人のことではなくあくまで流動的・相対的な関係性の問題との結論には蒙を啓かれる。 本書は、スティグマを持つ者、を知るためではなく、スティグマと名指す者と名指される者の絶えず浮動する関係性を知るための書だ。
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「ビブリアバトル」で紹介されていたチャンプ本。 でも、申し訳ないが、さっぱり、だった。 何に魅かれて読みたいと思ったかもわからないぐらい、 中身が理解できなかった。 なんだか、ごくフツーのことを小難しく言ってるだけな気もするが。 難しい、というか、訳がわからない、というのが正...
「ビブリアバトル」で紹介されていたチャンプ本。 でも、申し訳ないが、さっぱり、だった。 何に魅かれて読みたいと思ったかもわからないぐらい、 中身が理解できなかった。 なんだか、ごくフツーのことを小難しく言ってるだけな気もするが。 難しい、というか、訳がわからない、というのが正直な感想。
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「以上のことに含意されるのは、人間の特異性を理解したければ、特異な者にではなくて、平均的な人びとにこそそれを求めるべきだ、ということだ」 僕は昔から特異なものが好きだった。それは今も変わらずそうで、宗教学というトピックを選んだのも、言ってみれば変な人やものや思想が好きだったから...
「以上のことに含意されるのは、人間の特異性を理解したければ、特異な者にではなくて、平均的な人びとにこそそれを求めるべきだ、ということだ」 僕は昔から特異なものが好きだった。それは今も変わらずそうで、宗教学というトピックを選んだのも、言ってみれば変な人やものや思想が好きだったからだ。 その一方で、いわゆる平均的とされる人やもの、思想にはあまり目を向けてこなかったという事実がある。それはいうなれば、なぜ「特異」とされているものが「特異」であるのか、その社会的背景を見過ごしてきたということもある。自分を平均的な人であると決めつけ、その自分と違うものを見ることで、面白がっていただけなのだ。 そういった見方も良かったけれども、もう一歩引いてみて、「なぜそれが特異なのか?」というところにまで視野を広げると、昔は興味のなかった「平均的なもの」が逆に面白くなる。その平均的なものも、例えば世界各国との比較のときに平均であるとは言えないという面白みもあるだろうし。 ということで、最近は中二病をやや脱して?平均的なものに関心が出てきたよという話。
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「スティグマ」とは烙印の意。奴隷や家畜に押される焼き印を指すが、英語にはイエスの聖痕の意もあるようだ。つまり、この言葉には二重の憎悪が仕込まれていると考えてよい。 http://sessendo.blogspot.com/2011/09/blog-post_551.html
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とてもおもしろい本です。抽象的な表現を多用していますが、それに対する具体例を瞬時にいくつも想像できるので全く苦になりません。実例もところどころに差し挟まれていますが、日本の状況ともたぶん現在の世界状況とも異なっていると思います。 ここで言われるスティグマの元々の意味は「聖痕」で...
とてもおもしろい本です。抽象的な表現を多用していますが、それに対する具体例を瞬時にいくつも想像できるので全く苦になりません。実例もところどころに差し挟まれていますが、日本の状況ともたぶん現在の世界状況とも異なっていると思います。 ここで言われるスティグマの元々の意味は「聖痕」です。そして「常人」という言葉が出てきます。常人とは普通の人という意味ではなく、あるカテゴリーの中にいる人が当然そうあるべき/そうすべきであると期待されて、それができている人たちを指しています。 それに対してスティグマのある人とはそのカテゴリーにとっては「異形(いぎょう)」の存在のことです。それは見た目かもしれませんし、ふるまい方かもしれません。そのカテゴリーの常人をぎょっとさせる何かを持っている人です。 そしてこの本は常人とスティグマのある人のそれぞれが出会うことにより心に持つ葛藤や、受け容れる/受け容れられるための切ない儀式をもののみごとに解説してくれています。さらに常人とスティグマのある人という立場は単なる視角の問題だとも言っています。 「そっか〜、私はそんな風に考えてふるまっていたんだ〜」という、自分が無意識にとっていた行動を説明してもらった気分です。もちろん両者の立場で。
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これが60年代中盤なんだから、すげー!上から目線だという見方もあると承知しているけど、でもゴッフマンはマジ、困っている人を前にして何が自分にできるか考えたんだろうなって思う。
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今更ながら再読。ひとくちにスティグマと言っても、全てが可視的とは限らない。パッシング(やり過ごし)可能なはずのスティグマが暴かれる際、そこにアイデンティティの挫折があるとは限らない点が興味深い。他者との関係を通じたアイデンティティの複数性と場・状況に応じた適切な戦略との相互関連が...
今更ながら再読。ひとくちにスティグマと言っても、全てが可視的とは限らない。パッシング(やり過ごし)可能なはずのスティグマが暴かれる際、そこにアイデンティティの挫折があるとは限らない点が興味深い。他者との関係を通じたアイデンティティの複数性と場・状況に応じた適切な戦略との相互関連が、<私>を私にとって構成するのだなーという感想。
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概ね良著といっても差し支えない。スティグマ研究は、つまり障害者・社会的弱者研究のようなものだろう。洋の東西や時代のギャップをたまに感じるが、興味のある人が読めば、値段以上の内容が読める。ただ、原文から難しいのか邦訳が悪いのか、非常に難解な節も多いのが残念。短期集中で読まないと、最...
概ね良著といっても差し支えない。スティグマ研究は、つまり障害者・社会的弱者研究のようなものだろう。洋の東西や時代のギャップをたまに感じるが、興味のある人が読めば、値段以上の内容が読める。ただ、原文から難しいのか邦訳が悪いのか、非常に難解な節も多いのが残念。短期集中で読まないと、最後の方には記憶が拡散してしまいかねないのでご注意を。
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