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火星の人類学者 の商品レビュー

4.4

49件のお客様レビュー

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脳神経科医である作者…

脳神経科医である作者が、自分が関わったとても興味深い7人の患者たちを紹介しています。患者たちの置かれた状況を知るにつけ、人間の脳の不思議に驚かされます。突然にできた脳の傷ひとつによって、自分が今置かれている状況が崩壊してしまうという自己の危うさを痛感します。「人間というのは、それ...

脳神経科医である作者が、自分が関わったとても興味深い7人の患者たちを紹介しています。患者たちの置かれた状況を知るにつけ、人間の脳の不思議に驚かされます。突然にできた脳の傷ひとつによって、自分が今置かれている状況が崩壊してしまうという自己の危うさを痛感します。「人間というのは、それぞれが持っている能力や性格や健康状態や可能性には偏りがあり、その偏りがその人を形づくる個性になること。その個性(=偏り)を含めてその人であると自分や他人を受入れること、また尊重することは、とても大切である。」ということが感じられ、

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全色盲の画家、トゥレ…

全色盲の画家、トゥレット症候群の外科医、自閉症の学者など、様々な脳の障害により、想像もつかないような不思議世界に住むようになった人々の記録。多様な生のパターンに勇気付けられる作品。

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2026/03/01

異星の民を観察するかのように、人を見つめた医師がいた。オリヴァー・サックス。診断名の背後にある、その人固有の世界に耳を澄ませ続けた。  自閉症の青年が築く精緻な秩序を描き、世界を異邦のように感じる感覚の内側へと分け入る。色覚を失った画家や失認に苦しむ患者らの戸惑いをすくい取った。...

異星の民を観察するかのように、人を見つめた医師がいた。オリヴァー・サックス。診断名の背後にある、その人固有の世界に耳を澄ませ続けた。  自閉症の青年が築く精緻な秩序を描き、世界を異邦のように感じる感覚の内側へと分け入る。色覚を失った画家や失認に苦しむ患者らの戸惑いをすくい取った。  障害は欠落か、それとも別様の知覚か。彼は異常を切り分けるのではなく、物語として編み直す。脳の多様さを受け止めることこそ、人間理解の始まりだと示している。

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2026/02/18

みんながやっていることができない、みんなが普通と思っている状態になれない、人から変な人と見られることで悩んでいる人は世界にどのくらいいるのだろう? 私もその1人なので、この本に出てくる主人公達を他人事として見つめるのではなく、自分を重ね合わせながら読んだ。障害を個性と言えるレベル...

みんながやっていることができない、みんなが普通と思っている状態になれない、人から変な人と見られることで悩んでいる人は世界にどのくらいいるのだろう? 私もその1人なので、この本に出てくる主人公達を他人事として見つめるのではなく、自分を重ね合わせながら読んだ。障害を個性と言えるレベルと言えないレベルの境界線はどこにあるのだろう。個性と言えるのは、健常者にある能力をなくす代わりに健常者よりも優れた別の能力を得られているような場合や、障害が逆に当事者に愛くるしい一面を与えているような場合くらいか。

Posted byブクログ

2025/09/08

原著は1995年刊。いまやメディカル・エッセイの金字塔。インパクトのある『火星の人類学者』というタイトルもいい。16ページのカラー口絵も彩りを添える。 大脳性色盲、トゥーレット症候群、側頭葉癲癇、開眼手術、サヴァン症候群、高機能自閉症など、オリヴァー・サックスが出会った7つの驚く...

原著は1995年刊。いまやメディカル・エッセイの金字塔。インパクトのある『火星の人類学者』というタイトルもいい。16ページのカラー口絵も彩りを添える。 大脳性色盲、トゥーレット症候群、側頭葉癲癇、開眼手術、サヴァン症候群、高機能自閉症など、オリヴァー・サックスが出会った7つの驚くようなclinical casesを鮮やかに描き出す。 最終章ではあのテンプル・グランディンを訪問する。自身の自閉症を説明するのに「火星の人類学者」というメタファーを用いたのは彼女だった。訪問の終わり、空港まで送ってもらい、別れ際に、許しをもらって彼女とハグする。なんという温かな終わり方か。

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2025/05/04

きっかけは、Jordan Petersonのおすすめ書籍の中にあるのを見つけたこと。 何かを知るためには、境界領域にあるものを詳しく調べるのが効果的、というようなことを考えた。脳になんらかの障害のある人々のことを知ることは、人間を知ることにつながる。 自分とすごく異なると感じ...

きっかけは、Jordan Petersonのおすすめ書籍の中にあるのを見つけたこと。 何かを知るためには、境界領域にあるものを詳しく調べるのが効果的、というようなことを考えた。脳になんらかの障害のある人々のことを知ることは、人間を知ることにつながる。 自分とすごく異なると感じる人達もいるがー全色盲、健忘症、自分と変わらないのではないかと感じる人たちもいるートゥレット症候群のお医者さん、自閉症の動物学者の教授。 自分はサイコパスなのではないか、と思う瞬間はよくある。多分、病気と健全の間は想像するよりずっと近いし、はっきりと線が引かれているわけではないと言うことだと思う。 一章読むごとに、何か心にズンとくるような感覚がある、いい本だった。読んでよかった。

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2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私は脳科学系の読み物が好きで、ことに知覚で形作られる世界は個人的なもので、普遍的なものではないという見方に非常に興味を持っている。本書はまさしくその興味を揺さぶられる内容だった。 本書に描かれている人のうち数人が、自身が障害を持っているということを自覚した上で、障害を消したいとは考えない、とコメントしていたところが印象的だった。それほど彼らが抱えているものが彼らのアイデンティティとして切り離せず渾然一体となっていること、そしてそれほどに彼らが彼らの知覚している世界を守りたいと感じるのだとわかった。 健常者は、ハンディを抱える人に対して、「正常な知覚ができる状態にできれば感動的だろう」と考えることがある(本書の「見えて」いても「見えない」に出てくる妻もその考えだったのだと思う)。私もそう思っていた。もちろん、正常な知覚を得たい、取り戻したいという人もいるだろう。だが、そういった人ばかりではないということを知ることができた。そして、アイデンティティと知覚的世界を守りたいという気持ちは健常者と変わらないと思った。

Posted byブクログ

2024/01/14

病気を患っていても、悲観せずにむしろそこを生かすような人生を送っていてかっこいい。自分を真っ当から肯定する姿勢はすごいと思う。 "生まれながらの盲人が、手で立方体と球体を識別することを学んだとする。その人が視力を取り戻して、触らずにどちらかを識別することは可能だろうか...

病気を患っていても、悲観せずにむしろそこを生かすような人生を送っていてかっこいい。自分を真っ当から肯定する姿勢はすごいと思う。 "生まれながらの盲人が、手で立方体と球体を識別することを学んだとする。その人が視力を取り戻して、触らずにどちらかを識別することは可能だろうか" 色失った芸術家 記憶を保持できないグレッグ トゥレット症候群の外科医 触覚で生きる人々 当たり前の五感がない世界はどう見えるのだろうか。

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2023/07/28

とりわけ印象に残ったのは『最後のヒッピー』。 人生最高の1日を翌朝には忘れてしまうことについてしばらく考えてしまった。

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2022/11/11

ヒトのふりをするのは疲れたと最近思う。過去には火星の人類学者テンプル氏のライブラリ構築のようなことをしたことがある。(あそこまで大規模なわけでも、圧倒的な記憶力を持つわけでもないが)。ヒト擬態をエコモードに移行させたら、当然のように反感を買った。心が全く理解できないわけではないか...

ヒトのふりをするのは疲れたと最近思う。過去には火星の人類学者テンプル氏のライブラリ構築のようなことをしたことがある。(あそこまで大規模なわけでも、圧倒的な記憶力を持つわけでもないが)。ヒト擬態をエコモードに移行させたら、当然のように反感を買った。心が全く理解できないわけではないから火星とまではいかないが、北極くらいの立ち位置にいるような気がする。「感情に支配されている」人間界は疲れる。どうにか疲れない方法が見つからなければ、わたしという個人はわたしになれずヒトモドキとして一生を終えるだろう。見つかれば、本書のような「個人」として人生を送れるかもしれない。

Posted byブクログ