薫大将と匂の宮 の商品レビュー
源氏物語の続編という…
源氏物語の続編という設定で、紫式部と清少納言の対決を描く。そのほかに「新釈雨月物語」など単行本未収録の作品が集められている。「艶説清少納言」が頭の良すぎた清少納言の悲哀が描かれていて切ないものがあった。
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表題作は岡田鯱彦氏が…
表題作は岡田鯱彦氏が描く異色の歴史ミステリ。全部で十一篇の短編が収録されています。
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国文学者であり、推理・サスペンス小説を物した 岡田鯱彦の、古典を題材とした中短編集。 表題作は、『源氏物語』終盤の主人公、 魅惑的な体臭を放つ薫大将と、 ライバルである調香の名人・匂の宮の モデルとなった人物を共々に巻き込んだ 惨死事件の真相を、紫式部が推理した―― という体裁の...
国文学者であり、推理・サスペンス小説を物した 岡田鯱彦の、古典を題材とした中短編集。 表題作は、『源氏物語』終盤の主人公、 魅惑的な体臭を放つ薫大将と、 ライバルである調香の名人・匂の宮の モデルとなった人物を共々に巻き込んだ 惨死事件の真相を、紫式部が推理した―― という体裁のミステリで、 プッツリ途絶えたような源氏最終話「宇治十帖」に 本当は続きがあって、その手稿を入手した語り手が 「これは千年前の探偵小説だ!」とて開陳する形式。 本文は紫式部の幻の源氏完結編を 語り手が現代語に訳したとされるものだが、 原典に特別な思い入れのない者には 些か読みづらかったし、 トリックは冷静に情況を思い浮かべると 相当にえげつない(笑)。 ただ、作者がいかに『源氏物語』を愛しているか、 その熱量は存分に伝わってきた。 他には上田秋成『雨月物語』の、 ほぼそのままの現代語訳や大胆に捻った翻案、 あるいは“異説”竹取物語や鼠小僧の物語、など。
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源氏物語宇治十帖をベースにミステリーを仕立てるという設定の勝利。あくまで探偵役は紫式部なので、平安時代という背景もあって不自由でまどろっこしい部分もあるが、文体や彼女の思考をシミュレーションして描くというのは面白い。科学的捜査が望めないとミステリーは好き勝手にできるかというと、逆...
源氏物語宇治十帖をベースにミステリーを仕立てるという設定の勝利。あくまで探偵役は紫式部なので、平安時代という背景もあって不自由でまどろっこしい部分もあるが、文体や彼女の思考をシミュレーションして描くというのは面白い。科学的捜査が望めないとミステリーは好き勝手にできるかというと、逆に犯人ではない証拠も示せない故に、これを上手く処理した本作は見事。設定はケレン味があるのに探偵のみがなぜその証拠を知り得るかも納得できるし、ちゃんとライバル探偵まで現れ、推理が二転三転する王道ミステリー。 他の収録作品では『艶説清少納言』と『「六条の御息所」誕生』も清少納言と紫式部が人間味溢れていて面白かった。
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再読。表題作は『源氏物語』宇治十帖のその後をあつかったミステリ。紫式部と清少納言の推理合戦あり、二人の貴公子の特性をうまく活かしたトリックありと短いながら読み応え充分。他の収録作では「新釈雨月物語」のシリーズも良かったかな。
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紫式部と清少納言が推理合戦を繰り広げたり… 時代ものミステリの集大成。さくっと読めたような記憶。 でも中身覚えてない。老後の再読の楽しみ。
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ずっと気になっていた本。 清水某の読み違え源氏物語でも同じように源氏をミステリ仕立てにした作品があるが、もちろんこちらが先。 トリック自体はたわいなくも源氏の時代と価値観を同じくしていないと理解できないもので、独特。 しかし書き手の世界と語り手の世界がときに入り混じる感じがして...
ずっと気になっていた本。 清水某の読み違え源氏物語でも同じように源氏をミステリ仕立てにした作品があるが、もちろんこちらが先。 トリック自体はたわいなくも源氏の時代と価値観を同じくしていないと理解できないもので、独特。 しかし書き手の世界と語り手の世界がときに入り混じる感じがして、私は乗りきれなかった。 収録作品中では、源氏はじめ平安に題材をとった作品よりも、新釈雨月物語シリーズの方がよい。 こちらは素直におとぎ話に落としこめている。
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