アメリカの夜 の商品レビュー
初・阿部和重。現代文学の旗手という世間的イメージで読んでみた。読むほどにノってくる文体のリズムが面白い。描いているのは自意識に悩む青年の、解放へと向かう物語、というイマドキ特有の内容だった。こういった、現実をえぐるリアリティ小説は得意ではないが(得意ではないだけに)、心に深く残る...
初・阿部和重。現代文学の旗手という世間的イメージで読んでみた。読むほどにノってくる文体のリズムが面白い。描いているのは自意識に悩む青年の、解放へと向かう物語、というイマドキ特有の内容だった。こういった、現実をえぐるリアリティ小説は得意ではないが(得意ではないだけに)、心に深く残る感覚がある。
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特別でありたいと願えば願うほど、「『きちがいになりたい』ひと」「シネフィル」という『型』にはまってしまう若者がジレンマともがく姿を、小説という枠を何処までも自由に使ってあらわした作品。唐突に思想談義があったり、あらすじはあってないようなものだし、主人公は著者と話し始めるし、シリア...
特別でありたいと願えば願うほど、「『きちがいになりたい』ひと」「シネフィル」という『型』にはまってしまう若者がジレンマともがく姿を、小説という枠を何処までも自由に使ってあらわした作品。唐突に思想談義があったり、あらすじはあってないようなものだし、主人公は著者と話し始めるし、シリアスシーンも左右白黒に塗り分けた主人公のせいで台無しだし笑、すべてがめちゃくちゃ。しかし、その滅茶苦茶が著者の言いたい話の流れに従って並べられているから、読むうちにこころが引っ張られていってしまう。青さ、だけでは片づけられない一冊。
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テーマは、ありがちな若者の自分探しの物語だか、主人公は作者の分裂であり、分裂した自己との対話で本書は成り立っている。 誰よりも「特別な自分」であることを証明するために主人公。結局は「特別な存在」にはとうていなれないという虚しさを募らすだけと知りながらせっせと「特別な自分」の証明を...
テーマは、ありがちな若者の自分探しの物語だか、主人公は作者の分裂であり、分裂した自己との対話で本書は成り立っている。 誰よりも「特別な自分」であることを証明するために主人公。結局は「特別な存在」にはとうていなれないという虚しさを募らすだけと知りながらせっせと「特別な自分」の証明を試み続ける主人公。 日常生活の中での仮構を突き崩す、暑苦しくぶっきらぼうな暴力性を認識しながらも、なお書かねば落ち着かないという、書き手にとっての悲痛さを主人公に投影し、主人公と作者が対話をする。伏線も多く難解だが、面白い。
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阿部さん、うますぎ。シネフィルの阿部さんらしいパスティーシュな作品ですが、非常に洗練されてます。 笑いながら一気に読めてしまいました。
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初めて阿部和重作品を読んだ。ある男性(唯生)についての話。語り口調。一文が長くて改行が少なく、前の文章に引きづられて話がよく脱線するため、慣れるまでは少し読みにくい。話が進むにつれて、唯生の言動、挙動がどんどん面白くなっていく。後半は何度も笑った。
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冒頭からもう、所謂文学好き映画好きはこんなことをねちねちと考え考えおまけにこうして言葉にして表明したがるのですよこんな文章書いちゃうんですよ、と言われているようで、ほんとうに読んでいて恥ずかしくって、つらかった。わざわざ迂回しながらくどくどと続く語りのうざったさも、我々の過剰な自...
冒頭からもう、所謂文学好き映画好きはこんなことをねちねちと考え考えおまけにこうして言葉にして表明したがるのですよこんな文章書いちゃうんですよ、と言われているようで、ほんとうに読んでいて恥ずかしくって、つらかった。わざわざ迂回しながらくどくどと続く語りのうざったさも、我々の過剰な自意識を嘲笑っているようで、おかしいのだけれど不安にさせられる。厭な饒舌。 なのに、伏線回収の鮮やかさも相まってすっきりとした読後感! すごい!すごかった。
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84点。特別な存在でありたいと願う主人公は、ひたすらに体を鍛え、思索にふける。主人公と語り手は同一人物なんだけど分裂し、ひたすらに自己言及しまくる。タイトルはトリュフォーの映画そのままだが、主人公が至るところはこの映画、もっといえばヨーロッパ映画的な主題に通低するもの。現実の虚構...
84点。特別な存在でありたいと願う主人公は、ひたすらに体を鍛え、思索にふける。主人公と語り手は同一人物なんだけど分裂し、ひたすらに自己言及しまくる。タイトルはトリュフォーの映画そのままだが、主人公が至るところはこの映画、もっといえばヨーロッパ映画的な主題に通低するもの。現実の虚構化、日常の演劇化、みたいな。 映画や小説を「泣けたわ」「笑えたわ」とシンプルな感想を吐くだけの一娯楽として、あるいはコミュニケーションのネタとして消費する昨今の潮流に逆らい、批判的精神を常にもちメッセージを見い出すべき、みたいな一昔前の教養主義的なお寒い考えで映画鑑賞や読書にひねもす明け暮れながらも、目的があるわけでもないので、当然仕事なぞするわけもなく、のんべんだらりとした生活を送っているか、そうありたいと心から思っているタイプには強く共感できる内容。 なんと気恥ずかしくもピュアな青春小説だと思うに違いない。
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頭良さそうさを意識的にねらった稚拙な文章でいらいらさせられる。でも絶対わざと。 この人天才だと思います。
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久しぶりに読むのが辛い本に出会った。他の人のレビューでは評価が良かったので楽しみにしていたが…。 伊坂幸太郎さんが「ピストルズ」を絶賛していたので、それを読む前にこの本に手を出したが失敗だったかな。気が向いたら「ピストルズ」を読んでみようかな。今は読む気がしない…。
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「特別」になりたい気持ちも、「気違い」になりたい気持ちも、それをばかにする気持ちも、よくわかる。だから読んでいて面白いんだけど辛かった。 気違いになろうとする時点で全く正常です。全然狂ってなんていません普通です。普通。わたしはごくごく普通の人間です。 ということをひしひし感じ...
「特別」になりたい気持ちも、「気違い」になりたい気持ちも、それをばかにする気持ちも、よくわかる。だから読んでいて面白いんだけど辛かった。 気違いになろうとする時点で全く正常です。全然狂ってなんていません普通です。普通。わたしはごくごく普通の人間です。 ということをひしひし感じて打ちのめされた。あー恥ずかしい。
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