名品流転 の商品レビュー
ボストン美術館には、なぜ国宝級の日本美術が数多く収蔵されているのかを解き明かした本。フェノロサ、岡倉天心、フランク・ロイド・ライトら、ビッグネームがこんなにもボストン美術館に関係していたとは知らなかった。行く前に読んでおいてよかったです。
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NHKプロデューサーの堀田謹吾がこれまでの取材記録をもとに起こしたルポ。モース、フェノロサ、岡倉天心がいかにして日本美術に目覚め、彼らの蒐集品がボストン美術館等に収蔵されていくまでの過程を追ったもの。美術品の足跡を辿る過程は、推理小説を読むようで引き込まれた。また、独立後間もないボストンの発展と、明治維新只中の日本の気概がそこかしこで重なるようだった。 冒頭、ボストン美術館の建設にまつわる裏話で紹介された「オーケストラと美術館がなければ世界の大都市とはいえない」という当時の気概が印象的。 序盤、お雇い外国人フェノロサが日本にいたころのエピソードを通して明治維新のころの政府や華族の動きが窺えた。 中盤以降、ボストン美術館の収蔵品に関する細かい記述に終始したので、ややモメンタムを失った感。 全体的に、取材記録の羅列に終始し、メッセージ性に欠ける。特に、締めくくりが、ボストン美術館の今後のあり方が気になる、で終わってしまったのは残念。もう少し具体的にどういう可能性があるのか、日本にとって何が望ましく、何が望ましくないのか等の筆者なりの視点を加えて欲しかったところ。
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