白の闇 の商品レビュー
とっても読みにくい文体でした。 「見えなくなる」理屈より「じぶんを含めて周りの皆全部が見えなくなったら」という恐怖が先に来てとても恐ろしかった。 読みづらいが、読みたい本の一冊が読了できてよかったです。
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登場人物の名前が一切出てこない、 会話文に「 」がない(発言者の入替りが不明確、地の文との区別も不明確) という、とても珍しいタイプの小説。 とは言え、特に読み難いということもなくスラスラ読めるのが逆に不思議なくらいでした。 これが作者&訳者の力量なのでしょうね。 あらすじは紹...
登場人物の名前が一切出てこない、 会話文に「 」がない(発言者の入替りが不明確、地の文との区別も不明確) という、とても珍しいタイプの小説。 とは言え、特に読み難いということもなくスラスラ読めるのが逆に不思議なくらいでした。 これが作者&訳者の力量なのでしょうね。 あらすじは紹介されている通り。 結末については賛否両論ありそうですが、私はこれで良かった派です。
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ル=グウィンの書評から、早速気になった一冊を読了。ディティールの具体性や感情移入感を好む身としては、こういう寓話的で細部のリアリティに欠ける作風はあまり肌に馴染まないのが正直なところだが、しかし一つの思考実験のような作品として面白かった。視力という、肉体的なファンクションの一つに...
ル=グウィンの書評から、早速気になった一冊を読了。ディティールの具体性や感情移入感を好む身としては、こういう寓話的で細部のリアリティに欠ける作風はあまり肌に馴染まないのが正直なところだが、しかし一つの思考実験のような作品として面白かった。視力という、肉体的なファンクションの一つに過ぎないものが多数から奪われただけでいとも容易く獣へと堕ちる、人や社会とは何なのか。
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突然目が見えなくなる奇病。しかも伝染するため、人々は次々に視覚を失いパニックが起こり社会(的なもの?)が崩壊した。 社会的秩序を失った時に現れる人間の本性のようなものを2タイプに分けて描いている。すなわち自分の本能に従い暴力的になるタイプと、自らを組織し助け合うことを選ぶタイプ。...
突然目が見えなくなる奇病。しかも伝染するため、人々は次々に視覚を失いパニックが起こり社会(的なもの?)が崩壊した。 社会的秩序を失った時に現れる人間の本性のようなものを2タイプに分けて描いている。すなわち自分の本能に従い暴力的になるタイプと、自らを組織し助け合うことを選ぶタイプ。突き詰めると人間との本性というのは、暴力と組織、なのかな。 それとも「組織する」能力が人と動物を分ける鍵なのかも。
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コロナ禍/パンデミックになった初期の混乱時に一番に思い出した作品。 ホラー体験とは違う恐怖が描かれている。読んだ当時、もうやめてと思いながら頁をめくった記憶。
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結構分厚い本だが一気に読んでしまった。突然目が見えなくなると言う病気。しかも人に感染する。まさに今読むべき本だと感じた。
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涙の犬 人々が視力を失った世界で起こること いかに普段当り前のようにソーシャルワークを享受しているか、人間性の崩壊、無秩序 高橋源一郎氏は社会の構造を見えなくさせるのが“白の闇”ではないか?との指摘 我々はパンデミックの以前から見えているようで見ていなかったのではないか
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今まで読んで来た本の中で、人間の残虐性を最も深く描いた作品ということを先ず、一番に思った。 「わたしたちすべての目が見えなくなったら?」、「極限状態に追い詰められた人間の、弱さと魂の力」と、本の紹介文にあるが、「魂の力」? それはあったかも知れないが、人間の弱さが圧倒的で、その「...
今まで読んで来た本の中で、人間の残虐性を最も深く描いた作品ということを先ず、一番に思った。 「わたしたちすべての目が見えなくなったら?」、「極限状態に追い詰められた人間の、弱さと魂の力」と、本の紹介文にあるが、「魂の力」? それはあったかも知れないが、人間の弱さが圧倒的で、その「力」は今にも消えそうな、乏しいものに感じた。 1998年ノーベル文学賞受賞作品であるらしい。カミュの「ペスト」が読みたかったのに、手に入らないので読んだ本だが、自分の好みの世界ではないなぁ、と、感じつつも、あっという間に読まされてしまった。
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文庫本が発売されたので、欲しかったのだが即売り切れ。 図書館で初版を見つけて読了。 まず、文体が独特です。語りと会話の間に記号(「」)がない。1ページに活字が詰まっているので、読みにくく感じましたが一気に読み進みました。 ある日突然視界が真っ白になる病気。原因は不明。伝染病のよう...
文庫本が発売されたので、欲しかったのだが即売り切れ。 図書館で初版を見つけて読了。 まず、文体が独特です。語りと会話の間に記号(「」)がない。1ページに活字が詰まっているので、読みにくく感じましたが一気に読み進みました。 ある日突然視界が真っ白になる病気。原因は不明。伝染病のように広がっていきます。 人間が理性や尊厳の念を失った時、何が起こるのか… 暴力的な描写に(特に性暴力)読んでいて胸が苦しくなります。これは小説の世界だけではなく、リアルな行為だと感じるからです。哲学的な投げかけが印象的な小説でした。
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コロナ騒ぎの今を映したようで、リアルで怖かった。 我々は見えているが見えていない。みんな盲目なのだ。 目が見える事を前提として作られた文明の中で、視力がなくなれば、人間は理性を失い、無秩序の混沌の中でとことん自己中心的に、暴力的になれる。社会は崩壊し、人間の尊厳は地に堕ちる。...
コロナ騒ぎの今を映したようで、リアルで怖かった。 我々は見えているが見えていない。みんな盲目なのだ。 目が見える事を前提として作られた文明の中で、視力がなくなれば、人間は理性を失い、無秩序の混沌の中でとことん自己中心的に、暴力的になれる。社会は崩壊し、人間の尊厳は地に堕ちる。言葉の死、という表現が何回か出てくるのは、秩序が消滅したことを示しているのだろうか。 一方で、売春をしてきたサングラスの娘が黒い眼帯の老人を愛し、目が見えるようになってもなおその愛を失わないように、何も見えない極限状態の中で見えるようになる真価もある。 医者の妻の勇敢さと愛がかっこいい。50手前の彼女のことを美しいと女たちが褒める場面があるが、目に見える世界では美しくないものも、心の目で見れば美しいこともある。
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