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ディア・ダイアリー の商品レビュー

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2023/03/17

日記をつけていると、なにかおもしろいことを 書きたくなってくるものだ。 それはまた記憶力と理解力をも鍛えてくれる。 考えが深くなくても、観察が鋭く独創的でなくても、 語り口がおもしろくなくても、 それでもやはり、日記を書き続けることで 人は自らを成長させることができるだろう。 ...

日記をつけていると、なにかおもしろいことを 書きたくなってくるものだ。 それはまた記憶力と理解力をも鍛えてくれる。 考えが深くなくても、観察が鋭く独創的でなくても、 語り口がおもしろくなくても、 それでもやはり、日記を書き続けることで 人は自らを成長させることができるだろう。 チャールズ・C.E. グレヴィル (1838年1月2日の日記より) だそうですよ、なおなおさん(^^) 穂村弘さんの歌集以外の本を、あれこれ借りてみたら、思いもかけない素敵な作品を見つけました! 作者の「サラ・ファネリ」は、イタリアのフィレンツェ出身で、イギリスの芸術家兼イラストレーター、子供の絵本で最もよく知られているそうで、訳者の穂村弘さんは歌人であり・・歌人なんですよね(笑) 絵本、小説、翻訳と、本当に何でも出来るあなたは、いったい何者ですか。でも、穂村さんの目の付け所の素晴らしさが、今回はより際立った感があると思いました。 早速オシャレな表紙を捲って見返しを見ると、思わず、「なんじゃこりゃ!?」とびっくり。 そこに描かれていたのは、秩序もまとまりもない、落書きの嵐で、一瞬、ミスプリントかと思ってしまうほどの滅茶苦茶さだが、冷静に考えてみて、これは子どもの読む絵本なんだと思うと、何ということは無いことに気付きました。 そうそう、私も昔、小学生だった頃に、日記では無いけれど、何か描きたいことがあったとき用のノートがあって、そこに描いたのを大人になって見返してみると、本当に私が描いたのかなんて思ってしまう奇抜さが印象的で、だけど、当時は何か意味があったのだろうなと思い、要するに本書の見返しにしても、子どもが分かればいいわけですし、子どもの頃の私が描いたものを、当時の私は落書きだと思いませんよね。 そして、本編に入ると、まずは女の子の「ルーシー」のある一日の日記が書かれてあり、一応、罫線付きの赤みがかったノートに書いてあるけれど、所々、線を無視した書き方に、誤字もそのまま上から消して、矢印の先に訂正した文字があったりする上に、そもそも横書きも無視して、日付を書くような細いスペースに思ったことを書いたりと(ついでに文字の大きさの統一性も関係なし)、子ども特有の自由さに溢れており、そこに、これまた自由奔放な絵を感じたままに描いてあるのが、見ていてとても楽しく、色もカラフルで、絵柄も水彩、ペン、貼り絵風なものやコラージュと、何でもありで、そうか日記って、こんなに自由に書いていいものなんだと、改めて、子ども心の私を思い出させてくれましたし、しかも、日記の内容となるストーリーが面白いので、これがまた印象を良くしてるんですよね。 この後は、人に限らず、色々な動物や物たちも、それぞれに個性や味を感じさせる日記を書いており、これがまた楽しい上に、それぞれのストーリーとの絶妙な絡ませ具合によって、他の日記で「?」だった理由や真相が明らかになったりと、一つの大きな物語としても楽しめるし、更に、それぞれの日記の扉にある、詩人や作家の名言が妙にフィットしていたり(雅歌の引用まである)、全ての書き出しが『ディア・ダイアリー』で始まるのも、日記に対する敬意が込められているようで、いいなと感じましたし、おそらく、日記を書くためのハードルが低くなったと実感されると思います。 また、私が特に印象的だったのは、ブブの可愛さでしたが(見れば分かると思います)、どうやらサラの飼い犬と同じ名前ということで、もしかしたらルーシーは、サラの子どもの頃をモデルにしているのかもなんて思ったり、更には、サラがどんな人か本編で見られる遊び心が、巻末のプロフィールに記載されてたりと(ついでに書くと、その裏表紙の見開きには葉っぱが挟まっている描写があり、こんな細かいところまで日記らしさが!)、最初から最後まで、子どもに楽しんでもらいたいと感じさせる、サラの童心に還ったような心遣いに胸を打たれ、これは一生手元に置いておきたいと思い、ネットで中古本を探して購入することに決めました。 ちなみに、サラのおばあさんは、93歳の今も、毎日日記をつけているそうです。 ついでに書くと、穂村さんは、3歳のときの日記が残ってるけど、なんて書いてあるのか分からないんだそうで、もしかしたら、この頃から既に、魂の叫びを書いていたのかもしれませんね。

Posted byブクログ