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リスク(上) の商品レビュー

3.6

29件のお客様レビュー

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確率・統計と保険や金…

確率・統計と保険や金融が利用していく歴史について書かれた本。確率の式ではなく「意味」を知るのに役立ちます。保険会社や金融会社で働く人は必読の本と思います

文庫OFF

2024/04/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1200年前のギリシャから1900年頃までの間の確率に関する理論の進化を解説する。賭博や保険との関係が深い。 数学に苦労した受験時代を思い出す。

Posted byブクログ

2022/08/14

『リスク 神々への反逆 上』 ピーター・バーンスタイン リスクに関する歴史を古代から現代にわたるまで追った記録の上巻。前半は古代から近世にかけてのパートであるが、非常に面白い。そもそも筆者が、リスクというものについて「過去と未来を画する画期的なアイデア」と定義していることが、抽...

『リスク 神々への反逆 上』 ピーター・バーンスタイン リスクに関する歴史を古代から現代にわたるまで追った記録の上巻。前半は古代から近世にかけてのパートであるが、非常に面白い。そもそも筆者が、リスクというものについて「過去と未来を画する画期的なアイデア」と定義していることが、抽象度をぐっと上げて読者を引き込んでいく。そもそも、我々の生きてきた時代の中で、未来はほとんどが神の領域であり、お告げや占いによってでしか、我々が理解することを許されていなかった。そこから、大きく二つの潮流があり、リスクという言葉の下に、未来を神の領域から民主化していくプロセスをたどる。大きな二つの潮流とは、まずはアラビア数字の導入、そしてもう一つが、ルネサンスと宗教改革に端を発する人々のパラダイムシフトである。前者は算術的としか呼べなかった数に関する知識の総体を、我々が今日呼ぶような数学的な発想に引き上げた。しかし、そのようなテクニカルな発達だけでなく、ルネサンスと宗教改革により、人々が「人間は与えられた運命に対して全く無力というわけではなく、現世での宿命は神によってきめられているわけではない」という大きな認識の転回があり、初めて数学を使用して未来を予測するという思考様式が確立された。プロテスタンティズムの禁欲と倹約の思想は、現在よりも未来に価値を置くことを示唆しており、さらには大航海時代における人々の認識の拡大やビジネスチャンスが、未来を好意的にとらえ、人々の興味関心を誘ったのである。まさに、リスクを考えることは、神の領域たる未来への人間の侵蝕であり、神々への反逆であった。そんな未来への認識の変化を各時代のヒーローたちを中心に紐解いていくのが本書である。 本書はやはりリスクの計量化において数学的な記載に多くを割いている(登場人物はほとんどが数学者)が、上巻では、基礎的な確率論な統計学なので、高校までの文系数学しかやっていない私でも理解ができるものであった。特に後半は、統計学の基礎(相関、信頼区間、サンプリング等)の記述が多い。 上巻で面白かった部分は、17世紀になって初めて「被害を受けることへの恐怖感は、被害の大きさだけでなく、その確率にも比例すべきである」という革命的な文言が現れる部分である。現代のリスクマネジメントでは、被害の大きさと頻度を縦横の軸とするマトリックスが常識的であるが、この文言が出る前の人々は、未来への恐怖を被害の大きさという単線的にしかとらえていなかった。しかしながら、確率の概念の導入により、初めて未来への恐れは複線的に考えられ、その結節点である期待値の概念により規定されるべきとする発想が生まれるのである。このような発想は歴史的な転換を示すものだけでなく、ある意味、現代でも新たなリスクに対する人々の態度としてしばしば現れるものであろう。さらに、その後は、グラントによる死亡率の計算や、ハレーによる生命表の作成、そしてゴールトンによる相関の発想など、正規分布、相関、信頼区間、サンプリング、そして大数の法則という統計学の発展を歴史的に見ていくことになる。さらに、その間にはベルヌーイによる限界効用逓減の法則のようなアイデアが現れる。ここでも興味深いのが、グラントが初めて人口統計のようなものを作成しようとした際に、ロンドンの死亡調書を使用していたが、このような情報が各教区の教会でも手に入ることであった。まさに生死が神の領域であったために、このような統計データは教会でも集まったのである。また、グラントがこのような統計を取ろうとした背景には、マーケット・リサーチがあり、やはりこの時既に駆動していた資本主義の流れの中で、このような動きが加速したのではないかと思うばかりである。下巻は現代に近づくにつれて、数学や統計が高度化されるのであろうが、上巻は非常に楽しく読むことができた。

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2019/01/06

2012.3記。 かなり前のベストセラーということで若干今更だがやっと読み終わった。 本書は、原題の”Against the Gods”からも読み取れるように、「未来の出来事は神の摂理」という思想に反抗して未来の可能性(あるいはリスク)を計測しよう、という試みを歴史と理論の両...

2012.3記。 かなり前のベストセラーということで若干今更だがやっと読み終わった。 本書は、原題の”Against the Gods”からも読み取れるように、「未来の出来事は神の摂理」という思想に反抗して未来の可能性(あるいはリスク)を計測しよう、という試みを歴史と理論の両面から説く内容で恐ろしく面白い。 まず、ユークリッド幾何学をあれほど発達させたギリシアでは、ソクラテスが「真実への類似」という極めて重要な論点に着眼していた。にもかかわらず、「論理や公理によって証明できる真実」でなかったが故に学問的に発展することはなかった、という点がいきなりなるほど感。 その後長い時を経て、欧州文明は十字軍を通じて進んだアラビア数学に出会い、さらにルネサンス期のキリスト教的因習からの解放により、「未来を計測」することが本格化する(と、言っても最初は賭け事の勝率から議論が始まる)。 後半の、市場の効率性、ブラック・ショールズなんかの議論には、「変わり者」研究者の伝記としてのおもしろさもある。 リスクの語源は「勇気をもって試みる」の意のイタリア語だそうで、「・・・この観点からするとリスクは運命というよりは選択を意味している」。 が、本書(原書)出版の数年後にLTCMが破綻したのもまた事実・・・

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2018/10/23

ルネサンス以降、綺羅星のごとく現れる天才数学者たちのすばらしい功績と、彼らによって確率・統計がどのように発達していったのかが詳しく書かれています。またそれらの功績から導き出される現在の市場動向、リスクについての仮説等も説明されています。これらの考え方は、マーケット動向の予測等にも...

ルネサンス以降、綺羅星のごとく現れる天才数学者たちのすばらしい功績と、彼らによって確率・統計がどのように発達していったのかが詳しく書かれています。またそれらの功績から導き出される現在の市場動向、リスクについての仮説等も説明されています。これらの考え方は、マーケット動向の予測等にも応用できるはずです。ビジネスマンにお勧めですが、読むにはかなりの忍耐力が必要です。下巻と合わせてお読みください。

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2018/10/12

 上巻では、ギリシャ・ローマ時代から1900年頃までの統計学の発展の歴史が描かれている。  確率やリスクという概念の発見から始まり、それを人類がどう考えようとしてきたのか、という歴史は、とても面白い。  大著であり、ある程度の統計やファイナンスの知識が前提とされているので、簡単に...

 上巻では、ギリシャ・ローマ時代から1900年頃までの統計学の発展の歴史が描かれている。  確率やリスクという概念の発見から始まり、それを人類がどう考えようとしてきたのか、という歴史は、とても面白い。  大著であり、ある程度の統計やファイナンスの知識が前提とされているので、簡単に読めるとは言えないが、人物を切り口としているので、単なる統計の教科書より面白く読める。  本書を読んだあとで、統計学や金融工学のテキストに戻っても良いかもしれない。 [more] (目次) 【上巻】 1200年以前 始まり 第1章 ギリシャの風とサイコロの役割 第2章 ?、?、?と同じくらい簡単 1200〜1700年 数々の注目すべき事実 第3章 ルネッサンスの賭博師 第4章 フレンチ・コネクション 第5章 驚くべき人物の驚くべき考え 1700〜1900年 限りなき計測 第6章 人間の本質についての考察 第7章 事実上の確実性を求めて 第8章 非合理の超法則 第9章 壊れた脳を持つ男 【下巻】 第10章 サヤエンドウと危険 第11章 至福の構造 1900〜1960年 曖昧性の塊りと正確性の追求 第12章 無知についての尺度 第13章 根本的に異なる概念 第14章 カロリー以外はすべて計測した男 第15章 とある株式仲買人の不思議なケース 未来へ 不確実性の探求 第16章 不変性の失敗 第17章 理論自警団 第18章 別の賭けの素晴らしい仕組み 第19章 野生の待ち伏せ

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2017/01/17

太古の昔から現在に至るまで、人々が「リスク」をどう考え、向き合ってきたのかに関する解説。主に数学者の取り組みであったことは考えてみれば当然か。ギリシャ・ローマ時代からギャンブルはあって、いかにして他人より有利になるかということから「リスク」の研究が始まったことは興味深い。しかもこ...

太古の昔から現在に至るまで、人々が「リスク」をどう考え、向き合ってきたのかに関する解説。主に数学者の取り組みであったことは考えてみれば当然か。ギリシャ・ローマ時代からギャンブルはあって、いかにして他人より有利になるかということから「リスク」の研究が始まったことは興味深い。しかもこの研究はルネッサンス時代まで続く。一方、当時は身分制度が厳格な時代であり、職業に関するリスクは全く考慮されない。つまり僧侶の子は僧侶、不可触民の子は不可触民である。19世紀になるとリスクを計算するのに不可欠な統計学が発達する。その中で、優秀な親からは優秀な子が生まれる確率が高いという分析結果があり(ただし、階級社会の非合理が全く考慮されていない)、これがのちの優生学となり、ナチスの選民思想につながっていく。

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2016/02/04

リスク管理をしたら、合理的に意思決定できる。 敗者は短い時間を長く見せかける。 勝者は長い時間を短く見せかける。 リスクと時間はコインの裏表。明日がなければ、リスク なし 統計学はリスク管理の基本 正規分布はリスク管理の中核 富の微量の増加から得られる効用と欲求は、それ以前にその...

リスク管理をしたら、合理的に意思決定できる。 敗者は短い時間を長く見せかける。 勝者は長い時間を短く見せかける。 リスクと時間はコインの裏表。明日がなければ、リスク なし 統計学はリスク管理の基本 正規分布はリスク管理の中核 富の微量の増加から得られる効用と欲求は、それ以前にその人が保有していた財の量に反比例する 平均への回帰 人的資本 教育 訓練 経験 事実は全ての人間に同様だが、主観は多種多様 2つの重要なポイント 簿記......数の記録 予測 リスク許容と利益 経験によって確実な答えを出すことはない 大きいサンプルの平均は小さいのと比べて真の平均からの乖離が小さい

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2015/02/01

古代から様々な分野の知識人が未来を予測しようとする試みの壮大な物語が述べられている。上巻は主に、数学的な手法による未来の予測をしようとする人々の、歴史的な挑戦を描いている。今日では私たちの生活に親しい様々な経済活動、例えば保険業はもちろん、運搬業や、建築業でさえも、初歩的な数学の...

古代から様々な分野の知識人が未来を予測しようとする試みの壮大な物語が述べられている。上巻は主に、数学的な手法による未来の予測をしようとする人々の、歴史的な挑戦を描いている。今日では私たちの生活に親しい様々な経済活動、例えば保険業はもちろん、運搬業や、建築業でさえも、初歩的な数学の進化によるリスクの計量化によって大きく支えられていることを改めて実感した。つまりこの本は、先端的な考えを与えてくれるものではないが、金融業で働くにあたって必要な原理的な考えを示唆してくれる。人類の歴史における未来予測の進歩という壮大なスケールで、リスクに対する考え方が学べるという意味でこの本は興味深かった。金融に関する知識というよりも、リスクに対する数学的な教養を身に付けられ、勉強になる一冊だった。

Posted byブクログ

2014/04/02

同じテーマの本を立て続けに読むと、どうしても後に読んだ本の方が評点の低くなる現象に誰か適切な名前を付けてくれないだろうか? 統計、確率、リスクマネジメントに関する科学史書。面白いです。

Posted byブクログ